グループ
召喚された自分含むクラスメイトは広場の隅に建てられた場所で検査された。検査はグレーの医者の様な格好をした相手に見られるだけの簡単なモノ。もう少し詳しく言うと、先ずグレーの医者と対面、対面すると羽ペン片手に自分をジッと見ながら何かを記録、何も聞かれない。詳しく言っても此ぐらいしかない。
多分何か中を覗かれた様な不快な感じがしたんで多分ゲームで言う能力解析だろうね。
自分の検査は大体5、6分で終わりで自分が終ったのはちょうど20人目で大体半分程、自分が終った頃には検査を初めてから一時間ぐらい経っていた。
今何時だろ?
時計は前の世界のだから宛に成らない。太陽の高さで予測出来そうだけど日がまだ高い。太陽の高さで判断すれば今は昼下がりぐらいかな。此処に来る前は確か4時半過ぎ、其から二時間以上は経ったから元の世界の時間だったら6時か7時頃かな。時差がだいぶある。
時間の他に元の世界と違う事はあるのかね?
少し気になるとしたら体の重さか。
体感で言うと五、六キロ程、体が軽く感じるんだよね。元の世界より重力が弱いとか?某竜の玉世界理論で言えば、この世界の人間より地球人の方が強いのかもしれない。……違うかな?
検査が終った後は三つのグループに別けられた。自分が集められたのは広場の一番隅の一番人の少ない集団。
集められたクラスメイトは何と言うかな自分と……同類かな?
クラスメイトで非リア充と呼べる部類。
自分を含めて八人、他の二つの集まりは机とテントらしき物が有るのに此方だけ何もなし。
露骨な扱いの悪さだー。何か空気も悪いよ。誰も喋らない。チラチラこっちを見るな。非リア充ばかり、これは露骨に能力の強弱で別けられたな。扱いと集められたメンバー的に判断して此処が一番弱いグループだろうなー。一番弱いグループに入ったんだから能力は無事に隠せたか。新しく貰ったあの能力やっぱり弱いのか。と言うか弱いと言うか何の役に立つんだよ。
「此で全員か?よし、全員此方を向け!俺はフィアニスのガンベルと言うものだ!今からレオン、殿が約束した通り説明をする!有り難く思え」
露骨に見下した目をしてる銀色の杖を持ったガンベルと名乗る、紺のローブを着た30代の髭面男。もう一人いる同じ紺のローブを着た緑の髪の女性は完全に余所見?他の集団を観察してる。此方に興味なしか。それにしても担当するのはたった二人だけ?
他の集団は他に六人以上は居るけど?力が無ければ価値がないって所かな?悪いと思う気持ちは欠片もなしか。
「お前たちに質問をさせてやる。先ず何を聞きたい?」
髭面男、もといガンベル氏に聞かれた。…………自分以外の七人、全員何か言いたそうだけ自分からは何も言わない。だからチラチラ此方を見てくるな。ボクに言えってか!其れだから非リア充なんだよ!(自傷)
仕方ない。
「…………この世界に呼び出された理由は?」
少し違和感を感じる……声が高くなってるなー
「理由か、それは邪悪な魔族共の侵略を防ぐ為だ」
「魔族?」
ファンタジーに有りがちな種族だけど、人と違う種族って事で良い?それか魔力が高いとか?
「魔族を知らんのか?ああ?お前達の世界には居ないのか。随分と羨ましい世界だな。…ふん……では教えてやろう魔族とは人を殺し喰う化物。人類の最大の敵のことだ。何だそのわからんって顔は!ならもう少し詳しく話してやる。元々魔族は人類とは別の大陸に存在していた種族だ。極稀に魔族が人類の大陸に侵入するだけで被害は有ったが酷いと呼べる程じゃなかった。だがだ!此処数年来、人類は魔族による組織だった侵略を受けている!その魔族の驚異に対しての対抗策として前達が召喚されたのだ」
「…………それが理由」
つまり魔族との戦いの戦力として……いや知らんがな。つまりこの世界の戦争だろ?自分達には関係ないやん自分達で何とかしなや。アンタら仮に自分が召喚されても戦うかいな?まぁどうせ言っても無駄だろうから他の事を確認しとこう。
「魔族はどんな姿?」
「魔族の姿か。ふむ……基本的な姿は人と近いが、頭部が二つ有る者や悪魔の羽が生えた者やオーガの角の生えた者、姿は色々だ、一言で言えば魔族は人型に近い化け物だな」
髭面さん面倒そうな顔をしてる割に意外に答えてくれるな。それにしても人型に近い化物か。益々戦いたくない。
「そ、それって結局、違う種族どうしの勢力争いだろ。違う世界のボク達には関係ないじゃないか!」
オッ?クラスメイトの…えー………小太りの男子が抗議し出した。髭面男が抗議した男子の前まで移動した。身長差は頭一つ分だな。小太りの男子は怯えてる。
「何か言ったか?」
「ぇ、だ、だからぼ、ボク達に関係ない」
バキッ!!
小太りの男子が髭面男が持ってた杖で殴られた。痛そう。何本か折れた歯が飛んだのが見えたよ。小太りの男子は倒れて殴られた所を押さえて呻いてる。
「貴様らに反抗する権利は与えられていない!!痛い目に遭いたくなければ口を慎め!」
殴られた男子の頬は腫れ上がって口から血が出てる。他が完全に怯えてる。言うこと聴かすのに力付くなのか。髭面男、魔法使いみたいな格好の割に脳筋っぽいな。
「それと言っておくが我々にはお前達を元の世界に帰す手段などない」
フーン?
「ガンベルさん。その言い方だと二度と帰れないと誤解されますよ。 皆さん安心してください確かに私達は帰す手段を持っていませんが、召喚者は目的を達したら元の場所に送還されるます」
女性が他の集団を観察しながら補足。適当だなー。"エサ"を用意するならもう少しちゃんと言いなよ。
「ああそうだったな。さっき言ったがお前達の召喚された理由は魔族を倒すためだ。もし元の世界に帰りたいなら大人しく我々の言うことを聞け」
魔族を倒せ…………ね?倒すって何処までだ?滅ぼすまで?…"本当でも"帰るの絶望的だよね。
「もう聞くことはないな?………ふん、説明はこれで十分だろう。ルイそろそろ行くぞ」
もう終わり?
「判りました。あなた達も着いてきなさい」
広場から出るのか。どこに行くか判らないけど口から血を流した男子含めて、クラスメイトは大人しく着いてくみたいだな。
うん止まった?何でだ?
「お前ら!止まるな!動けと言うに!!」
「…」
他の七人どうしたんだ?怯えもせずに学生の方を夢中に見てる。広場に居る生徒の中の何人かも此方を見てる。何かあるのか?
「ガンベルさん様子が可笑しいですね?此はもしかて、……召喚の主の方を見てるのでは?ほら御伽話のミイレンとタカナにも結び付きが有りましたよね」
お伽噺?
「何?…つまり主従契約か?あの学生の誰か主が決められた可能性が有るかも知れんのか。しかしそうなると」
「ええ、此のまま戻るのは無理でしょう。幸い彼処の学生はこの国の住民ですが今回の場合は引き渡しを拒否される事は無いでしょう」
「そうだな。……ルイ、お前はコイツらと此処で待っていろ俺はレオン、殿達の所に行く。召喚の主の引き渡し要請をしなければいけないからな」
召喚の主?