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女だらけの学園

 俺は、オキナ学園への転入を告げられた後、何やら入学の資料やら入学後の生活について説明された。


 気持ちが全くついていけなかったのでほとんど覚えてないが、入学する上で必須な知識はいくつか覚えた。


 まず一つ目、昨日の事件でライフを倒すために使っていた武器について。

 あれは正式名称をOkina-driven ancient weapons(オキナ駆動型古代武器)と言い、基本的にはオキナドライブとか略して言う。

 オキナとは、オキナドライブを動かすために使われているオキナ鉱石から取られたもののようだ。


 二つ目、オキナドライブの特性について。

 オキナドライブは、女にしか使えない。

 理由はわからないが、オキナドライブは女性にしか使えないようだ。


 三つ目、オキナ学園について。

 水上都市にある学園には女子しかいない。先生も事務員もバイトも全員女だ。

 表向きには、日本政府直轄の特殊な中高一貫の女子校として存在している。入るには、いくつかルートがあるようだが、一般受験はかなり高難易度で、推薦状やスカウトが多いらしい。



 俺は学園の寮に住むことになるらしい。


 どうやら妹には話が既にいっていたようで、何をどう話したのかわからないが、電話で妹は


「え、お兄ちゃん女の子だったの!? え? 違う!? 男なのにオキナドライブが使える!? へー、けどオキナ学園なんて凄いよ!! うんうん、私は1人でも余裕余裕。おっけー、じゃあね」


 みたいな事を言っていた。

 ちょっとは兄を心配しろ。


 ちなみに俺が拘束されていた場所は、オキナ学園内にある研究施設だったらしい。

 結局俺はその日、家に帰されることはなく、研究室内で寝ることになった。



 あんまり寝心地が良いとは言えないソファで寝た俺は、次の日になってから支給された制服に袖を通した。


 白地に青い線が所々入っている制服は、俺の背丈にぴったりだった。なんで俺の制服が既にあるんだ?


 そんなこんなで入学式の時間が近づいてきたが、俺は混乱を回避するため式の途中で紹介されるらしく、一旦早めにスタンバイしとくらしい。


 まぁ生徒全員女子ならそりゃ男がいきなり混じってたら驚くしな……。


 体育館で行われる式典には既に生徒たちが集まってきていた。俺は水戸先生に連れられて、壇上の端で呼ばれるのを待っていた。

 壇上では、理事長が生徒に向けて話をしている。理事長は、金髪で髪を全てオールバックにして後ろでまとめている。結構強面の女性だ。


「――というわけで皆さん、ここからが勝負ですよ。頑張ってください」


 理事長の話が終わったらしく、生徒たちが拍手をする。


「さて、ここで皆さんには一つお知らせがあります。実は、昨日急遽この学園への転入が決まった生徒がいます。その子を紹介させて欲しい。なんでこんなに大袈裟に紹介するかは、見てもらえればわかると思います。さぁ、来てください、不動幸村くん」


 呼ばれた。

 俺は壇上へと歩いた。そして理事長の隣へと立つ。


「えっ?」

「はっ?」

「あれ?」


 女生徒からは、口々に困惑の声が出ていた。

 そりゃそうか。


「「「男ぉ!??」」」


 耳をつんざくような声が響いてきた。


「静かに、静かにしなさい」


 理事長がそう話すが、生徒たちは全く収まる気配がない。


「な、なんで男が入学?」

「で、でもあの人イケメンじゃない!?」

「身長も高いし……全然アリだね!! アリ!!」


 隣を見ると理事長のこめかみがプルプルと震えているのが見えた。そして、理事長は腰につけていた銃を持つと、天井に向かって三発撃った。


「ザトゥクニス!! 静かにしねえとぶち殺すぞこのクソビッチども!!」」


 一瞬で場が静まり返った。

 ざ、ざとぅ? なんて言ったのかわからんが、怖……。豹変しすぎだろこの人。


「ふー……。よし、さて……この子が不動幸村くんです。何故彼が男なのにも関わらず、この学園に入れたのか。その理由は簡単です。彼がオキナドライブを使えるから。理由は不明ですが」


 生徒たちには動揺が広がっているのがよくわかった。

 だが今回は、生徒たちも騒がない。またブチギレられたら怖いからな。


「というわけで、彼は重要な人物としてこの学園で保護する事になりました。あえて匿わず公表しているのも世界から彼を保護する意味合いからです。仲良くしてあげてください。以上。では各自担任の先生について教室に向かってください」


 そんなこんなで入学式は終わった。

 どうやら俺は水戸先生のクラスになるようだ。

 学園はかなり広く、覚えるまでは時間が要りそう。

 1-1組。それが俺のクラスらしい。

 教室に入ると、女子たちがどよめき始めた。


「えっ? 不動くんこのクラスなの!?」

「まじ!? 勝った! うちら勝った!!」

「やばい、化粧甘かったかな……」


 生徒たちが好き勝手に言い始める中、水戸先生が口を開いた。


「このクラスを担当するのが私、水戸小鳥みとことりだ」


 へー、水戸先生って小鳥って名前なのか。結構可愛い名前だな。

 と思って水戸先生を見ていたら何故かゲンコツされた。この人は心が読めるのか?


「不動、お前は白神の後ろの席だ。いけ」

「あ、はい」


 教室の後ろの方の席へと歩いていく。周りからの視線を感じる。うー、居心地悪い。

 席に座ると、前に座っている白神さんがこちらを振り向いた。彼女はどこか気恥ずかしそうだった。


「ふ、不動くん……! こ、この前は本当にありがとう! あの、よろしくね。白神柚子です、わからなかったらなんでも聞いてください」

「あぁ、よろしく」


 よかった、白神さんがいい人そうで。


「白神さんって不動くんと知り合いなの?」

「白神さんが一歩リードか……きついな」

「う、羨ましい」


 何やら他の女子がボソボソ喋っている。


「さて、では1人ずつ自己紹介をしていけ。まずは朝顔からだ。そうだな、名前と趣味と、今年の抱負だ」


 水戸先生がそう言った。

 すると右端の先頭列に座っていた生徒が立ち上がる。


「はいはーい! 出席番号1番の朝顔紫苑あさがおしおんでーす! 趣味はバイオリンとバレーボール。抱負は、素敵な彼氏を見つける事ですっ★」


 朝顔さんは、何故か俺の方を見てウインクをした。

 他の子達も挨拶を続けていったが、多くが何故か俺の方を向いてしていた。なんでだよ。

 そうこうしているうちに白神さんの番になった。


白神柚子しろがみゆずです。趣味は料理とお掃除。今年の抱負は、学年別トーナメントで選手として1組を優勝に導く事です!」


 クラスから「おぉぉ」という感嘆の声が漏れた。

 学年別トーナメントってなんだろう。

 その後俺の番が来た。

 立ち上がると、周りの視線が一斉に俺に集まった。


「不動幸村です。趣味は読書とテニスかな。今年の抱負は……ていうかまだ何もわかってないのでとりあえずこの学園のことを知りたいと思います」


 それで終わろうとしたんだけど、何故か俺の時はそれで終われなかった。


「しつもーん! 不動くんは彼女いますかー?」

「えっ? い、いやいないけど……」


 なんでそんな事を……。


「いないのね!」

「これはチャンスありっ」

「第一関門クリア」


 なんか恥ずかしいんだが。


「お前ら質問なんかしてたら遅れるだろう。不動、座っていいぞ、次、柊木」


 水戸先生がそう声をかけてくれたおかげで、俺の番は終わった。その後クラスメイトたちが自己紹介をしていったが、ほとんど頭に入ってこなかった。

 そんなことより、俺はこの学園でやっていけるかの方が重要だった。


「さて、自己紹介は終わりだ。今後の事だが、一年はまず1ヶ月後の学年別クラス対抗模擬戦の代表生を目指して頑張ることだ」


 その後の説明によると、対抗戦とはオキナドライブを使った試合のことらしい。各クラスから三名代表が選ばれて戦う団体戦のようだ。

 代表に選ばれるのはかなり名誉なことらしい。

 対抗模擬戦はつまるところ、対抗戦の練習試合みたいなところだ。


 さて、俺は何を目標にしようかな……。


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