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第十一話

黄金週間が、ダラダラとしているだけで終わってしまう!?

……ああ、鬱だ。

 俺がまず感じたのは、頭の下にあるなにやら柔らかいものだった。


 ここが桃源郷か、などと取り留めもないことを考えているうちにぼんやりとだが、しかし確実に意識が戻ってきていた。


 そういえば、母さんを石の像に変えた蛇を倒したんだな、あたりを思い出した時点で、俺の目は完全に覚めた。


「目が覚めた? 」


 目を開けると、俺の視界いっぱいに現れた碧眼の美少女、つまり母さんが心配そうな表情で話しかけてきた。


 真正面に現れた母さんの美貌。つまり、さっきから俺の頭の下敷きになっている柔らかい魅惑の物質は――太もも。


 そう、俺は母さんに膝枕されていた。


 俺が思わず急いで体を起こそうとすると、母さんは女、ということを否応にも意識させるその白魚のような細い指でやんわりと、しかし有無を言わせない程度には力強く俺の頭を膝の上に押し留めた。


「えっと……私の膝枕、嫌だった? 」

 若干涙目でそう言ってくる母さん。そんな破壊力抜群の仕草に耐えられるはずもなく、俺はあっさりと白旗を掲げた。


「全然嫌じゃないですから! むしろありがとうございます! 」


 なぜか敬語になってそう言った俺に、母さんはクスリと可笑しそうに笑った。


 その表情にしばし見惚れ、慌てて我に返ると、俺はふと頭をよぎった疑問を口にした。


「そう言えば、戒はどこにいったんだ? 」


 またあんなのが出てきた時に一人だとかなり危険だ。


「戒ちゃんはあっちの湖に水を汲みにいったわよ」


 ……ちゃん? ……そうだった、戒はなぜか性別が変わったんだった。


「そうか……。魔物? は大丈夫なのか? 」

「大丈夫よ、さっきの戦闘の余波で回りの魔物は逃げて居なくなったから」


 良かった。俺はホッと胸を撫で下ろす。


 ……どうでもいい事だけど、戒ちゃんってなんだかあまり似合わないな。

「そう言えばさ、さっき神様が俺に力を貸してくれたんだ」


「へえ、良かったじゃない。……それで、どの神様なの? 」


 うんうん、良かった良かったと、なぜだか成長した孫を見るかのような目つきでこちらを見てきた。


「確か、自由の神-フライハイト-だった」


 ありのままの事実を伝えると、母さんの表情が笑顔のまま固まった。


「うーんと、悠くん。もう一度言ってくれる? 」


「だから、フライハイトだって」


『……ん? 呼んだか小僧』


 そんな茶番を繰り広げていると、本人が降臨なさった。


『なあフライハイト。これって母さんには聞こえるのか? 』


『聞こえないぜ。あの美人のねーちゃんは、違う神様の加護を受けてるからな』


 ああそっか。それじゃあ証明出来ないな。

『……そう言えばさ、母さんに神様の名前を教えて貰った時、影の神の名前はシャッテン、だった気がしたんだけど、間違ってたりするのか? 』


 するとフライハイトは、ああそうだったな、と言って説明を始めた。


『シャッテン、ってのは仮の名、称号みたいなもんだ。逆にスキア、こっちが本当の名前。でこれを、神ノしんのめいって呼ぶ』


 神ノ銘って、明らかに大切そうだな。俺なんかが呼んで大丈夫なのか?


『小僧は俺様の加護、つまりスキアより格が上の加護があるから大丈夫だ。まあ俺様の加護が無かったら、神ノ銘、通称真名を呼んだ途端に頭パーン! だがな』


 頭パーンのあたりを殊更に強調するフライハイト。そんなにパーンして欲しいのかこいつは。


『……ちなみにフライハイトってどう考えても真名じゃないよな。フライハイトの真名は俺が呼んだらダメなのか? 』

『……ん? そうだな……。もっと小僧が立派になってからだな』


 それに、とフライハイトは続ける。


『真名ってのは、神が一人にしか授けない神聖なものなんだ。スキアだって、あんなに軽い感じだったが、お前を信用したから授けたんだ。その辺りもよく考えるんだな』


 ……そうか。何故俺に授けたのかはわからないが、そんなに大事なものだったとはな。感謝しなければ。


『でも、真名を授けたらなにかあるのか? 仲良しの証見たいなものなのか? 』


『お前そりゃ、普通に考えろ。霊術を行使する時にゃ、俺様達の名前を呼ぶだろ? その呼ぶ名前がホンモノかニセモノかだと天と地、月とスッポンの差があるだろうが』

 月とスッポンって……。こっちにもあるのかよ。


 ……まあ、これで大体はわかった。素直に感謝だな。


『ありがとうなフライハイト。ついでにスキアにもお礼を言っておいてくれ』


『了解だ小僧。また呼んだら来るからな。まあ呼ばなくてもくるけど。……すぐに死ぬなよな』

 じゃあなー、とエコーがかかったように遠ざかっていく声。


 なんだか気持ちが軽くなった、まあ実際に神の意識が体を離れた事で軽くなったのだが、そんな軽やかな気分で前を向くと、そこには怒り心頭な表情をした母さんの顔があった。


「こら悠くん! 何回も読んだのに無視しない! 」


「ご、ゴメン母さん」


 母さん、と言った時に眉を少しだけピクリと動かし、母さんは言った。


「これからは母さんじゃなくて、ユイって呼ぶこと」


「なんでだよ、母さ 「ユ・イ! 」……ん」


 これは、梃子でも動かなそうだ。


「ユイって呼ばなきゃ、怒るわよ」

 なんて横暴だ。言論の自由を訴える!


 見つめ合うことしばし、恥ずかしくもなって、折れたのは俺だった。


「はぁ……。わかったよ、かあさ……じゃなくて、ユイ」


 そう言うと、母さじゃなくて、ユイは少し頬を赤く染めながらそっぽを向き、「わかればよろしい」と言った。


「そういえば悠くん。さっきなんでボーッとしてたの? 」


「ん? それは神様と話してたから」


 そう言うと、少しの間空気が凍り付いた後、一瞬で砕けた。


「……ハァァアア!!?? 」


 砂漠にはかあ……じゃなく、ユイの見た目に全く似合わない声が響き渡るのだった。


 ……時に、君達は気づいたであろうか。


 まだ膝枕のままと言うことに。

最近、携帯で打つよりPCで打つ方が三倍くらい速いことに気がついた。

ついでに19日までPCが使えないことにも気がついた。

うーん……。携帯を赤く塗ってみようかな。


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