第六話
どうしてこうなった。
なんか母さんに対してヤンデレのようなものか……。
まあそれは置いといて、次回にはやっと異世界に行きます!
ほんと、その前に作者がめげそうでした。
それと、お気に入り登録してくださったかた、ありがとうございます!
「そう言えば、母さんはどうしてあっちに戻ろうと思ったんだ? 」
そう、これが一番の疑問だ。
さっきからずっと魚の小骨のように喉に引っ掛かっていた。
もしかしたら言えない事なんじゃないか、という懸念を頭から振り払う。
幸い、母さんは表情を変える事はなかった。
が、その瞳は決意に満ちている。
「私はね……。あの世界を変えたいの」
どういう風に変えたいのだろうか。
話の流れからいけば、魔物との間の子が生きていけるような世界……。
「そう、私は魔物との共存を目指しているの。私達のような境遇の子供達が生きていけるように」
そこにすかさず戒が口を挟む。
「母さん、正気ですか? 無茶ですよ。僕達は禁忌の子。あちらの世界では存在を認められないのでは」
そうだろう。王様でさえ反乱が起きるのだ。
どこの馬の骨とも知れぬ俺達が声を上げても、反逆罪として捕らえられるだけだ。
「そこは大丈夫。私達は超高濃度の霊気を浴びたから、魔力は浄化されたの。この地球には、水一滴で霊玉を超える霊力が内包されているから」
「なるほど、ではどこの誰だかわからない、というのはどうやって? 」
母さんはおもむろに、いつも身につけていたペンダントを外した。
その古めかしいペンダントには、何か人型が彫られている。
「これは王家の首飾り。王家の血に反応して、光り輝くの」
そういって母さんはその首飾りを渡してきた。
持ってみると意外にもズッシリとくるそれは、俺が触れるや否や蒼く輝き始めた。
「こんな風に、悠くんには王家の血が流れている事を証明出来るの」
確かにそうであろう。
輝いているこれは、王家の首飾りという名に恥じず、美しく荘厳で、見る者全ての心を奪うような光を放っている。
光に見とれて、しばし呆けていた戒が我を取り戻して質問をする。
「ですが母さん。わざわざそんな事をしなくても、禁忌の子をこちらに一度連れてきて、またあちらに戻せばいいのでは? 」
今日は本当に珍しい。戒がここまであまり考えずに発言するとは。
表情には出さずとも、相当パニクっているのだろうか。
「それじゃあ問題の根本的解決にならないじゃない。片親になるし、そもそも体に内包されているものが半分も入れ替わるのよ。私達もそうだけど、あっちにいたら体がどんな変化を起こすかわからないわよ」
……なんだろう、悪寒がする。
戒の性別が変わって俺に迫ってくる未来を幻視した。
「すみません、失言でした。では、あちらでの目的は王の座に返り咲く。若しくは、王に対し魔物との共存を実施させるほどの権力を持ち、それから魔物との共存を目指す、ですね」
そこまではわからなかったな。
やっぱり戒はパニクっていても、頭の良さは発揮されるようだ。
「そういうこと。……でも、悠くん達が嫌なら別にいいんだよ。危険な事だし」
確かに危険だろう。下手すれば、命を落とす可能性もある。
更に言えば、俺は正直禁忌の子に対して、あまり実感がないからかそこまで同情などの感情を抱いていない。
薄情かも知れないが戒もそう思っているだろうと思う。
でも……。
「母さんが今まで俺達を育てて来たんだ。この命は母さんに救われたんだ。だから、母さんの好きに使って良いんだよ」
「そうですね。目的に対しては、正直他人事かも知れないのであまり理解は出来ませんが、母さんを手伝いたいと思うこの気持ちは本物です」
そうさ、だから母さんが人を殺せと言っても俺達は何も言わずにやってみせる。
後悔なんかしないさ、母さんの役に立てるのなら。
後書きって前書きで書きたい事を全部書くから書くことが無いんですよね……。
え?じゃあ書くなって?
後書きが無かったらなんか締まらないじゃないですか……。