003 ゼノンの話し
僕と聖夜が一緒に隣の部屋へ入室する。
さっきの部屋と比べるとだいぶ広い。
大学の講義室のような長テーブルが階段のようになっていて、どの席からでも、ゼノンさんが見えた。僕達はメイドの女性に案内された席へ座った。
ゼノンさんが僕たちが座ったのを確認し、
「全員揃いましたね。では皆様をなぜ召喚したのかご説明します。」
ゼノンさんの話しを要約すると、
この世界の歴史から話しを始める。
五百年以上前に北の魔王軍は大軍勢で王国を攻めてきて、王国の領地は大半を失い、王国軍は壊滅状態であった。
魔王軍はさらに軍を増やし、王国の東側のドワーフ族やエルフ族、西側の魔の森に住む獣王も攻めていきこの大陸の半分以上を手中におさめようとした。
ドワーフ族とエルフ族は領地こそ奪われなかったが、だいぶ兵力を消耗してしまった。ドワーフ族やエルフ族は普段は王国と敵対しているが、この時だけは武器や魔石の支援をしてくれた。今でも、ドワーフ族やエルフ族の武器防具が使用されたり、保管されているとのこと。
魔の森の獣王は、魔王軍を撃退し反撃したが、魔王軍は魔の森の北側に住むドラゴンを従えて獣王に致命傷を負わせ、獣王の進行を阻んだ。
深手を負った獣王は未だに魔の森深くで傷を癒していると言われている。
そして、魔王軍が王国以外へ攻めている時に、異世界から勇者を召喚する古代魔法を発見し、召喚には大量の魔石が必要で、ドワーフ族やエルフ族から提供された魔石と王国中の魔石を集め勇者召喚を行なった。
この辺りの記録が紛失して定かではないが、勇者は複数召喚されたらしい。そして、当時の勇者が見事魔王軍を倒したとされている。
当時倒したと思っていた魔王は生きていて、この五百年以上の間に軍を倍増していた。
1ヶ月前から魔王軍が王国を攻めて来ていて、王国の第一部隊と第二部隊が前線で食い止めて、第三部隊のゼノンさんは第一、第二部隊のサポートし、現在進行系で魔王軍と戦っているとのこと。
魔王軍の勢力は一向に減らず、王国側の軍勢が日に日に減っていてこのままではジリ貧状態。
魔王軍に対抗するために、500年以上前に行なった勇者召喚を再び行なって僕たちを呼び寄せたという話しだった。
ゼノンさんの話しは一旦ここで終わり、
「以上ここまでの話しで質問あればどうぞ」
すぐに先生が質問をする
「私達は召喚されたけど、魔王軍と戦う力はないと思うけど」
「召喚魔法により、皆様には魔王軍と戦う能力が備わったはずです。先ほど赤城様が炎を放った能力もその一部かと思います。後ほど、皆様には鑑定部屋で自身の能力を鑑定してもらいます。」
「もし、戦う能力がなかったらどうするんですか。」
「戦う能力がなかった場合、適材適所の場所へ移動してもらいます。魔王軍が攻めている場所は、大規模の農場でした。そこが戦場になったことにより、今後王国の食料が足りなくなる状況です。もし能力がなければ、農場開拓等していただくかと思います。」
うわー異世界に来て農業するのは嫌だなと思っていると、聖夜が急に手を上げて、立ち上がった
皆の視線がゼノンさんから聖夜へ移る。
聖夜が質問する
「魔王軍と戦うのは召喚に応じた人が優先ですか?」
「基本的には能力しだいですが、召喚に応じてくださった方であれば優遇しましょう。」
「僕が灰色のロープの老人の問いかけに応じた者だ。僕を前線へ送って魔王軍と戦わせて欲しい。」
「ほう、あなたが応じてくださった方でしたか。感謝します。ただ、戦う能力が備わっていないと犬死になるだけです。繰り返しになりますが能力鑑定後、適材適所の場所へ移動していただきます。」
ここで赤城が手を挙げて立ち上がった。
皆の視線が赤城へ移る。
「お、お、俺も召喚に応じたぞ。俺の能力さっき見せただろ?前線で戦うのは俺だ。」
ぶっ、なんだこの茶番
赤城なんでここで聖夜と張り合ってるんだ。
風香が赤城へ
「このうんこ垂れが、お前のせいであたしらが転移させられたんか。」
「うるさい。うんこと転移は関係ないだろ。」
この流れさっきもあったような。
何か大事な者を忘れている気がする。
それは堂島のことだと後で気づく。
ゼノンさんは赤城と風香を華麗にスルーし、
次の話題へ移した。
「それでは皆様、能力鑑定を行いますので、移動をお願いします。」




