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俺と柏木さんは体育館を出た後、屋上に来て柏木さんがメガネをとり、髪をほどき、サラシを服からほどいて本当の姿になる。
「な、なんで今本当の姿になるんですか?」
「仁とこの姿で過ごせる時間があまりないからだよ。私はあんたに好かれたいからねぇ。普段の大人しめを装うのは精一杯やってもつんつんくらいか委員会の話をするかそんなもんさ。まぁさっきのレクリエーションはたまたま椅子をうまく取れたけどね」
柏木さんは長い髪を撫でながら俺に言う。
「いやぁ。柏木さん運動神経いいから大丈夫だよ」
「なんでそんなことがわかるの?仁」
「いやだってヤクザだし」
「ヤクザだからって運動神経がいいわけではないわ。私は鍛えたのよ護身術をね。だから軽いやつをせいぜい投げ飛ばせるくらいよ」
それはそれですごいと思う俺。
「私のやる分野は違うから。まぁ素早く動けると言えば動けはするけど」
「そうなの?で、は、話とは?」
「別に用なんてないわ。ただ話がしたかっただけ」
俺は少し身構える。
「そんな身構えなくてもいいわよ。何もしないからただ話をするだけよ。少しは仁のこと知りたいの」
「わ、わかった。そ、それじゃ何を話せばいい?」
俺は話題は柏木さんに任せる。
「そうだなぁ。好きな食べ物は?」
「カレー」
「それじゃ休みの日は何してるの?」
「ゲームとかかな」
たわいもない会話が続いていく。数十分後に柏木さんが質問をやめると
「今日学校がレクリエーションで終わるの遅かったのに付き合ってくれてありがとな仁」
「いや、大丈夫。それじゃ柏木さん。また明日」
「あぁ。また明日」
俺は手を振って屋上から出て、ダッシュで家に帰った。
仁が屋上から出た後数分後に屋上に隠れていた柏木の護衛が
「お嬢。お別れはすみましたか?」
「あぁ。だが私は今の問題が終わればまた仁に会おうと思ってるからな。たしかに私は仁に惹かれているのもあるが本当に好きな人は仁じゃない」
「ではなぜお嬢は彼にお近づきに?」
「私の本当に好きな人が仁の近くにいるからだよ。そしてその人が今危ないめにあおうとしている。だから私はしばらく仁の前から姿を消すのさ。裏の仕事だからね」
「わかりましたお嬢。ではお気をつけてお帰りになって下さい」
私は家に帰る際、他の組にはバレないよう商店街で組のものと合流し、そこで車に乗り実家に帰っていた。




