表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

白龍安奈の話。

「今日はどうしたのです?」


 本家の大広間にお婆様が現れた。

 久し振りに会う祖母を前に、私の緊張は自然と高まる。


「安奈?」


 言葉が出ない私にお婆様は小首を傾げる。

 おかしい、こんな仕草をする人では無かったはず。


「本日は突然の訪問に関わらず、お時間を頂き...」


「その様な挨拶は不要です、貴女は私の孫ではありませんか」


「お婆様?」


 やっぱりおかしいよ。

 前回会った時、挨拶が終わるまで無言で鋭い視線を向けられたのに。


「優里さんと明日美さんの事ですか?」


「は、はい」


 先にお婆様から言われてしまった。

 でも朱雀さんや青龍さんじゃないんだ、名前で親しげに呼ぶとは。

 これは何かある、きっと伽羅...兄さん絡みだ。


「どうして兄さんの勉強に2人を寄越したのですか?」


『兄さん』なんて久し振りに言ったよ。


「何です、それだけの事ですか」


「それだけ?」


 お婆様は呆れた顔をするが、私には一大事なのだ。


「この1ヶ月間、あの2人は交代で家に来るんですよ?

 いくら兄さんの勉強を見る為とはいえ、少しやりすぎでは無いでしょうか?」


「それが?」


 全く驚いた様子が無い、知ってたのか。


「ふむ」


 お婆様は静かに急須を取り出す、優雅な所作で2つの湯呑みにお茶を淹れ、1つを私に差し出した。


「どうぞ」


「ありがとうございます」


 先程から口がカラカラなのを気づいていたんだ。

 お婆様の淹れてくれたお茶、静かに口を着けた。


「優里さん達は言ってました、伽羅の勉強方法は間違っていると」


「間違ってる?」


「ええ『インプットばかりでアウトプットがされてない、ノートのつけ方にも問題がある』と、まあ私にはよく分かりませんでしたが」


「そんな事を?」


 逐一報告していたのか。

 2人共真剣にやっていたんだ、てっきり兄さんの部屋でデレデレしてるとばかり思っていた。


「安奈、貴女は伽羅の勉強方法が間違っている事を知ってましたね」


「それは...」


 視線が私に突き刺さる、確信してるって事か。


「何か言いたい事は?」


「...ありません」


 視線を逸らして頷くしかない。

 その通りなのだ、兄さんの勉強法は間違っているとずっと前から気づいていた。


「伽羅は塾に行ってないので仕方ありませんね」


「はい」


 兄さんは塾や予備校には行ってない、いや断られたんだ。

『他の生徒が集中出来なくなるから』と、理由は分かる。


「かといって家庭教師もダメ」


「...そうです」


 家庭教師は昔から何人か雇った。

 みんな直ぐに辞めてしまった、とてもじゃないが理性が持たないと言って。


「優里さんや明日美さんは違います、あの2人は真剣に伽羅の事を考え、勉強を見てくれてます」


「...でも」


 それは兄さんの傍に居たいからでしょ?

 お婆様に気に入られて、兄さんと結婚したいからだけじゃないか。


「貴女は少し距離を持ちなさい」


「え?」


 お婆様。言葉の意味が分からないよ、距離って?


「伽羅とです、貴女は伽羅に構いすぎです」


「まさか?」


 私が兄さんを構いすぎ?

 だって兄さんは天然で、私が見てないと危なくて心配なだけだよ。


「そういう事です」


 諭す様に言うけど、納得出来ない。


「安奈、貴女は一生伽羅につきまとう気ですか?

 結婚もせず、行きたい学校にも行かず、それを伽羅が望むとでも?」


「...そんな事」


 何故?どうしてお婆ちゃん、そんな事言うの...


「伽羅は天使です、可愛いく無垢で、誰もが魅了される事でしょう。

 それは私が祖母だから言うのではありません」


 お婆ちゃんうっとりしてるね、いくら何でも誉めすぎでしょ?


「そして安奈、貴女も私の大切な孫です。

 貴女の幸せを望むからこそ、伽羅と適度な距離を取るべきなのです、正しい距離をね」


「...はい」


 お婆ちゃんの言葉は私を心配してくれてと分かるけど、そんなに兄さんと近かったかな?

 兄さんに近づく女達を追い払ったり...たまに男も居たな。

 兄さんと一緒の高校に行くため、学校のレベルを下げたりしたぐらいだけど。


「後は優里さんと明日美さんに任せなさい、あの2人なら大丈夫です」


 そうかな、お婆ちゃんはどうしてそこまで優里さんや明日美さんを?


「朱雀家の事とか?」


「そんな物どうでも良いです」


 即答だ、青龍家や白龍家とか全く関係ないのか。


「安奈も見合いしますか?」


「お断りします」


 とんでもない事を言うお婆ちゃん。

 その瞳はとても楽しそうで何も言えない。

 でも本当に優里さんと明日美さんを見直したよ。


「それじゃ安奈も勉強を見て貰いなさい」


「それもお断りします!」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 妹のブロックが婆様の支援受けた正妻候補に撃破されていくと言う。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ