八 光の下
高速を走る車の中に、美しい声楽曲が流れている。
和泉は運転に集中しながらも、隣の吉田が、今回のケースについてまだまったく発言をしていないことが気になり、上司の言葉を待っていた。
「・・・ごめんね、和泉。」
「え?」
「私が何も言わないから、不安になっているでしょう?」
「あ・・・いえ・・・・」
この上司の千分の一でもいいから、自分も吉田の気持ちを察し理解することができたらよいのにと、和泉は思った。
再びしばらく沈黙が流れる。和泉は別の話をした。
「この曲、ときどき社長が聞いておられますね。・・・なんという曲なのでしょう。」
「ペルゴレージのスターバト・マーテル。和泉はこういう曲、好き?」
「・・・吉田さん、お好きではないのに、聴いておられるんですか?」
吉田はくすりと笑った。
「和泉、おもしろいこと言うわね。」
ふたつの女声が絡み合うように紡ぎだされる調べが、夜空の星々の光と、混ざり合うように流れていく。
「す、すみません・・」
「美しいけれど、ただひたすら、嘆いて、そして祈っているだけの曲よ。」
「そうなんですね。」
「そう・・・。それだけ。」
吉田の声に、かすかにため息が混じった気がした。
「・・・・」
「あの人たちに、ちょっと似合う曲かもしれない」
「・・・・」
和泉は前を見ながらも、吉田が窓の外の夜空を見上げたのがわかった。
「愚直に守る。奪われて嘆く。それだけ。ほかには、なんにも、しない。」
「・・・・」
再び正面を向き、吉田は足を組んだ。
「ほんとに、おもしろい人たち。あんな風になれたら、ある意味しあわせなのかもしれないわね。でも私には、無理。」
和泉の顔に、微笑みが浮かんだ。
「私も、無理です。」
夜更けの大森パトロール社の事務所で、波多野は最終報告を終え、電話を切ろうとした。
電話の相手が何か言い、波多野は少しためらった後、答えた。
「そうですね。そのうちあいつらにもちゃんと話したほうがいいと思います。でも、まだ、いいんじゃないかとも、思いますよ。・・・・社長が、一番好きで、一番嫌いだった、大親友については。」
電話の先の相手の声とともに、その背後の音楽が聞こえていた。
その美しい女声声楽曲は、まだこの会社が存在していないころから、波多野がたびたび耳にしてきた曲だった。
「・・・いずれにせよ、今回のこと、ご許可くださり感謝しています。結果的に、あいつらにとって良かったんじゃないかと思ってます。精神的にきつかったと思いますが。でも、一番きつかったのは、社長でしょうね。」
相手の言葉を待たず、波多野は言葉を続ける。
「ともあれ・・・吉田明日香の志したものは、その妹に・・・気鋭のエージェントに、しっかり受け継がれてますね。じつに、困ったことですが。まあ、そんなことはいずれにせよ、うちには関係ないことですけどね。我々の仕事は、いつも、単純です。」
受話器越しに、女性の控えめな笑い声が漏れる。
「そう、単純ですよね。犯罪から、ただ守る。それだけですから。」
高速の出口が近づき、和泉は一つだけ、上司に頼んでみた。
「吉田さん・・・・。この曲の歌詞、どんな意味なんですか?」
喉の奥で控えめに笑ったあと、吉田は言葉を出した。
「悲しみの母は 涙にむせび
御子のかかった 十字架の傍らに
佇まれた
神のひとり子の かつてあれほどまでに
祝福された母
慈悲深き母は 人々の罪のために
御子が責められ 鞭打たれるのを見られた
愛しい御子が
苦しみ 息絶えるのを見られた
聖なる母よ
十字架にかかりし傷を 私の心に刻みつけてください
私のために傷つき 苦しんだその罰を
分けてください
私の命のある限り
あなたとともに涙し 磔刑の苦しみを感じさせてください
十字架のもとに立ち ともに悲しみ苦しむことを
私は願います」
日曜の早朝、坂を上りきったところにある教会の前に、オートバイが停まり、日焼けした青年がリュックを背負って降り立った。
山添は、リュックを開け、少し形の崩れた青い花束を取り出し、教会の脇を通り抜けて奥の墓地へと向かう。
墓地の一角で立ち止まり、そのまましばらく立っていたが、小さくため息をついて、まだ夜明けの薄暗さの残る空を見上げた。
「和人、お前の遺志と、合っているのかな・・・?俺たちがやっていることって。」
やがて山添は跪き、あらためて墓碑に目を落とした。
「・・・今日この質問をされるのは、二度目かな、和人。」
墓碑には、すでに真新しい白い花束が、捧げてあった。
昼前の明るい陽光の下、門から白い車が入り、さらに少し走って、巨大な日本家屋の玄関前で停まった。
出迎えた女性が、車から降りてきた高原を中へ案内した。
客間の前を通り過ぎ、長い廊下を抜けて階段を上がると二階には洋間の扉があり、女性は立ち止まり、扉をノックした。中から返事があり、女性に促されて高原は中に入る。
「失礼します。」
部屋の主は寝室のベッドで、肩に袖を通さずにガウンをひっかけたままの恰好で腰かけていたが、高原を出迎えて立ち上がった。女性のほうを見て声をかける。
「真木さん、高原さんにはコーヒーをお願いします。」
「かしこまりました。」
寝室の中央にあるテーブルに向かう椅子に、英一は高原を伴って移動し、向かい合って腰を下ろした。
「すみません、昨日の今日で・・・。まだお疲れでしょう。」
「いえいえ。せっかく病院から解放されたのに、親父が今日は寝室から出すなと真木さんに厳命したらしく、どうやって過ごそうかと思っていたところです。」
「ケガの具合は、いかがですか?」
「念のため今朝まで病院に留め置かれてしまいましたが、特に後遺症の心配もないそうですし、大丈夫です。ありがとうございます。」
英一のガウンの隙間から、腕の痛々しげな包帯が少しだけ見える。
高原は、椅子から立ち上がり、頭を下げた。
「こんなお怪我になってしまい、本当に、申し訳ありません。」
英一は慌てて立ち上がり高原に座るよう頼んだ。
「私が・・・勝手にやったことですから。」
「あの後、葛城が河合の知らせを受けて病院へ伺ったとき、同じことを言っていたと思いますが、メイン警護員がサブ警護員をフォローしきれなかったのはお恥ずかしい限りです。二人には改めてお詫びのご挨拶に来させます。」
英一は高原の右肩に右手を置いて椅子に座らせ、微笑んだ。
「夕べ病院に来られた葛城さんも、確かに同じことをおっしゃっていました・・・・しかも今のあなたと、まったく同じような顔で・・・。本当に貴方がたは、プロ意識の高い警護員さんたちだと、思います。」
「・・・・・」
「昨日の公演での皆さんの警護は、まさに、プロの仕事だったと思っています。我々は皆、感謝していますよ。」
「・・・感謝しているのは、私たちのほうです。」
もう一度高原が、頭を下げた。
「河合警護員を、助けてくださり、本当にありがとうございました。」
「そろそろお昼にしましょうか、茂さん」
書類と端末の置かれた打ち合わせコーナーのテーブルで、葛城が茂に言った。
いつの間にか時計の針は正午を指している。
「あ、もうこんな時間なんですね・・・。」
「始まりが遅かったですからね。」
二人は大森パトロール社の事務所で、今回の警護のレビューと報告書作成をしていた。
「外で食べましょうか、それとも出前がいいですか?」
「はい・・・・」
茂が上の空な様子なのを見て、葛城は例によってその艶な両目でじっと茂の顔を見た。
「麦茶、飲みますか?茂さん」
「ははは・・・」
そして茂は、椅子からおもむろに立ち上がり、頭を下げた。
「葛城さん、俺、今回また勝手なことをしてしまい、申し訳ありませんでした。」
葛城が微笑した。
「・・・今朝からそれを言いたくて、ずっともの言いたげな様子だったんですね?」
「は、はい」
「確かに、メイン警護員に無断で一人で旅館に戻ったのは、危険極まりない行動でしたね。警護業務が終了したとはいえ。」
「はい。中途半端な行動だったと思います。すみません・・・。」
「そうですね。これからは、ああいうときは、私も一緒に連れていってください。」
「・・・・」
葛城の顔から微笑が消えていた。その目には、自責の色がよぎっていた。
「茂さん、私は、あなたにお礼を言わなければならないんですよ。・・・それから、お詫びも、です。」
「え?」
「あのとき、警護を断らずに済んだのは、茂さんのあの一言のおかげです。」
「・・・・」
「目を逸らして通り過ぎようとしていた事実を、指摘してくれた、そのおかげなんです。」
「・・・・」
葛城は、立ち上がった。茂とほぼ同じ身長の葛城の目線が、茂の目線と水平に合う。
「そして・・・お詫びをしなければなりません。あの後、私が茂さんを守れなかったことを。」
茂は、夕べ英一が傷の手当てを受けた病院へ葛城が駆け付けたとき、葛城が、茂から事実関係だけを聞くと、それ以上何も言わなかったことを思い出していた。
そして、英一に詫びていた葛城の横顔を。
うつむいて言葉を失った茂に、しばらくして葛城が言った。
「ひとつひとつの警護は・・・貴重な経験でも、ありますね。私ももっともっと勉強しなければなりません。」
「葛城さん・・・・」
「これからも、よろしくお願いします。茂さん。」
「お、俺のほうこそ、あの、よろしくお願いします・・・!」
茂はふと、今までずっと持っていた素朴な疑問・・・・葛城がどうして警護員をしているのか・・・その疑問について、初めて、どうでもよくなった自分に、気がついていた。
自分がどうして警護員をしているのかという疑問と、同じくらいに。
長居を避け腰を上げた高原に、英一が言った。
「差支えなければ、お見送りがてら、蒼風樹・・・三村美樹が、高原さんにひと目お会いしたいと申しているのですが・・・」
「はい。」
英一の指示で間もなく真木さんが蒼風樹を伴って部屋に現れた。
背の低い痩せた女性は、今日は洋装だった。
「初めてお目にかかります。三村美樹と申します。いつも英一がお世話になっております。」
寝室から出られない英一が真木さんに厳しく監視されながら二人を見送り、蒼風樹は高原を案内して玄関へと向かった。
ゆっくりと歩きながら、蒼風樹は低い声で言った。
「あれは・・・英一は、ああ見えて、他人との意思疎通が全然できない人間でした。」
「は・・・・」
「何をやっても上手ですから、人付き合いもそつなくこなしますけれど、心の通う人間は、いなかったと思います。」
「・・・・」
「でも、大森パトロールさんの、波多野さん、高原さん、葛城さん・・・そして河合さんに出会って、なんだかほんの少しだけですが、あれが、心から何かを心配したり拘ったり、そういうことを始めたような感じが、しています。」
「それは・・・」
玄関前で立ち止まり、蒼風樹は自分よりはるかに背の高い高原の顔を、見上げた。
「まだまだ、子供ですけれどね。」
「・・・・・」
「あれは、私にとっては、たったひとりの弟か息子みたいなものです。皆様にご迷惑ばかりかけた私が、こんなことを申し上げるのは厚かましい限りではありますが・・・どうか、これからもよろしくお願いします。」
「・・・はい。」
午後、仕事を終えて事務所を出た葛城は、駅までの道を歩きながら、携帯電話をかけていた。
「もしもし・・・晶生?」
高原がワンコールで出る。
「ああ、怜。お疲れ。」
「英一さんの様子はどうだった?」
「怪我は確かに重傷だ・・・本人が言うよりも。でも、顔色はまあまあだった。ご家族がしっかり監視しておられるから十分休養されるだろう。」
「よかった。」
「そうだな。」
「・・・晶生。」
「ん?」
「公演会場での警護では・・・ごめん。」
「・・・・」
「奴らの指摘どおりだ。俺は、クライアントを守ることを、あの場に及んで躊躇した。」
「わかってるよ。」
「・・・・」
「なんにせよ、今回・・・奴らに、借りが出来てしまったとは、言えるね。」
「そうだね。」
「でも奴らもこれで、何かをリセットしたかったのかもな。根拠はないけど、なんかそんな感じがするよ。」
「・・・」
「それができたのかどうかは別として、いずれにしても、これで奴らと何か分かりあえることが見つかったかといえば、まあ、その反対だろうね。」
「・・・・そうだね。」
街の中心にある高層ビルの事務所に、一人の女性が上司に伴われて緊張の面持ちで社長室に入っていった。
「・・・君が、今度採用になった・・・」
「森宮さんです。」
隣に立っている吉田が代わりに言った。
阪元は、深いエメラルドグリーンの目を少し細めて、異国的なその顔をあらためて目の前の新人エージェントに向けた。和泉に負けないくらいの高い身長に、少年のようなショートカットの髪型がよく似合っている。
そして阪元は、森宮の目の深い湖のような色が、隣の吉田によく似ていると思った。
「新人はしばらく別の上司のもとで経験を積んでもらうけれど、その後、恭子さんの・・・吉田のチームに入ってもらうことになる。覚悟のほどは、いいかな?」
「はい」
森宮が退出した後、残った吉田に、阪元が声をかける。
「あの子、君に似てるね。」
「そうですか。」
「つまり、明日香に、似ている。」
「・・・・」
「良いエージェントになる予感がするよ。第一印象の、直観だけど。・・・お客様の、ご推薦なんだってね。」
「はい。川西肇さまが、ご紹介くださって、選考対象になった人間です。」
「ああ・・・・君がずいぶん落ち込んでいた様子だった、あの案件の、お客様だね。」
「・・・・・」
「うちの会社は、まったくの文字通り、良い人材が生命線だ。こうしたご紹介はありがたいことだよ。そしてなにより、お客様からのご支持が、ね。」
「川西様は、莫大なご寄附もくださいました。」
阪元は微笑み、窓の外へ目をやった。午後の陽光が柔らかく遠くの街並みを浮かび上がらせている。
「明日香がいつも言っていた言葉、私も時々、改めて自分に言い聞かせている。」
「はい。」
「”何度挫折しようとも、絶対に、あきらめるな。”」
「・・・・・」
「続きを、言ってみてくれるかな、恭子さん。」
「・・・・”そして野垂れ死にせよ。希望をつないで。”」
阪元が吉田のほうを振り返り、吉田は一礼した。
「それでは、失礼します。次の仕事の打ち合わせがありますので。」
「酒井、和泉、そして板見。皆、良い人材だね。これからも、よろしく。」
「はい。」
翌月曜の夜、大森パトロール社の事務所に茂と葛城が顔を出すと、応接室の扉が閉まっていた。
「お客様ですか?」
事務の池田さんが答える。
「学生さんが、波多野さんにアポをとられて。」
応接室のソファでは、波多野の前で一人の青年がかしこまっていた。
「大学二年か・・・。今の学生さんって、そんなに早く進路を決めるんですねえ。」
「俺、絶対に、警護員になりたいんです。どうかよろしくお願いします。」
「動機は、お父様のことですか?」
「はい。こちらの大森パトロール社の、高原さんのことを、父からずっと聞いています。そして・・・父があの事件で世間からどんなふうに言われているか、よく分かってます。そんな父を、守ってくれた警護員さんのように、そんなふうに、俺もなりたいんです。」
「警護員の仕事は、世間のイメージとはかなり違いますよ。地味で激務です。」
「はい、想像はしてます。」
「まあ、今は大学での勉強をがんばることが第一ですよ。そしてもしも・・・」
「・・・・」
「もしも、本当に本気で警護員を目指されるのなら、そうですね、まずは学生さんのうちに色々な経験をして、見聞を広めておかれるのが大事なことでしょう。それから、何かひとつ、武道をお習いなさい。これは、技を磨くというより、体力と精神力づくりのためです。」
「はい。」
「そしてもしも就職前の見習い・・・インターンシップで来られたら、そうですね、高原は無理ですが、河合くらいとならペアを組ませてあげますよ。」
「ありがとうございます。河合さんのお名前も、父から聞いています。」
「頑張ってくださいね、豊嶋さん。」
学生を事務所入口まで見送り再び事務室へ戻った波多野は、影からこちらを見ている茂の視線に気が付いた。
「なんだ覗き見は良くないぞ、茂」
「今の人・・・豊嶋さんの息子さんですよね?」
「個人情報だ。」
「はあ・・・」
「お前たち、英一さんのところへは行ってきたのか?」
葛城が給湯室から出てきて茂の代わりに答える。
「はい。茂さんも会社を休んで昼間に伺おうとしたんですが、英一さんがその必要はないとおっしゃって、昼間の会社の仕事が終わってから私も合流してさきほど行ってきました。」
そのとき、従業員用入口がカードキーで開く音がして、高原が入ってきた。
「波多野さん波多野さん」
「なんだ、晶生」
「今このビルを出て行ったの、豊嶋さんの息子さんですよね?」
「・・・個人情報だ。」
高原が打ち合わせコーナーで茂に最新の電子錠のこじ開け方を教授している間に、少し離れて波多野が葛城に尋ねる。
「あの二人・・・茂と三村英一さんは、どんな様子だった?」
「・・・・いつもと、変わりませんでした・・・。」
「そうか」
「二人とも相手を尊敬してるはずなんですが、どうして仲良くできないんでしょうね。」
「そうだな」
波多野はにやにやしながら、部屋の反対側の打ち合わせコーナーで、高原と向き合って座っている茂を見た。
「まあ、人間関係は、本人たちにしか分からないことも、あるもんな。」
電子錠の最新モデルをクリアして高原に褒められた茂は、嬉しそうに笑い、そしてふと思い出したことがあり高原に言った。
「そういえば、姉が喜んでました。」
「ん・・?」
「俺が退院した日、高原さんが姉を見て美人だとおっしゃっていたんで、姉に伝えておきました。」
「既婚女性に感謝されてもなー。」
「高原さん、まだ新しい彼女できないんですか?」
「お前に言われたくないが・・・。お前の昼間の会社に独身女性とかいないのか?」
「いますけど、独身女性で、三村のファンじゃない人間を探すのは大変です。」
「不毛だなあ」
「そうですね」
「そうそう、葛城怜不幸の話、その後の最新情報によると」
「はい」
「例によって、交際後一か月で怜がふられた後だ、」
「はい」
「その元カノが、罪悪感を感じて、これからはお友達として仲良くしようと、自分の新しい彼氏を怜に紹介したんだ。」
「ふむふむ」
「その日以降、二度と怜はその元カノに口さえきいてもらえなくなった。」
「なんでですか?」
「その彼氏が、怜にひと目ぼれした。」
「あはははは!なるほど!」
そして茂は、ちょっとトイレ行ってきますといって席を立った。
そのまま直進し、葛城とすれ違った茂は、安全な距離まで早足で退避した。
後ろの打ち合わせコーナーから、高原のすごい悲鳴が聞こえてきた。
「こら、うるさいぞ、晶生!」
応接室でテレビを見ている波多野の声が響く。
大森パトロール社の事務室の窓から、大きな月が明るく見えていた。
第六話、いかがでしたでしょうか。
「ガーディアン」シリーズは、当初の予定ではこの第六話で一段落のはずでしたが、描き切れなかったことも色々あるので、さらに何話か、書き足してくことになろうかと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
なお、もしも作中に出てくる曲、ペルゴレージのスターバト・マーテルにご興味がありましたら、下記の演奏がおすすめです。
http://youtu.be/9mrVZHPikqM




