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アメリカからの留学生

 その後説明して、白神さんの誤解はなんとかなくなった。

 それで、話の流れで元々話そうとしていた話題を振る事にした。


「俺の部屋移してもらう話、今から聞きに行こうよ」


 そう、今なら放課後間もないから、先生も職員室にいるはずだ。

 てっきり白神さんも乗り気だと思っていたんだけど、何やら様子が変だ。


「い、いや、その件ですけど……べ、別にもうこのままでいいんじゃないですか?」


 白神さんは手をもじもじさせて、そんな事を言い始めた。


「えっ? い、いやいや! 駄目でしょ、男女が同じ部屋なんて!」

「そ、そうですかねぇ〜? そんな事無いと思いますけど。不動くんなら私も安心できますし」

「それは男を舐めすぎてるって! 危機感無さすぎるよ」

「え〜? それってつまり、不動くんはこのままだと、わ、私を、お、襲っちゃう可能性があるってことですかぁ?」


 白神さんは顔を真っ赤にしながらそう言ってきた。恥ずかしいならそんな事言わなきゃいいのに……。


「い、いや俺は絶対そんなことしないけど」

「じゃあ別にいいじゃないですか」

「急にどうしたんだよ白神さん」

「だって、よく考えたら私の代わりに誰かとルームメイトになられる可能性もあるし……」

「え? なんて?」


 なんて言ったのかもにょもにょ言っててわからなかったぞ。


「いえ! まあとにかく、今回は見送りましょう! ね、はい決定」

「わ、わかったよ」


 謎の勢いに負けて、OKしてしまった。俺って意志が弱いな。

 そんな感じで結局俺はその日も眠るのに時間がかかった。

 そして次の日。

 朝のホームルーム、俺たちはざわついていた。先生が、急に新しい生徒を紹介する、とか言い始めたからだ。


「よし、入ってきていいぞ」


 水戸先生の声とともに、教室へと入ってきたのは、当たり前だが女子生徒だった。

 彼女は、美しいブロンドの髪をポニーテールにしていて、筋の通った鼻と堀の深い青い目、そして、見るからにわかる大きな胸を持った美少女だった。


「私は、ステイツ出身のOlivia(オリビア) Garcia(ガルシア)! 気軽にオリビアって呼んでねー。あと好きな食べ物はハンバーガー! よろしく!」


 思いっきり最後にブイサインをしてやり切った顔をした彼女。

 アメリカ出身のオリビアさんか。かなり活発な子だな。


「あー説明が遅れたが、ガルシアは元々このクラスに最初からいる予定の留学生だったんだが、諸事情でちょっと来日が遅れてな。今日の紹介になった」

「もー。先生もオリビアって呼んでいいのにー」

「さて、何かガルシアに聞きたいことがあるやつはいるか? 一応出遅れた分、ここで親交を深めてほしいが」


 水戸先生がそう呼びかけると、何人かが手を挙げた。


「オリビアさんは、彼氏いますか!?」

「ボーイフレンド? いないよ! オキナドライブが恋人かな! HAHAHA」


 豪快に笑うなぁ。


「オリビアさん、趣味はー?」

「身体を動かすことは好きだよ。登山とか! 日本に来たらフジヤマに登りたいと思ってたんだよね」


 富士山かー。あれ結構しんどいんだよな。


「ずばり日本への留学の目的は?」

「そうだね、当初の目的は日本の優れた技術の調査だったんだけど……ちょーっと目的が変わったかな」


 そう言って彼女は俺のほうへと目線を向けた。

 周りの女子がざわつき始める。


「ま、まさかパツキン美女まで不動くん狙い?」

「まずいよ~あの乳は勝てないよ~」

「落ちついて、まだ慌てるような時間じゃないわ」


 おいおい、俺か?

 アメリカ政府とかから何か言われてるんじゃねえだろうな。


「お前が唯一男でオキナドライブが使えるっていう、ユキムラ フドーだな? 思ってたより全然華奢だね。もっとゴリラみたいな筋肉を予想してたんだけど」


 話しかけられてしまったので、仕方ない。俺は立ち上がった。


「悪いが俺はアメフトをやってるわけじゃないからそんな筋肉はない」

「へぇ。私はお前の実力にキョーミがあるぞ、幸村! 私と試合しろ!」


 戦闘狂バトルジャンキーかよこいつは。

 怖いよ。


「あのな、俺はそもそもオキナドライブの使い方とか全く知らないし――」

「なんだ、日本の男は臆病者か。ま、それなら仕方ない」

「俺はそんな挑発なんかには乗ったり――」

「どうせお前のようなチキンは、女の経験もないチェリーボーイなんだろうなぁ!」

「ちぇ、ちぇ、チェリーちゃうわ!!!」


 思わず食い気味で叫んでしまった。


(不動くんってチェリーなんだ……)

(なんか意外)

(全然慌てる時間じゃなかったわね)


 クラスの女子たちがひそひそと何かを話している。

 く、くそう。どう考えても俺の今の発言は悪手だった。

 なんで俺はこんな目にあってるんだ。っていうか全部こいつのせいじゃないか。


「いーだろう! わかったよ、オリビアとか言ったな。お前の挑発乗ってやるよ。試合だな? ボッコボコにしてやんよ! 泣いてもしらんからな!」

「くっくっく。言ったからには引き返せないからな。水戸センセー、この学園の運動場を貸して欲しいんだけど」


 オリビアが水戸先生にそう尋ねると、先生はスマホをポケットから取り出して、何かを確認し始めた。


「わかった。不動も一週間は準備が必要だろう。来週木曜の放課後なら第二練習場が空いてそうだ。試合の監督者は私がやろう。ふふふ、面白くなってきたな」


 水戸先生は、笑みを浮かべながらそう言った。

 まずい、完全に乗せられている気がする。

 一週間後か……大丈夫かな。


【評価のおねがい】


「面白い!」

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