寂しくてお菓子で乗り越えた
気楽に読んで
「うまか棒」は、1979年に九州限定で誕生した明治の伝説的アイスです
バニラをチョコとナッツで包んだザクザク食感と、CMの「うまっかぼ~♪」のフレーズで全国的な大ヒットを記録しました
当時は当たりくじ付きの1本50円で、駄菓子の「うまい棒」と並ぶ子供たちの定番でした
その後、箱入りのファミリーパックとなり40年間愛されましたが、2019年に惜しまれつつ生産終了。今でも復刻を望む声が絶えない思い出の味です
寂しくてお菓子で乗り越えた
最新ゲーム機の複雑なボタンの前に心が静かに爆発したあの日、一ノ瀬教授の胸の奥には、言葉にできないほどの切ない寂しさと疲労の嵐が吹き荒れていました。
(うう、画面の中の敵にどうしても勝てない。自分の不器用さが本当に悔しくて涙が出そうだ……)
そんな涙の苦労をそっと包み込んでくれたのは、机の上に置かれた一本の「うまい棒」でした。サクッとした食感と懐かしい塩味が、タツオ……いや、一ノ瀬の傷ついた心にじわじわと染み渡り、彼は深く深呼吸をして、その素朴な温もりで見事に寂しさを乗り越えることができたのです
「ふぅ、うまい棒のおかげで、胸の曇り空がすうっと晴れて救われたよ」
ここで、おしゃべりの内容はガラリと変わり、とっても耳寄りな「懐かしいアイスの雑談」へと移ります
実は二〇二三年、かつて昭和の子供たちを大興奮させた伝説の懐かしいアイス『うまか棒』の、復刻版ミニサイズが全国で優しく発売(復刻)されました。チョコレートとナッツがコーティングされた、あの最高に美味しいアイスです
これは、ある実話のお話
その復刻の噂を聞きつけた一ノ瀬は、どうしてもあの懐かしい味に逢いたくなり、街のちいさな食料品店(商店)へと車で向かいました
カウンターの前に立ち、お堅い教授らしからぬ天天真爛漫な真面目さで、店員さんにこう尋ねたのです
「あの……すみません。『デカまか棒』ありますか?」
なんと一ノ瀬は、頭の中の引き出しが少し緩んでしまい、『うまい棒』と『うまか棒』の名前が心の中で合体して、存在しない「デカうまか棒」という変な名前で、声を大にして注文してしまったのです
「はい? デカうまか棒、ですか……?」
店員さんは一瞬、目を大きく見開いてびっくりして立ちすくみ、次の瞬間、すべてを察してお腹を抱えて
「あっはっは!」
と大爆笑し始めました
「お客さん、それは『うまい棒』とアイスの『うまか棒』が混ざっちゃってますよ!
でもね、その昭和の美味しいアイス、ちゃんと二〇二三年に復刻して、冷凍庫にありますよ!」
その不器用で微笑ましいハプニングを後ろで覗き見していた助手の朝比奈や旧友の梶原たちからも、
「一ノ瀬、お前は本当に何を見ても楽しい強者だな! わっはっはっ!」
と豪快で大きな笑い声が湧き起こり、お店の中は一気に温かい幸福感で満たされました。
「うう、名前を言い間違えて、ものすごく恥ずかしいな……」
一ノ瀬は耳を真っ赤にして照れくさそうに笑いましたが、無事に本物の『うまか棒』ア
イスを購入し、お家に帰ってサリナ……じゃなくて朝比奈が淹れてくれた温かいジャスミン茶と一緒に、お口いっぱいに幸せを頬張りました
お口の中で冷たく甘く融けていく懐かしい復刻の味は、どんな高級な美術品よりも一ノ瀬の心をぽかぽかと温めてくれました
夜空には、驚くほど大きくて綺麗な満月がぽっかりと浮かび上がり、言い間違いの恥ずかしさを全部温かい笑い声に変えて、日常生活の楽しさを取り戻した一ノ瀬の未来を、いつまでも優しく、温かく照らし続けるのでした
気楽に読んで
食料品店でうまか棒ありますかと聞いていると又復刻します
現代も『うまか棒ありますか?』
2023年春: ファミリーマート限定・数量限定で「明治 うまか棒チョコナッツ 復刻」が一度だけ発売され、オールドファンを中心に大きな話題となりました




