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4話

「どうかしら?ちゃんと主になれてる?」

「すごい……鏡でも見てるみたい……」

思わず手に触れてみたけど、その手は私の形で自分で手のひらを合わせているような不思議な錯覚が起きた。

「ありがとう。これで乗り込めるわ」

私に微笑んでる私。

声も同じ、口調も同じ。

「本当にデケム?」

心配になってしまった。

「うん、僕だよ。主」

私の姿だけど、デケムの声。それだけでデケムがいると安心できた。

「良かった……」

「心配性だなあ主は。僕、今は主の姿だけど、ちゃんと僕は存在してるよ」

そう微笑んでいるデケムを想像しながら、私も微笑んだ。

「あ、デケム1人じゃ何かと大変じゃない?もう1人連れて行ったほうがいいんじゃないかしら」

「確かに。1人味方がいたらすぐに主の謎も分かりそうかも」


「セクは?セクはどう?」

セクは6番目の召喚魔である、カメレオンの男の悪魔だ。彼の能力は、『寄生』。

1人の人間に一つの魂というのが人体の常識なのだが、その体に無理やり入り込むことができる。つまり一つの体に二つの魂を可能にできる能力を持つ。

普通、悪魔に入られた体は基本的に元あった魂は腐っていくしかできない。

故に悪魔は死際の体しか狙わない。

生きている人間の体に入ったら成り切らなくてはいけなくなる。

それが面倒なのだ。

でも、セクはそれを打開する。

狙う体の背中から入り込んで、自由に魂を操ることができるようになる。

いわゆる寄生という形だ。

例えば昼間はその人間の魂を表に出せて、夜はセクで行動するなどだ。

一度魂を操られてしまったら、その人間は機械のようになってしまう。

つまり、死んだも同然になる。

まあ、なんとも物騒な能力を持った悪魔なのだが……

「セクは……ありですね。寄生の能力を使えば、あの人間も終わりということでしょう」

「どう?デケムは」

「うん。セクとならいける気がする」

「セク、貴方はどう思うの?」

ウーナが目を瞑りながらセクに問うと、後ろからまるで壁に擬態していたかのような様子でセクが出てきた。

「うまくいける気がします」

ぼそっとした小さい声だったけど、その決意を聞くことができて嬉しかった。

「ありがとうセク。セクとデケムならきっと大丈夫。でも、絶対に無理しないでね。謎が解けたらすぐに帰ってくるのよ」

「うん」

「もちろんです」

「主、そろそろあの人間が帰りそうです」

「分かった。みんな、セクとデケムをお見送りして欲しいの。私はまだ動けなさそうだから」

「かしこまりました。いきましょう」

召喚魔達が寝室を出て1人静かに考える。

悪魔を人間が暮らしているところに送る。それだけでこんなに辛いのか。

私は、どうして出来損ないの死神になったのか。

人の死を満足に導けない私。せめて前世の自分に何があったのかさえわかれば……

私は……きっと……

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