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第24話 種族特典2

火曜日と金曜日。土日どちらかの3回更新を目標にやってます。

投稿時は1話だけとは限らず、複数話投稿することがあります。

本日は3話投稿します。

1話目です

 ソフィーさんが協力者となった影響を確認するためカタログを一通り見てみた。


 食事が終わった彼女もカタログをのぞき込んでいる。

 これがどういうものかは説明してあるし、俺に合わせて人間の文字で表示されているので内容は彼女にも分かる。


 俺の名前で驚かせてしまったけど実家でも今の愛称で呼ばれていたし、実家とはもう何の関係も無いことは伝えたのでいままで通りだ。

 ギフトのせいで追い出されたことを言っただけでも泣きそうな顔をされたので、一回殺されたことは流石に言っていない。


 『薬草・薬品類 必要DP削減15パーセント』とあったからある意味当然だけど、解毒剤や魔力回復薬に加え例のレシピ集に載っている薬が追加されていた。

 ほとんどはDPや魔素の関係で出すことはまだ出来ない。

 毒消草や魔力草程度であればカタログに出ていたけど、関連する薬が無かったのでこれはありがたい。


 特殊な装飾品も増えていた。

 『翻訳の指輪』と『人化の指輪』だ。見た目は宝石などの装飾も何もない質素なデザインで素材は銀に見える。鎧や兜のようにサイズの調整機能も付いている。


 カタログの姿絵に触れることによって説明が表示されるので見てみたところ、二つとも面白そうな効果があった。

 翻訳の指輪の効果は名前通りで身に着ければ人間と魔物で言葉が通じるようになるようだ。

 効果から考えると必要DPが1000というのはお得だけど、今は物入りなのでしばらくは俺が通訳するしかないと思っている。


 対して人化の指輪は魔物専用で、説明欄によると身に着けている間は人間になると書いてあった。読んでもよく分からないので実験してみることに。こっちは2000DPとさらに贅沢品だけど、DPで出したものをDPに戻す分にはほとんどロスは無いから気兼ねなく実験できる。

 本来は一度でも使用した物は中古品となってその損傷に応じてロスが出る。

 ただし、それは剣や盾などの装備品や、飲みかけの回復薬等の場合であって、今回は身に着けるだけなのでそれほどロスも出ないはずだ。使用に応じて性能が落ちていくわけでは無いからだ。


 試しにハジメに装備してもらった。

 指に嵌めた瞬間、ハジメがまばゆい光に包まれたかと思うとそこには、金髪碧眼の好青年が立っていた。年齢は20台半ばくらいに見える。身長も俺よりも頭1つ分ほど高くなっている。

 俺は平均的な体格とはいえ体は15歳だし、そこから考えてもハジメの人間状態も平均的な体格だろう。


「きゃっ!」


 ソフィーさんが慌ててハジメから背中を向ける。

 言葉は悪いけどいつものぼろきれみたいな服のままだったので、彼女には刺激が強かったようだ。

 ハジメは元々碧眼だしそれはわかる。驚きなのは毛髪ゼロの頭部だったはずなのにちゃんと生えていることだ。


「マスター、どうでしょうか?」

「見た目は問題無いと思う。 ハジメは何歳――って言って通じるか? ゴブリンの寿命から考えてどの辺りだ?」


 今はダンジョン勤務の魔物なのでダンジョンがある限り歳は取らないけど。魔界の年齢のままこちらに来ているので聞いてみる。人間は75歳位が平均のはず。


「そうですね。平均からすると3分の1程でしょうか」

「ってことは、見た目も歳相応になるのか」


 エンペルはグレーの短髪で髪と同じ色の瞳の渋いおじ様になった。

 当然ながら全裸だったけどエンペルが言うには。


「おおっ!? 肉を着ていますぞ!」


 だと。

 スケルトン的にはそうなるのかと勉強になった。


 色々試したところ、この指輪は思ったより便利だった。

 指輪を外す前に人間状態で着ていた服が記憶され、もう一度装備するとちゃんと服を着た状態で人間になることができる。記憶は指輪を一度DPに戻すと消えるようで、服の分もDPが増減していた。

 凄いのは身体能力は魔物時の強さが維持されていることだ。仕組みはさっぱりわからないけど。人間になる時点で不思議なので今更かもしれない。


 体型が人と違い過ぎるせいか残念ながらニヴァンとサンは装備出来なかった。


 俺も嵌めてみたら、なんと18歳の姿に。その分身長が伸びたので安心した。

 ソフィーさんが驚いていた。

 もっと若い頃から学園に通っていたと思っていたそう。そういえば、そのあたりは詳しく言ってなかったので説明した。


「じゃあ改めてよろしく、ソフィー」

「はい! よろしくお願いしますね」


 呼び捨てでいいというのでそうすることに。

 同い年ならそれが自然なんだとか。今まで歳が近い人が居なかったのでよく分からないが喜んでくれているようなので良かった。



 協力者ができたことで変化があったのはこんなところか。


 翻訳の指輪も同時に装備出来るので、これでハジメ達も町に行くことが出来るようになる。その場合は1人につき合計3000DPの投資が必要だから今は厳しいけど、うまく活用する方法を考えたい。


 指輪は今のところ必要ないのでDPに還元し、その後は中断していた彼女の荷物の整理を手伝った。日没後からの作業というのもあってその日はそれで終わった。


 彼女が寝た後に今後のダンジョン作りの方針を考える。


 先日課題として認識したこともあるし、ソフィーの今後についても考えた。

 明日の実験次第ではあるけど、今後は回復薬を作ってもらおうと思っているので、採取ポイントと水源を新たに作ることにする。

 原料がダンジョン産なので、掛けた手間がどれだけDPに反映されるのかが問題だ。これは明日の実験で試してみるしかない。

 上手くいったら、奮発して薬草だけでなく毒消草と魔力草も採れるタイプにするつもりだ。採れる種類が増えるので採取数も一日6株採れるものにすれば安心だろう。6株のうち、どれが生えてくるかはランダムなので、こうしておけば日によっての偏りは抑えられるはずだ。


 水源に関してはDPの他に水の魔素を使うので良いものとなると厳しいが、量はそれほど使わないということで噴水型の物を設置した。

 そのまま飲む分には問題無い水質とはいえ、薬に使えるのか聞いたところ、どんな水であろうと蒸留してから使用するので大丈夫らしい。


 火を使うから燃料のコストの心配を彼女はしていたけど、DPで出せる松明はずっと燃え続けるので、上手いこと使えば大丈夫だと告げると安心してくれたようだ。

 さらなる火力が必要なら炎属性の魔物を召喚してもいいしな。

 また、研究には温度管理も重要らしく、ダンジョンの中は一定の気温を保てることも伝えたら喜んでいた。魔素は必要になるけど高温、低温の部屋も作れるのでいずれはそういった部屋も用意できたらいいと思っている。



――――――――――


 翌日。

 回復薬を作ってもらったところ、1つ分当たり12DP程になることが判明。1つ分というのは大きな鍋いっぱいに作ったものを吸収するという方法だったからだ。


「聞いてはいましたけど。実際見ると複雑な気分ですね……」


 そう言われてしまうと苦笑いするしかない。

 彼女からしたらせっかく作ったものが消えてしまうのだから気持ちは分かる。無駄にはなっていないのだけど綺麗に無くなるからな。

 俺も縄の時はちょっと思ったし。


 せっかくギフトが追加されたので、彼女の生活が落ち着いたら調薬について教えてもらうのもいいかもしれない。最近はやっていないとはいえ縄ばかり編んでいるのもなんだし。


 回復薬でこれだから解毒薬とかになれば得られるDPも少しは上がるだろう。

 これで冒険者の滞在DPと合わせると1日で350DPほどは得られるようになると思われる。

 初日の8DPを思うと涙が出そうだ。

 頼りになる相棒も居ないまま始まった生活だったけど今も何とか生きている。

 いつの間にか教会の部隊は旅立って行ったようだが、危機が去った訳ではないので油断は禁物。


 今回もたらされた恩恵は大きい。

 自分の境遇を理解してくれる人が現れたおかげなのか、少し前向きになれた気がするし、そういった精神的な面だけでなく、実際に取れる手段が増えたのが助かる。

 実現が難しそうだからとこれまで諦めていたことができるかもしれない。


(負けられない理由が増えたし、頑張らないとな)


 今も微笑みながら作業をしているソフィーの方を見ながら俺は思いを新たにした。

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