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帰り道

作者: 雑賀崎紫蘭

都内で会社員をしているユキさんから聞いた話です。



ユキさんは、自宅から電車で1時間弱のところにある会社に勤めていますが、満員電車がとにかく苦手で、帰りは2時間かけて歩いています。


長距離を歩くので、ユキさんはいつもリュックを背負って通勤しています。



夜道を2時間も歩くのは怖くないのか。


その質問にユキさんは、

「わりと人通りや車通りの多い道を歩いているので大丈夫です。それと、いつもイヤホンで大好きなアニソンを聴いてテンションを上げてるんですよ」

と楽しそうに答えました。



ユキさんは、Bluetoothイヤホンを愛用しています。


コードが引っかかったりしないため、邪魔にならず、歩くのに最適なのだそうです。



Bluetoothイヤホンを使ったことがある人は経験があると思いますが、たまに電波の問題か、一瞬音が途切れることがあります。


そういう時は大抵人の多い場所で他にもBluetoothイヤホンを使っている人がいたり、そうでない時は音が途切れやすい場所を通った時です。


もちろんユキさんも、歩いていて音が途切れることはありました。




その日もユキさんは、いつも通り音楽を聴きながら、いつもの道を歩いていました。


車通りの多い、少し広めの道を歩いていた時です。


プツッと音が途切れました。


これまで音が途切れたことのないエリアだったので、近くにBluetoothイヤホンを使っている人でもいるのかなと、軽く周りを見てみました。


しかし、影響がありそうな範囲に人はいません。


たまたまかなと思ったのですが、いつもより少しだけ、音が途切れている時間が長いような気がしました。


買ったばかりなのにもう壊れたかな、と思ったその時ー。



パンパンッ!



後ろからリュックを手で叩かれたような音がしました。


子供のいたずらかと思い、すぐにバッと後ろを振り返ったのですが、そこには誰もいませんでした。



「その道、脇道に入れる場所があったり、お店が立ち並んでいる道でもあるんですけど、その音がした時に歩いていたところは脇道もなくて、お店は全部閉まってたんです。子供はもちろん、大人でも、走って逃げたらさすがに人影は見えるはずなんですよね」



いつのまにか音は戻っていて、耳元からは明るくテンポの良い曲が流れていました。


ユキさんはこれまでに数回、変な人につけられたこともあったので、さすがに少し怖くなりましたが、怪我をしたわけでもないということもあり、そのまま歩き続けました。



その後も時折振り返ってみたりもしたものの、誰かにつけられていることはなく、無事に帰宅しました。



自宅に着いてリュックを下ろし、床に置いた時、ユキさんは異変に気が付きました。



「リュックにべっとり血が付いていたんです。しかもくっきり手形として」

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