リョウベエの退院
一週間後。
ロボット病院から退院の連絡があり、さっそくパパさん、ママさん、ジュンの三人でリョウベエを迎えに行った。
リョウベエのいる病室には、十台ほどのロボットが台の上で横たわっていた。
三人に気づいて、リョウベエが起き上がる。
「リョウベエ、元気になってよかったな。今から退院するんだぞ」
パパさんが声をかけた。
「迷惑ヲカケテ、スミマセン」
「リョウベエが気にすることないのよ。悪いのはジュンなんだから」
ママさんはリョウベエの手を取った。
「そうだよ。オレがケガさえしなけりゃ、リョウベエは走らなくてよかったんだからな」
「トチュウカラ、ナニモ覚エテイナインダ」
「走って、ムリしたんだよ。それでリョウベエ、こわれちゃったんだ」
「ボク、ナン等ダッタ?」
「ビリに決まってるじゃないか」
「ソウナンダ」
こわれたあとの記憶がないのか、リョウベエはくやしそうな顔をした。
退院のしたくをしていると、診察室にパパさんだけが呼びこまれた。
「一週間もかかったのは、なかなか交換部品がそろわなくて。リョウベエくんは型が古いんで、今は部品が製造されてないんですよ」
先生がカルテを見ながら言う。
「もとのように働けますか?」
「それはなんとか。ですが、こんど故障したらダメでしょうな」
「ダメと言いますと?」
「もっとも大事なところがかなり悪くなっていましてね。そこが故障したら、今回のように部品の交換だけではすまないんです」
「そんなに悪くなっていたとは……」
「定期検査に合格していた、そのことが不思議なくらいなんです」
「じつはもうすぐ、その検査の日が来るんです。リョウベエは合格できますか?」
「ええ、それはなんとか。でもしばらく、休養させることが必要でしょうね」
「もちろんそうします」
パパさんはショックを受けた。リョウベエはおもいのほか悪かったのだ。
それだけではない。
一年に一回、ロボットにはかならず定期検査がやってくる。
不合格になったロボットは家につれて帰ることができない。それどころかロボットとしての役目を終えることになる。