59話 正体
ジョー「勝った!やったよ!」
主「負けた、いてえ。」
一「おい、なにした。2人ともボロボロじゃないか。」
2人「「殴り合い。」」
一「ああ、そう言うことね。…うん?それ紅葉化のあるジョーの一方的な勝利じゃないか?」
ジョー「えつ、なんで勝因当てちゃったの?」
主「いてえよぉ……。」
俺達は伝説の魔導書を入手すべく、今は洞窟内で進んでいる。途中、妖精の裏切りとか重要人物っぽい人……というかおそらく持ち主のペンダントを渡したらまだいらないと言われたり……そんな事がありながらもなんとか進んできた。……まあ、後にも先にも敵はゴーレムだけだったが。
そして、ようやっと木々に囲まれた場所を抜け、今度はまた大きな扉がある場所に出る。
一「戻ってきた?」
サンドマン「いや、一応進んでいると思うっす。前回の扉と違って障壁がないっすよ?」
俺は扉を鑑定する。たしかに何の変哲もないただの扉だった。
一「さて……どうする?」
レプラコーン「行かないのか?」
一「いや、正規の道とは限らないだろ?」
先程の森っぽい所は少し迷路状になっており、それなりに時間を食ってしまった。それにこの洞窟は自然にできたものではないと思う。何故ならこの洞窟に入り、色々見てきたが、そもそも自然に扉ができることはない。し、それ以外にも人の手が加わっているような箇所が少しあったからだ。
というような事を言ってみたらアイから
「それはここがダンジョンだからじゃないですか?」
という事を至極当然だと言わんばかりに言われた。……ダンジョン?
……何故だろうか。すごくしっくりくる。
確かにそうだ。そもそも人工的に作られたのならば納得はいく。誰が何故、とかどうして、とかを考えなければの話だが。ちなみに他の妖精にどうか聞いてみたら
レプラコーン「ダンジョンか……いや、正直違いがわからん。」
サンドマン「すまないっす、オレもわかんないっす。」
ルナ「わたしも……」
と、全員わからないそうでアイは確信しているらしい。
まあ、そんなこんなやってて結局は
アイ「とりあえず進んでみて罠とかありましたらサンドマンに解かせるなりで良いのでは?」
一「あぁ……そうだな。」
と、進む事になったんだがな。
俺は押してみるとやけに軽い扉を開いた。
扉を開くとそこには広い空間があり、中央には分厚い本があった。
サンドマン「アレが伝説の魔導書っすかね?」
レプラコーン「そうだろう!いこうぜ!」
一「いや、ちょっと待て。」
俺は向かっていく3匹の妖精を止める。
ルナ「どうしたの?」
一「冷静に考えろ。なんでわざわざあそこに伝説の魔導書があるんだ?端っことかでも良いだろ。しかも無駄に豪華だし。」
分厚い本は机に置いてある感じなのだが本を中心として魔法陣の様な形の模様をしている。
そして、なにか呪文の様な物が書いてあり、……いや、まどろっこしい言い方はやめよう。うん。
絶対なんかでるって。こういう急にフロアがデカくなる理由なんてボスくらいなんだって。どうせ魔法陣から変なの出てくるって。
……とまあ、そんな事を言えるはずもなく。
一「まあ、一旦慎重に行動しないか?」
と、注意喚起するくらいしか出来なかった。
ルナ「たしかにそうだね。」
レプラコーン「……はっ、そんなもん大丈夫に決まってんだろ!今まで敵なんか出なかったんだからよ!」
ああ、そういえば敵、今まで確かに出なかったな。精々恐らく部外者であろうゴーレム連中くらいだしな。
一「まあ、そうならやってみてくれ。」
なんか出れば俺が倒せば問題ないしな。
3匹の妖精たちが魔導書に近づいていき、レプラコーンが魔導書に触れんばかりの距離に近づいた。その時、
「ま、待て!それ以上近づくな!」
という声が聞こえた。
アイ「三馬鹿!《そこで止まりなさい》!」
アイがそう言うと妖精達は石にな……いや、待て。
一「お前……そんな事できたのか……。」
アイ「え、そ、そうですね。LVが上がってできるようになってたのかもしれませんね。ははは……」
……これ、おそらく昔から出来てたな。という事は何かいままでの、アイに関する情報のミスリードがありそうだな……まあ、そんなにアイについて知らないんだけどな。
閑話休題
今の、声だけ聞こえ姿は見えない、という状況からおそらくはどこかから俺らを狙える位置に敵がいると考えられるが……なんか妙だな。
一「今……どこから声が聞こえた?」
アイ「そ、そうですね。……私は前から聞こえたので部屋の奥に敵がいると思います。」
なるほどな。確かにそうっぽい。
……だが俺は、
一「そうか。俺はあの本から聞こえたような気がする。」
と言った。
アイ「えっ?いや、それは無いかと。まずあの本からは魔導書特有の魔力が感じられま。……いや、そうですね。そういう事ですか。確かに近づくな。としか言ってないですもんね。」
アイも気づいたようだ。
さて、俺達が部屋に入った後、レプラコーンが触れようとした本をさっき鑑定した。その結果が
賢者宿るグリモワール【ネームド】「伝説の魔導書」【LV55】 H50+α MP1000+α
STR100+α DEF50+α INT1000+α MND50+α AG100+α DEX0+α
種族特性(意思持つ物体)(全魔法強化)(全魔法効率上昇)
だったのだ。……うん。ボスじゃん。めっちゃ、騙されたやついるじゃん。という感じで正直引いている。
一「わかったか?」
アイ「はい、アレは完全にボスですね。」
ボス……正直うちのダンジョンのヤバいやつしか思いつかない。
一「まあ……でも遠距離から魔法でズドンだろ。」
「なっ!まっ、まってくれ!」
一「いや、待てって言われても……今のはお前か?」
俺は魔導書を指差すと魔導書は浮き上がり自分でページを開き、「そうだ!」の文字と声を出した。
「も、もうあのダンジョンマスターはだめだ!あんたの冒険に連れてってくれ!」
一「え?お前を?うーん……」
「す、すっごいなやんでる!なんでさ!色々使えるよ!ほら!炎だって!水だって!なんなら草魔法とかもある程度は使えるからさあ!頼むよ!」
俺がLVが高い事から経験値的に美味しそうだし倒すかどうか悩んでいるとアイが
「なら、回復魔法をある程度ご存知ですか?」
と、聞くと魔導書は「も、勿論です、魔導書ですから」とどっかで聞いた事があるような事を言った。……そうか。回復魔法を使えるのか。
一「いいだろう。条件付きで仲間にしてやろう。」
「じ、条件とは?」
まあ、条件と言っても回復魔法教えてもらうってだけだがな。
「そ、それくらいならやってやるさ!ど、どうって事ないね!」
と、言うわけで俺は喋る魔導書を入手した。
アイ「では帰りましょう。《直りなさい》!」
三妖精「「「……ハッ!ここは?」」」
戻すの早いな……
そして、その後俺らはゆっくりと入口へ戻っていた時、入口手前で、軍服を着た人間を発見し、発見された。
そして、近づいてきて
「おい!俺のダンジョンからなにを持ち出している!また最奥に戻してもらおうか!」
と、いいながら襲い掛かって来た。……うん?俺のダンジョン?……って事は
一「お前ダンジョンマスターかよ!」
俺はこの歪なダンジョンの作成者と戦う事(否応なし)になった。
はい、今回は少し短めです。
さて、ちなみにこのダンジョンの特徴として最後特化なんですが特に今後出るかどうかはわかりません。
次回、対ダンジョンマスター戦!
追記、誤字修正しました。




