召喚先の人達
【召喚先の】
此所はとある闘技場。
「皆、配置に付いたか」
クラスの委員長ヘイゼンが人数を点呼で確認。正体不明の魔法陣に私を含めた魔法使い見習い42人が整列しているのを確認すると報告しに行った。
今回私達はろくに説明もなく此処に連れてこられた。魔方陣の上に立たされたけど一体どんな大魔法を使うんだろう?
当事者の筈の私達は何も聞かされてない。スゴい不安。稀少な魔方使い見習い潰すとか無いよね?…何事もなくこの魔法実験が上手く成功すればいいんだけど…………。
私達マルガルド魔法学校四期生は課外授業という事を今日いきなり伝えられて、朝早くから馬車に乗せられ昼頃にこのベルセール闘技場に連れて来られた。
私は最初から説明もされずに突然の課外授業という事で少しの不安を感じていたわ。魔法学校で課外授業何て初めて聞いたし、何時もは不必要な程饒舌な先生に質問してもはぐらかされるし。
で、私たちが集められたベルセール闘技場は毎年国内外から魔法使い剣士の実力者を集めて、実力比べの大会を開く野蛮な聖地。 そして闘技場に居るのは魔法使い見習いの私達の他に兵士が多数。
最初はこの闘技場を利用して私達魔法使い見習いの演習でもするんだと思った。
けどこの聖地で私達は国が提案した新しい魔法を試すと突然伝えられた。そう伝えられると殆ど説明もされずに私達は闘技場の広場に移動させられた。
広場の真ん中の本来有る筈の戦いの舞台は無くなっていて、剥き出しの地面一面に書かれた異常に巨大な魔法陣が描かれていた。
魔法を使う人間に取っては基礎知識だけど魔法は魔法陣の大きさで規模が変わる。失敗の規模も変わる。…人一人分の大きさの魔方陣でも家一軒が消し飛ぶ。確か最悪な魔法って言われてる魔法の失敗で砦が消し飛んだ記録があった。
それで地面のは私が知ってるその最悪な魔法の魔法陣より倍はサイズが大きい。……………逃げたい気分になる。
それと同時に見習いだけど魔法使い、何の魔方陣か気になる。
だけど今からどんな実験をするのか質問をしてもこの魔法陣の正体は教えてもらえない。私達がやることは魔力を流すだけでいいとだけ説明された。
要するに私達は魔法という巨大な火を起こす為の燃料と言った所か?燃料なら知る必要はないって事?…………まぁ別に燃料扱いは構わない。魔法使い使い見習いにとっては此くらい普通の扱いさ……失敗さえしなきゃどうでもいいよ。
安全な実験と説明された。
うん、信用が全く出来ない。
先ず闘技場の入口に張り付いた兵士の数は少なくても一個師団。
それに闘技場の外には他にも兵士が沢山いた。
どう考えても敵の襲来を想定してるわよね?
それも国家クラスか、魔物の大群レベルの。私たちが選らばれた理由は…私達が死ぬことも想定されてるからと思うよ。この想像はあってる可能性が高そう…良く観察したら……伯爵以上の子息学生が居なくなってるからね。普段騒ぐアイツ等が静かだと思ったら何時の間に……。唯一残ってた伯爵家子息のヘイズンは報告に行ったきり戻ってこない。
私自身は生まれが侯爵家の令嬢だけど元。
生まれはエーレントリ侯爵家の三女。名だけで家名が無いのはつい昨年に侯爵家から除名、放逐去れてるからだよ。
放逐理由は貴族令嬢に待ち受ける政略結婚に反発して、婚約が決まっても数週間の内に婚約を破棄させたから。まぁつまり私が侯爵家の売り物にされるのが癪で婚約話を全部ぶち壊したんだよ。
やり方は結婚すれば家や結婚生活やらで後悔すると数週間掛けて吹き込む事かな?あとは言葉?小娘の優しい言葉で再起不能になる軟弱な婚約者殿達、あれは今思い出しても楽しかったな。
止めは通算で七回目の婚約が破棄された事で父上に、侯爵家の役に立たない者めとか色々と暴言を言われたんだ。それで私が領地運営が下手な父上は侯爵家の役立たずではと言った事かな。
だってねぇ?エーレントリ侯爵家は公爵領並みに大きい広大な領土を持ってる癖に、侯爵家で最下位近くの実力だよ?元からそうなら仕方ないけど、お爺様の代での領の実力は公爵になるかってぐらいだったんだよ?
なのにお父上の代で新しい挑戦とか言って採算が取れない無理な領土改造やら何やらをして、此処10年で侯爵家で実力が最下位だよ。もう伯爵領の中ぐらい並に成るんじゃない?影ではもう伯爵殿とか言われてるし。とこの事をオブラートに包んで身内うえの優しさで伝えたらグーで殴られて15の身で放逐だよ。
まったく言いたい事の1割も言ってないし、無能だってハッキリ言わなかっただけマシだのに?まぁ幸いな事に私は放逐された時には、マルガルド魔法学校に入学してたからいきなりは生活には困らなかった。
放逐されても寮を含めた入学金は入学時に一括で支払われてるからね。元父上も面子的に金を返せとか言えないよね。だから退学さえ無ければ後三年は朝昼晩、食堂でご飯が食べられて住む場所もある。私生活に必要なお金は流石にないと困るから、冒険者ギルドの一員として働いて稼いでる。まぁか弱い元貴族令嬢に出来る仕事なんて下っぱ仕事だけだから、カツカツ生活だけどね。 けどお嬢様生活より生きてるって実感が出来るし、それに元々侯爵家の生活は好きじゃなかったし今の生活で良いかなと思ってる。
問題が有るとしたら人間関係かな?一応昨年には私にも友人は多くはないけど貴族の友人は居たんだ。薄情なことに放逐されたって事で今はいない。話し相手ぐらい欲しいし貴族関係じゃない友人を探してるんだけど、やっぱり元貴族令嬢ってのは敬遠されるよ。
ああ考えが脱線してた。
兎に角此処に居るのは下級貴族に平民。魔法使い見習いは一応貴重だけど偉い人にとっては消しても問題ない人間ばかり……嫌な予感がする。というかどう考えても実験か私達に万一の事があるとか考えられてるよね。
ホント、逃げたらだめかな。ダメろうな。
私達、魔法使い見習いにとって遥か上の人が監督として居るからね。悪喰の魔導師、アームグルド。
魔法使いになる将来の事を考えたら雲の上の人が監督てる実験から逃げるのは最悪な手段だろう。出世の道が閉ざされる何てレベルじゃない。何の魔法実験をしてたか外に漏れない為に逃げたら確実に殺される。命あっての何とやらと言うからね。成功しても口封じの可能性あるかな……逃げれるなら逃げたい気分だけど………逃げ切れないだろうね。逃げ切れても指名手配か。
…………どうにも成らないか。
…そう言えば彼は何でいるの?
魔法の監督として……は可笑しい。足元にある魔方陣は空間か召喚関係の物、話に聞く彼の専門とまるで違う。こんな大規模な実験で専門外の魔法使いが監督するとは思えない。
となると監督じゃなくて……戦力として居る?
実験を外敵から守るためとか。それとも…………この実験の口外を防ぐ為、私達を速やかに処分するためかのどっちだろうか。………無いと思いたいけど有用な新種の魔法の場合、モノによっては莫大なお金と地位、名誉が手に入るからね。
「な、なぁあそこ見てみろよ」
「どこだ。お、おいアレッて魔導師の制服だろ」
「ああやったぞ。今回の実験、魔導師様の監修だ」
処刑人かもしれない相手をみつけて喜べる人は羨ましいよ。
ーーーーー
【召喚現場の責任者】
なんか不本意な事を言われたか?気のせいか?
魔法使い。魔法使いとは魔力を使い現象を起こす者。魔力自体は生き物全てが持つ力だから腕や脚があるみたいに持っていて当然なモノだ。しかしだ。
指先にマッチぐらいの火なら二人に一人が起こせても、魔法使いと呼ばれる程に魔力が大きく、魔法を発現させるほど才能を持ってる奴は数百人に一人。
その数百人に一人も何年も掛けて学校等で学習をしないとマトモな魔法は使えない。
まぁ魔法を使える奴はエリートだな。因みに魔法使いになる為に学んでる途中の奴は魔法使い候補か見習いと呼ばれる。魔法使い候補ってのは一定の魔力と才能が確認された奴の事だ。
見習いが魔法使いになるのは大体何年も掛かる。例えば俺も在籍してたマルガルド魔法学校だと七年通って卒業出来た奴が国家公認の魔法使いと呼ばれる。
今俺の前にはその魔法使い候補の第四期生が40ばかり居る。第四期の奴等の年齢は16だ。一端に魔法を使えるかどうかってレベル、半端なガキ共だな。
このガキ共は国の命令に従って普段は闘技場として使われる場所に強制的に呼ばれたんだよな。監督者として来てる俺も含めてな。
すべてはそう伝説の秘術、『召喚』の再現の為。
召喚ってのは遥か昔に勇者様を召喚して世界を救ったていう物語。つまりお伽噺の魔法の再現。詳しい事は知らないがどっかのバカが『召喚』を再現してしまって、国のお偉いさんが目をつけて実験する事になった。
因みに第四期が選ばれた理由はお伽噺の中の召喚者のイメージが15、6だからだそうだ。こんな大規模な魔法の実験にイメージってなんだよ!
ああそうそう、今更だが自己紹介をしよう。長々回想してるこの俺は何処にでも居るナイスミドルな中年男性。ではなく!
俺の名はアームグルト、ランペイスター。30代でこの国の魔法使いの最高位に位置してる、八人の魔導師の中の一人に選ばれた魔法使いのトップ。この国のエリート中のエリートだ。
なのにだ!今回の良くも知らない『召喚』実験の総責任者を押し付けられた可哀想な男だ!ホント最悪だよ!成功しても俺個人には名誉やら利益なんて俺が作った魔法じゃないからほぼ無いし、失敗したら責任取らされるんだぞ!俺は召喚魔法の作成にに関わってねぇ!今回の実験についても召喚を提案した奴がレオンって事しか知らないんだよ!
後聞いたのは魔方陣に魔力を入れたら発動しますってだけ!アホかぁ!!どうやって監督しろってんだ!大体誰だよレオンって!そんな魔法使い聞いたことねえ!俺がやれるの来るか判らない外敵から守るぐらいだけだよ!
あのジジイ共、何で俺なんだよ!何が国王様直々の命令で名誉だ!俺が若いからって妬みで責任ばかり押し付けてくんじゃねぇよ。名誉なら自分等でやれよ!!さっさとくたばれ老害共!
「アームグルト様準備できました」
愚痴を内心だけでいってたらジジイ共から押しつられた監視もとい女の部下がそう言った。この監視、美人じゃなきゃ追い出してやるんだけどな! 俺の性格把握してやがるなクソジジイども!
「…………そうそうアームグルト様、お歴々の悪口をこんな場所で言わないで下さい。周りの者が困ってます」
あっ?
「口に出してたか?」
「はい周りの反応を見て分かってください」
俺の元からの部下が気まずそうに眼を逸らしてやがる。ヤバイヤバイ口に出てたか。
これ以上本音が漏れない内にさっさと終わらせよう。光る特殊な魔法薬で闘技場一杯に描かれた魔方陣の中に、魔法使い候補が集まってるな。
…………だが不安そうだな。気持ちは判るがな。
精神が安定してないと魔力が不安定になる。そうなると実験が失敗するかもか。俺より情報を知らされてない実験だから不安になるのも仕方ないか。はぁこう言うのやりたくないがやるか。音拡大魔法を発動してと。
「諸君らどうした顔が強張っているぞ!国家の魔法実験に参加してる緊張は判るが肩の抜け。簡単に成功できる実験だ。だが魔法実験は何が起こるか判らない。その万一の事を考えての安全に対する配慮も万全だ。名乗るのが遅れたが私は八大魔導師の一人アームグルト、ランペイスター 、今回の実験の監督をしている!安心しろもし万が一の事態になっても私が居る限り実験に少しの失敗もない!大丈夫、諸君らは気楽にしてれば良い。いいか?」
(魔法使い候補達は服は立派でも地味な中年男性に向かい、感動した眼で一斉にハイッと答えた。あんな適当な発言で、名前とはスゴい」ボソッ
言い返せない事を心の声風に出して言うな!
俺も適当過ぎるは思ったわ!監視に付けられた女!顔はいいが性格は最悪だな!良いじゃないか!一応緊張が溶けたんだからよ!
「よろしい良い顔だ。……では陣への魔力込め開始!」
へぇ、中々スゴい魔力の本流。見習いでも流石に数十人集まると凄いな!けどまだ魔方陣の発動段階に届いてない。魔力が何処まで必要なのかぐらい情報よこせよ。
「モットだ!魔力をモット込めろ!」
俺が魔力を込めろと言ったがい、いや凄すぎるな!殲滅級の魔力は魔方陣に入ってるか!くそ、もう俺でもどうにもならんし!止められんぞ!
「あ、アームグルド様大丈夫なのでしょうか」
「俺に聞くな!今更止められないだろ!」
ひ、冷や汗が出てきた。ヤバイんじゃないか。もし万一あの魔法が失敗して魔力が暴走したら……広場は消し飛ぶ。確実に魔方陣の中のガキは消し飛ぶ。もう俺も生き残れるか怪しいレベルだな。
まだか、まだ完成しないのか!
止まった!魔法陣を極限まで魔力を吸収したか!発動するか!発動してくれよ!しないと魔方陣の魔力の暴走!大爆発!
「くっ!眩しい!」
魔法陣が光輝いてる。金属を引っ掻いてるみたいな嫌な音がしやがる!くそっ、魔法陣から漏れた余剰魔力だけで!眼が焼けそうだ!ガキどもが悲鳴を上げてる!光で見えない!魔法の失敗の時と似てやがる!!上手くいくのかよ!
……………
………
…お…音と光が消えた。死んでないな?
死んでない。
結果は!魔法陣は魔力を無くしてるただの模様に成ってる!ガキどもは!な、なんだ?無事どころかガキが増えてる。いや何だあの服は?見たことの……は!?
「転移反応!」
転移で誰か来る! 召喚の情報を知った敵か!
「全員警戒しろ!何者か来るぞ!マキシフィールド展開!!!」
周囲30メートルを俺の魔法フィールド、陣地にする。この陣の中なら百人を一度に即殺も可能。準備に時間が掛かる魔法だが、今回は最初から準備して待機状態にしてたからな此の中なら何人来ようが撃退出来る。さて次は部下に指示を要らんな。
「「はっ!」」
転移する場所を言う前に部下が予測地点に杖を構えている。俺より遅れたが転移場所は判ったか。しかし監視の女は攻撃準備もしてやがるな。
腹が立つが………俺の部下並かそれ以上か。確か名前は…………エリアだッけか。後で勧誘するか?の前に来る!ドンピシャ!俺の陣地の中か!
「む?これは、マキシフィールド?アームグルド魔導師か」
「バルゼンダ魔導師!?」
俺の近くに転移で現れたのはこの実験の責任を押し付けたバルゼンダのジジイ!なんでここに!…そうか…ちっ、タイミング的に実験終わりを狙って来やがったな。
うん、おい後ろの奴は誰だ!ジジイに着いてきた男二人と女一人 ? 同じ服の男女二人…ブラウンの髪の髭面の男にグリーンの髪の少女か、服装はどちらも青系統の特徴的なローブ、同盟国フィアニスの魔法使いか?同盟国の人間か。
同盟でも問題は問題だが今はいい。それより残りの一人の男!
見たことがない狐目の優男だ。服装はウチの国のと違う貴族の服、見た目の派手さがない黒だが………帝国系統のだよな。帝国とは敵対とまでいかないがウチと小競り合いは続いている。 潜在的敵国って奴だ!
「彼等が召喚者ですか…」
優男あれが召喚者だと?ただのガキ…………ではないか。感じる魔力が俺より上なのが何人もいる。 召喚が成功したか解らんけど少なくともただのガキじゃないな。
いや今注目するのはコイツだ。
こいつは何者なんだ?他の三人は兎も角、優男は多分同盟国でもない帝国の人間だよな?今回の実験は国の極秘の実験だ。関係者は全てリストアップされている。例えマルガルド国の人間でもリストに入って無ければ此処に入れば排除する決まりだ。
幾らバルゼンダのジジイでも、監督責任を持たされた俺に無断でリストアップされてない。他国の部外者を入れて言い訳ないだろう。
………排除するか?
いや当然すべきだ。最悪連れてきたジジイごとでもやる必要がある。一応同盟関係のフィアニスの二人の公での排除は不味いな。拘束か。召喚者とかいうのに夢中に成ってる今は簡単だな。
「おっと攻撃はしないで下さい。アームグルド殿。私は帝国の人間ですが今回の実験の関係者ですよ」
男女二人とバルゼンダ三人はギョッとしてる。この優男だけ俺の攻撃の意に気付いたか。……やるな。
感心してる場合じゃないかやはり帝国の人間か!しかし堂々と帝国を名乗ってやがったな。帝国よりマルガルドは弱小だがそんな堂々としてられるか?流石に無いか、まさか俺が知らされてないだけで、国を通して此処に来てるのか? まぁだとしても俺が知らないなら拘束はしなきゃいけない
「何者か解らない少なくとも他国の服の人間であり、関係者のリストに入っていない相手を警戒するのは当然でしょう?取り敢えず拘束させてもらいます」
「待ってください今から説明をしま、っ!」
フィアニスのグリーンの髪の女の発言を無視して、嫌だが魔法媒体の杖を突き付けて四人を何時でも攻撃出来る様にした。男女二人が魔力媒体を出した。優秀そうだがこのフィールドの中ではそっちに勝ち目は無いぞ。周りを部下が取り囲んでるしな。
「四人とも動かなで頂きたい。拘束ではなく排除の対象となります」
「アームグルド魔導師!止めないか!」
ウッセェ!ジジイ!
「四人と言ったでしょう。貴方も他国の人間を入れたんです。実験の秘密を守る立場に居る者として看過出来ません。バルゼンダ魔導師貴方も拘束の対象です」
「なんだと!」
相変わらず同格の俺を下の人間を見る様な眼で見やがって、一応他三人は抵抗する気はないみたいだが、此のままジジイだけでも抵抗したって事で排除するか?
「くくくく」
優男が笑ってる?
「………何が可笑しいんです」
「いや失礼、確かに重要実験に他国の人間が入れば警戒は当然ですね。ですが心配は御無用です。私も実験関係者のリストに入ってる筈ですよ」
帝国の人間がリストに入ってる訳がないだろ!誤魔化すにしろもっとマシな理由にしろ!
「ほう、貴殿が?お名前を窺っても?」
さぁ何て答える。
「ああ名乗るのが遅れまして失礼しました魔導師アームグルド殿。私はレオン、レオン、ベルズスタ今回の実験を提案したモノです」
レオン?……れ、レオン!?こいつがレオンだと!!?確かに実験を提案したレオンならリストに乗ってて当然だ!リストにはレオンの情報が全部不明と書いてあったが、帝国の人間だったからか!? 隠された理由は帝国の人間としたら納得がいくな!
ふざけんな!
「バルゼンダ魔導師!彼のいってる事は本当ですか!レオンとは帝国の人間だったのですか!」
「そうじゃが?何を怒っておるアームグルド魔導師。それよりいい加減フィールドの展開も解かんか」
「な、なにがだ、ですと!帝国の人間が提案した召喚の実験を何で何故、マルガルドの学生がやるんです!」
帝国の人間の発案だと否定しないだと!失敗すれば俺も含めて全員死んでたぞ!まるで帝国の身代わりに危険な実験をしたようなモノだ!
「落ちついて下さい。アームグルド殿。今回の実験は・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何?…………な、何だと? 何だそのふざけた理由!いや確かに重大だが!この野郎良く平然と言えたな!
「納得されませんか?ですが納得して頂きたい。 三か国で同意した事です。此方が貴殿方の王、マルガルド王が出した書面です。此処に書かれてる通り私と後ろの女性お二人も此処に居ることは許可されています」
レオンが懐から取り出したのは、こ…これは確かにマルガルド王、イーグスト陛下ご自身の魔力を込めた魔力紙の書面…………偽物じゃない。本当に許可されてる。
…………フィールドを解くか。解くしかないか。
「納得されましたか? 」
「ええ確かにイーグスト陛下御自身が………レオン殿知らないとはいえ誠に失礼しました」
「立場上仕方のない事です気に為されないでください」
「ありがとうございます、そちらの………お二人も杖を向け申し訳有りませんでした」
「フィアニスから来ましたベルリグです。気にして無いです」
「同じくフィアニスから来たガンベルだ。監督する者としては当然のことだと思う」
「ありがとうございます。お三方本当にスミマセンでした」
ジジイ何自分には謝罪は無いのか的な顔をしてるんだ!お前が最初に話してたら無かった事だろ!
「頭を上げて下さい。事情を知らなければ仕方のない事です。気にしてません、っと騒ぎが起きてますね?」
確かにマルガルドの学生といさかいが起きてるな。
「召喚者殿達もいきなり訳の解らない状態に陥れば仕方ないですか。……このまま怒り出せば何が起こるか興味深いですが私も危険ですね」ボソッ
最後の方、悪巧みみたいな笑みをみせたな。見掛けで判断すれば裏で悪巧みするタイプか。
「直ぐに召喚者殿達と話をしないといけませんね。………アームグルド殿話は私がして宜しいですか?」
「……レオン殿がですか?」
俺としたら有り難い気もするが良いのか?
「私が召喚を提案をしたモノですので責任を取りたいのですが?」
「……そうですか。それは人として立派な心掛けですね。ではレオン殿から彼等への説明をお願いいたします」
「ご許可いただきありがとうございます」
ふん、何が責任をとるだ。成功するまでこの場に来なかった癖しやがって。
はぁ何で…………自国にフィアニスに帝国、三か国の同盟の証に召喚者何だ?