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試合終了

 スラスターが起動し、俺の身体が宙に浮く。全くコツが掴めず、俺の身体は三回転くらいした。とはいえ姿勢制御の機能があるようで、地面に激突したりはしないようだが。

 そんなこんなでようやっと俺はなんとか空中に立つことが出来るようになった。

 なんだか攻撃が来ないな、と思っていたら、オリビアはケタケタと腹を抱えて笑っていた。


「アハハハ! 人間があんな勢いで回るの初めて見た」

「み、見せ物じゃないぞ!」

「あー面白かった。さて、じゃあ仕切り直して!」


 斜め上にいるオリビアのビームライフルの銃口が、俺へと向けられる。


「踊れ!」


 オリビアがビームを発射した。

 さっきのビームより断然速い!?

 俺は慣れない空中ということもあって、まともに右腕に被弾した。


「うあっ!」


 腕がもげるような衝撃が俺を襲う。

 だが、痛みはほとんど無かった。

 やっと立ったっていうのに俺はもう一度地面へと叩きつけられた。俺は考えるよりも先に倒れたまま転がって次の攻撃に備える。


 すると先ほどまで俺が寝ていた場所にビームが着弾する。危ねえ。

 立ち上がって、ビームの雨から逃げ回る。チートかよ、あいつの武器!


 そういえばさっきのダメージはどれくらいだ?

 モニターを見てみると、ダメージ率15%と書いてある。そんなに持っていかれるのかよ!

 って事はさっきの威力のビームを七発まともにくらったら終わりか!


 こうやって走り回っていれば距離があるから当たる事はないけど、それじゃ体力が尽きていずれ負ける。

 どうにかして空中のあいつに近づけないか?

 俺は逃げ回りながらも注意深く攻撃を見た。すると、無尽蔵に見えた奴の攻撃もインターバルが必要な事がわかった。


 十発だ。あいつの銃は十発までしか装填できないんだ。十発終わった後は、リロードというかチャージ的な物に5秒ほど時間がかかっている。

 そこで一気に間合いを詰めれば或いは。

 俺は逃げ回りながら数を数える。


「1、2、3……」

「ちょこまかと! まるで鼠だな!」


 言ってくれるね。

 俺はスラスターの推進力に耐える準備をしないとな。


「8、9、10!」


 俺スラスターを噴射させ、最大推進力でオリビアへと近づいた。


「なっ!」


 オリビアは、俺の行動に驚いた声を出した。

 俺がオリビアの背後を取ったからだろう。

 俺は最後のビームの一撃を避けた後オリビアの背中の方へと走り、そのまま飛行していた。


「背後を!」

「俺の狙いは、こいつだぁ!!」


 全力を込めて、俺はオリビアが背負っているバックパックに剣を振り下ろした。

 金属と金属がぶつかり合う音が響く。


 俺の全力も捨てたもんじゃないようで、バックパックの片方は完全に破壊。そして、もう片方もそれにつられるようにして機能しなくなった。


「えっ、嘘っ!」


 オリビアは悲鳴の後、落下した。

 10数メートルの高さから落下した彼女は、受け身をとっていたが倒れたまま動けておらず、確実にダメージを受けていた。

 モニターにはオリビアのダメージ率45%とある。

 俺は畳み掛けるために、落ちた彼女に接近する。


「貰ったぁぁ!」


 俺が剣を振りかぶってうつ伏せの彼女に攻撃しようとしたその時、彼女の懐からビームが放たれた。俺の腹に直撃する。

 なんでだ? あのライフルからは撃たれてないのに……。

 俺は衝撃でよろけたが、体勢を立て直した。俺がそうしている間に、彼女が立ち上がる。オリビアは、左手に小さな銃を持っていた。あれで撃ったのか。


「銃は一つなんて言った覚えは、ないよ!」


 オリビアは、拳銃を懐にしまうと、再びライフルで俺を狙い始めた。

 さっきので10%のダメージを受けた。あんまりもたもたしてられないな。

 空を飛べなくなったとはいえ、オリビアの攻撃はかなりやりづらい。インターバルを狙って接近を試みるが、うまくかわされてしまう。


 そうこうしているうちに、俺の体力も尽き始めて、攻撃を避ける事が難しくなってきた。

 一発、また一発、かすったりしながらビームライフルが当たっていく。増えていく俺のダメージ率。俺の攻撃も少しは当たるが、明らかに俺がくらっている比率のほうが高い。

 これが本来の実力差ってやつか。泣けてくるな。


 最終的に俺のダメージ率は80%。オリビアのダメージ率は60%になっていた。

 次まともに受けたら俺の負けは確定だけど、一つ俺には試したいことがあった。実はこの試合中、オリビアの攻撃が俺の心臓に当たったことがない。

 わざとなのか、偶然なのかはわからないが、あと1発当てれば終わるはずのこの試合を、彼女は伸ばしているように感じる。もしかして俺の心臓に当てる隙を伺ってるのか?

 もし彼女が今でも最後の一撃を心臓に当てる癖があるなら、俺にもチャンスがある。


 やってみるか。どうせこのままじゃ負けるんだし。

 俺は、足の裏についている加速用ブースターの出力を最大にセットした。

 俺は疲労でよろけた振りをして、わざと隙を作り彼女の様子を伺った。


「油断したな幸村! ゲームオーバーだ!」


 俺は、彼女が銃を放つのとほぼ同タイミングで、ブースターを全開にして彼女に接近した。もしこの攻撃が心臓への攻撃じゃなかったら俺は間違いなく直撃して、KOだろう。

 俺は身体に張り巡らされているシールドの比率を変えて、心臓部以外を最低限の防御比率にした。


 果たして、直進した俺に向かって放たれた攻撃は俺の心臓へと直撃した。衝撃がくるが、厚い防御比率のおかげでのけぞることもなく、俺はそのまま彼女の元へ。


「な、なんで心臓に当たったのに!?」

「これが逆転の必殺カウンター作戦、だぁぁぁぁ!!!」


 俺は残ったすべての力で、下から斬り上げてライフルを弾き飛ばし、二撃目で彼女を斬りつけて、止めといわんばかりに、最後に思い切りオリビアの胴体を突いた。

 最後の攻撃が終わった俺は、その場で膝をついた。


 モニターを見ると、そこにはオリビアダメージ率100%の文字がある。

 水戸先生が「試合終了」と言ったのを聞いた俺は、力が抜けてその場に倒れた。

 どうやら俺は、勝ったらしい。



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