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私の朝は朝食作りから始まります。これでも結構腕はいい方だと思うんだけど。今日からはトウカの分も入れて二人分作らないと!
「ねぇねぇ、これは何?これは?」
私の手元を覗いて色々質問を投げてくるトウカ、そんなにこの食材が珍しいかしら?トウカのいた『チキュウ』には無い食材らしい。
私は朝は絶対ハルヴのミルクを食卓に出すんだけど、トウカはハルヴのミルクにも興味深々だったわ。ハルヴがそもそもチキュウには居ないとか!こんな美味しいものを飲んだことが無いなんて…
「珍しい食材がいっぱい!ハルヴって牛みたいなものかなぁ」
今日は朝から依頼が無いからハルヴを見せる為に近くの牧場に行く事になった。牧場に着くなり牧草の上を走り回るトウカはとても同じ13歳には見えないくらい幼く見えた。晴天の空に緑の牧草の上、私はとっても眠くなってくるいい気温だった。
そんな事を考えながらトウカに
「あれがハルヴよ」
とハルヴを見せたら
「え、思ってたのと違う…なにこれ、頭はウサギで体は、これ、ライオンかな?」
驚きながら後退りするトウカに笑っていたら突然後ろから声をかけられた。
「アノ…ルーマ村にいるアルルさんって知ってますカ?」
声のする方を見ると小麦色の肌に顔に白のペイント、森に棲んでる魔獣カーギの毛で作られた衣服を纏った男の子がいたの、歳は同じ位かしら
「私がアルルよ、あなたは?」
彼はほっとした顔をした後に
「ボクは、森に住んでル、シエラ族アシシ=ファン ダ。アルル、キミに頼みたいことあル。」
シエラ族と言うのはルーマ村の東にある森、アルンド森に住んでる部族で普段は私達が使う言葉では喋らないから外部の人と喋れる人はほんの一部だとか、アシシと名乗った彼は片言だけど私達のわかる言葉で話しているその一部の人なんだろう。それよりも、普段外部の者と関わることを嫌ってる部族が私に頼みなんてと、ビックリしていたらそれを察したのかアシシは、
「コノ前、ココに光、落ちタ。ボクらの部族長が、神子が落ちてきたって言ってタ。モウ、部族内だけじゃ解決できナイ。ココにアルルって言う何でも屋があるってタビビトサン言ってタ。」
アルンド森からルーマ村まではすぐだから確かにあんな大規模な落雷があったら気付くわよね、ただ、アシシが必要としているのが神子の力、でもトウカは神子の自覚がない私一人で決定打は出せなさそうな案件だったから村長に相談する時間を設けてもらって急いでトウカを呼び戻して村に戻った。