だれが正解?
「あなたは猫なの?」
誰かの家の、庭の真ん中で
日向ぼっこをしていると
小さな女の子が僕にそう言った。
「君には僕が猫に見えるのかい?
君は相当、目が悪いみたいだね。」
僕がそう言うと、
女の子は不思議そうに
僕を見つめた。
「でも尖った耳に尻尾だってあるわ。
おまけに髭だって。あなたは猫でしょ?」
うるさく鳴く蝉の声を背に、
女の子は僕に語りかけてくる。
蝉のように煩わしい子だ。
「尖った耳や尻尾をもってる奴はそこらにだって
いるだろうさ。髭なんて誰にだってある。
世界は広いんだよ、お嬢ちゃん。」
僕がそう言うと、小さな女の子は駆けていった。
母猫にでも泣きつきに行ったのだろう。
少し、後味の悪さを覚えながらも
暖かな日の光に眠気を誘われる。
「狐に猫だなんて言う奴があるかい。色だって
顔だって、どこからどう見ても狐だろうに…。」
「あれ?また犬が来てるね。」
遠くで人間の声が聞こる。
「彼は猫でしょ?犬じゃないよ。」
遠くで小さな女の子の声が聞こえる。
果たして誰が正解か?
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