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欲しいわ

「エカテリーゼ姫様、召喚者殿お戻りになられました。」

「そう」


無事に戻って良かったわ。

…ええ本当に。


それにしても私に要求していきなりギルドに行くなんて、私が目を付けた者はやはり他の者とは違うわね。


今日我が国に来た召喚者八人。


八人の中で一番私が注目している召喚者、この国では誰一人として使えない剣の奥義の使い手。


最初は余り期待してなかった。

魔族への対抗戦力そして3国同盟の証として召喚された召喚者。


召喚者とは御伽話の中の伝説。

物語は複数、異世界から召喚された召喚者が様々な歴史に残る事をする伝説、物語。

例えば邪悪を討ち滅ぼし勇者になった召喚者、例えば聖者として国を救った召喚者、例えば国を築いた召喚者、例えば神の位にまで登った召喚者、色んな召喚者の物語がある。


召喚者の力は世界を変える。


ずっと前からある馬鹿馬鹿しいお伽噺、召喚者の歴史は祖国が誕生する前の遥か昔の物語。幾人の研究者が調べても物語以外には召喚者が居たという痕跡はない。

召喚者の物語は幼い子供に聞かせる寝物語。

私も半年前までは異世界からの召喚何てただのお話の中の物語だと思ってた。


だから……半年前帝国から送られたある文献のコピーと、証拠となるある物によって召喚は実際にあった事と判った時は驚いたわ。


王女の特権で証拠を弄り文献を何度も読み返して本当にこの半年、……召喚者が来るのを待ち望んでいた。


そして等々その日が来た。


私は待ち続けた召喚者がどんなモノか早く知りたくて、召喚者が来た報せが有って直ぐに召喚者が待機している部屋に兵士をけしかけた。妬む様な情報で煽ったら思い通りに動いてくれたわ。

訓練場に連行された召喚者たちを隠れて見学。

初めて見た召喚者は見掛けは服装以外はただの凡人、兵士に脅されたて情けなく怯えてる召喚者達。

見掛けだけでは判らないし……漬け込むには都合が良いかもしれないけど、少し物語の勇者の様なモノを想像してて落胆したわ。


でもよくみたら一人、いや二人可笑しなのが居た。



私は兵士長に妙に落ち着いてる召喚者を挑発するように頼んだ。


私が兵士長に挑発するように頼んだけどあんなモノが飛び出すとは思っても見なかったわ。

見事だったわ、女の子の召喚者がただの木刀の一振りで対斬撃の耐性を持ったカカシを真っ二つ。其だけでなく訓練場の壁、素材が城壁に使われているモノと同じ壁にまで傷をつけた。

 

その女の子の召喚者の名前は……何故か教えてくれなかった。

………ギルドでの登録名はゼアンと言うのね。

女の子にしては変わった名前ね?異世界では普通なのかしら?




私がゼアンや召喚者から別れた後に聞いたお父様たちに出された報告では、我が国に来た召喚者はゼアン含めて落ちこぼれとか言われていた。驚いたわ。

あの技の威力を見て落ちこぼれ何て言葉を信じる人は居るかしら?

報告だと帝国の鑑定能力持ちの調べによると下級の冒険者並の強さだったのよ?


一人はまぁ例外として置いときましょう。

今は他の召喚者の事ね。


他も落ちこぼれと言うには問題が有るわ。


同盟の為に行われた召喚、帝国は召喚の為の秘匿されていた魔方陣に特殊な魔道具、隣国は場所と貴重な人材。

我が国が出したのは価値の無いと言われている鉱石のみ。


召喚の実験のおこぼれを預かる形になった我が国に連れて来れた召喚者は、下級の冒険者並の強さしかない全員が落ちこぼれの召喚者。

先程そう国王陛下に報告され召喚者の価値は同盟の証としてしかなく、仕方なく王城に置いておく事になった。

今日の反応から見て近日中に奴隷兵と同じ扱いになるでしょうね。


少し待ってと思ったわ。

報告前に見たあの例外もそうだけど


文献では召喚者は全員一つこの世界には無い特別な能力を持つとされている。その特別な力には戦闘に関係の無いモノも記載されていた。


鑑定で調べられたのは単純な戦闘力だけ、力は当然だけど戦闘力に分類されない力もある。脳筋な奴等は見に見える戦闘力しか重視しない。

……………うん、我が国の将軍や将校、軍関係は勿論なんだけど、頭の良い筈の文官に私の父、国王陛下とかも判りやすい力しかみない。


だから折角手に入れた召喚者の扱いが御座なり。

バカよね。けど私にとっては有難い。

アレがギルドに行ってる間に召喚者の部屋を、謝罪と言う名目で訪問して調べたけどとても、とても有用な能力を持って居たわ。


例えばコニシと言う召喚者の能力、運搬。

名前だけ見ればパッとしないわよね。

けど能力は、元の世界を除き見える範囲と自分の記憶に有る場所なら、5キロ範囲までモノを送る事が可能。

ただの物資の運搬と考えれば魅力に欠けるけど、ふふ、例えば敵陣に……………爆弾、毒物を送ればどうなるかしら?

もう少し穏やかに無害な死体だとしても敵陣の中央にでも送ればパニックにはなる。

……………過激に言えば敵の本拠地にでもね。


少し判断に困るのも居たけど、はっきり言えば戦闘バカな能力より大変国の為に役立つ能力ばかり、彼等は宝よ。

だから私は彼等七人の召喚者に誠心誠意込めてこの世界に連れてきた事を謝罪、そして奴隷兵として扱われるかもしれない事を教えてあげた。奴隷兵の扱いもついでに教えてあげた。特に女性には辛い扱いをね。

少しの間泣いたり苦悩してる事を眺めた後に私がそんな事はさせない。私が出来る限り待遇を配慮すると言ってあげた。


彼等は先ずそんな扱いをされる事に憎しみと怒り不安を眼に宿した。そんな後の 私の救いの言葉。

彼等はとても感動してたわ。


誰かが彼等の価値に後から気付いても困難な時期に優しくしたのは私。………少なくとも他の者達より彼等を自由にするアドバンテージを得れるわね。


だからね。有象無象の輩に何て取らせはしないわ。あの、ワガママボンクラや鬼畜公爵とかが動けば面倒だけどね。


「姫様?」

「何でもないわ。詳細な報告をお願い、彼女はギルドでどんな依頼をこなしてきたの?… 」


ゼアンは能力の詳細を聞いていない唯一の召喚者。

あの技、明らかに戦闘系統の力、力も下級どころか最上級なのに此処に来たのは可笑しい。ナニか隠してるのかもね。


これも過去の文献からも判った事けどたまに能力は一つとは限らない。二つの能力を持つ者も居ると記載されていた。

なら一つは戦闘系統、もう一つは隠蔽関係と考えれば彼女の力も納得出来る。


………隠蔽に戦闘力、とても良いわ。利用法は幾らでもある。

是非彼女とは信頼関係を築いて私のモノにしたい。


けどやり過ぎるのはダメ。彼女の眼は…少し面倒…観察するモノの眼だった。いえ、無警戒なバカなのは嫌いなんだけどね。手に入れるには障害になる。下手にすれば別の所にすり寄る。



だから今は情報収集、彼女の趣向や人間性が判れば動きようがある。ギルドに行くと聞いて都合が良いと思ったわ。ギルドの働きぶりで何処まで有用か判断できる。有用過ぎたらギルドからの囲いが有るかもしれないけどね。

そうならない為に私が渡した紹介状には王女である私の護衛と記した。

意味はここの者についての優先権は私に有ると言う意味。


彼女が出ていった後にお父様におねだりして本当に護衛にしちゃったから問題ないわよ。


本人には当分内緒。


……私の護衛でも上がり過ぎた場合は厄介だけたどね。



さて我が護衛殿の本日の成果はどんなモノかしらね。

まぁ今はただの雑用でしょうからどうでも良さそうな報告しか来ないでしょうけど。


そう……………思っていたんだけどね。


はぁ!?


北部下水道のラット全滅ってなに!?彼処は軍で対処予定の場所でしょ!?


……予想通りいえ、予想以上かもね……けどこれだと確実に厄介なのに目をつけられる。

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