131話 完全装備
主「カラオケ行こうぜ!」
ジョー「誰だお前!」
(主は極端なインドアタイプです)
細工と付与、それらは武器や防具などの装備に対して、ステータス補正を減らし、効果を付ける事ができる、いうなれば加工系のスキルだ。
細工は装備に装飾を施す事で加工し、効果を2つ付ける事ができる。加工する時にDEXによって効果の良し悪しは変わり、つけ直しは出来ず、同じ効果はつける事ができない等の欠点もあるが、それを差し引いてもかなり強力な効果をつけることが可能だ。
付与は装備に自分の魔力を流し、効果を3つ付ける事ができる。付与時はINTとDEXによって効果の良し悪しが変わり、MPを消費し、装備者以外には効果が薄い、素材によって付与しやすさが異なる、場所によって付けれる効果が違う、一度装備に付与すると他の加工スキルが使えないという問題がある一方で、重複可能、付け直し可能、そこそこ強力な効果を付ける事ができる。
一「まあ、何はともあれ実践だな。」
一旦魔王城でMPを回復し、付与をする事にした。INTは高いけど、DEXはそれなりだし、細工を加工して失敗しても嫌だし……
俺はとりあえず指輪を一つ、布がかかった丸い机の真ん中に置く。
一「さて、こっから、どうするんだっけ……」
とりあえず小道具の中の参考書を手に取り、パラパラとめくり、流れを確認してゆく。
まずは小道具の残りである、芯のない蝋燭、水晶で作られた髑髏、蕾の造花を色違い2本を机の上に置いてゆく。
造花1、蝋燭、髑髏、造花2の順に並べる。
そしてここで付与する物、今回は指輪を机の上に置き、蝋燭、髑髏、右の造花、左の造花のに魔力を纏わせる。
すると、蝋燭に火が灯り、髑髏が淡く青い光を放ち、造花が咲き、指輪が宙に浮く。
これで、準備が完成する。
魔力を流し続けながら効果を選択し、MPを消費する事で効果を付与する事ができる。
MPは消費すればするほど強力な効果をつける事ができる。
この時、INTの値までMPを流す事ができ、DEXの値分実際のMP消費量を減らす事ができる。
効果1つにつき1000までMPを消費し、同じく1000まで消費量を減らす事ができる。
付与が終わったら指輪を机に置き、蝋燭の火を消す。すると、髑髏は光るのをやめ、造花も蕾に戻る。
これが付与の一連の流れだ。この流れを通してはじめて付与を行う事ができる。
一「まあ、実際理解するのに結構時間がかかったけどな。」
実質1時間。この流れを理解し、最初の指輪に流すまでの時間だ。特に最後をやり忘れて同じ事を2回続けてやった時はわりと心にきた。
一「しかし、それを踏まえてもいい物ができたな。」
付与をした指輪を見る。
先程の指輪には何も効果がなかった。
しかし、今の指輪は、例えば鑑定とかでステータスを見たとして、
指輪
○DEF-125 DEX+375
○DEF-125 DEX+375
○DEF-125 DEX+375
というような文字が見えるだろう。……うん。冗談抜きで強い。これだけで世界は変わるだろう。
一「これを装備してと……」
次に行っていくのは細工……ではなく、またまた付与だ。
MPはまだあるが、一旦MPを回復し、今度はもう1つ指輪に同じ効果を付与する。
これで、俺のステータス上ではDEXは大体3000。無茶苦茶器用になった。今なら体を自由自在に操ったりできそうだ。
器用に振って次は細工を行う。
細工は武器と防具によってやり方が異なる。
まずは防具からだ。
使用するのは金床と細工用に購入した無茶苦茶長い針金状の柔らかい合金だ。……本当は違う物とかでもいいのだが、こっちの方が効率がいいので針金を使う。
まあ、とりあえずそもそもどんな工程なのか。
金属などでできた装飾品を、針と糸を用いて縫い付けたり、糸だけで模様を縫ったりするのだが、装飾品を付けると重い、邪魔などの欠点が出て、糸だけだと効果が薄いし付与し辛くなるらしい。
その為、俺は店のやつに勧められた合金の針金による糸製法で無理やり加工する事であまり重くなくかつそこまで邪魔になりにくい等利点で選んだ。見た目は結構悪くなるらしいが、そこはもう……気にしない事にした。悪くても慣れるだろ多分。
閑話休題
金床の上につなぎを乗せて、合金を紐に見立てて針を通し、一気に模様を縫い上げる。
そう、針金で刺繍をするのだ。
この縫い上げた形状、縫い上げる作業速度、完成時のクオリティの高さによって効果が決まり、形状で基本的な効果、作業速度とクオリティで具体的な上昇幅が決まる。
一「……よし、完成!」
俺は圧倒的なDEXによる力技で一瞬にして完成させた。DEXが必要なのは作業速度が上昇し、クオリティも良くなる。それと失敗もなくなる為DEX上げは欠かせなかったというわけだ。
おそらくこっちもDEXの値の上限は1000程度だったろうが、DEXを可能な限り上げておく事でより効率が良くなる。さしずめ人間ミシンと言ったところだろうか。時間短縮だ。
俺はつなぎに付けられた4つの模様を見る。……え? 2つしか付けられないだろって?
せっかくなので、ここで夢の世界の装備もとい防具という概念について、説明しよう。
この世界、防具に、「部位」、という要素がある。
防具となる部位判定は、頭、上半身、腕、下半身、足の合計5つ。
また、それとは別にアクセサリーの類を2つ防具できる。ステータスの補正はないが、付与はできるので、当然あった方がいい。また付与時に部位判定を受ける為注意が必要だ。
これら防具とアクセサリーは身につけるだけで防具判定になりステータスに影響が出る。
ついでに言うと、武器は基本的には片手ずつ防具をすることができ、付与も加工も大体は同じだ。
しかし、持っていても防具にはならず、ステータスから防具という項目を選択して初めてステータスに補正がかかるのだ。
これらがこの世界の装備という物だ。
さて、閑話休題としよう。
俺は作業着にする予定のつなぎの背中部分に小さく、8つの人の手を持つ蜘蛛、空へと昇りゆく龍、盾を持った亀、涙と乙女、これら4つの針金細工を施した。
そして、服を作業着に着替えた後は、手袋、帽子、シューズに蜘蛛と龍の針金細工を行った。
この蜘蛛と龍の細工は汎用性がかなり、それはもう高い。
一「装備効果1割を全体に付与と付与効果1.5倍はやばすぎるんだよな……」
ハッキリ言って基本的にこれでいい。蜘蛛がばら撒き、龍が効果を上げる。マジで黄金コンビだ。
勿論複眼と乙女の効果も悪くはない。
亀は与ダメと被ダメを50%減らし、乙女はHPを余分に回復する事ができる。
一「亀はちょっと変わっているけど、作業中なら問題ないしな。」
レベリングも捗るってもんよ。
今度はこれら作業着に付与をしてゆく。
一「うーん、改めて部位ごとに付けれる効果も違うって実感できるな。」
上半身は耐久系効果とか筋肉補正とか物理系のものが多く、一方頭は魔法補正とかが多い。
考えながら少しずつ選んでゆくと、気がつけば20分程経っていた。
ひと通り作業着に付与すると、次はローブ等の戦闘服に細工を施して行く。
こっちもある程度は同じだが、黄金コンビは全部には付けず、一部は龍だけになっていたりする。龍は汎用性抜きにしても強いのが悪い。後ブレスレットはアクセサリー類だったので今度泣きながら買う事にしよう。
その後には付与をする。
戦闘向けに特化する分少し耐久を強めに、とか考えながら付与し、気付けば30分は経過していた。
ひと通り防具に付与が終わり、次は武器に……と行きたいが、その前に。
一「武器はあらかじめスキルを持ってからだな。」
武器はスキルで補正が掛かる以上下手に変な加工をしたくは無い。スキルを取得した後でいいのだ。
という訳で、今から付与の効果を確認しながらレベリングを上げていく事にする。
せっかくつなぎなんだ。活かさない手はない。
俺は、付与した指輪を付け替えて、また新たな効果を付与した指輪を装備する。
そして、ひと通り武器の準備を済ませる。
一「よし、準備は万端! 魔導武装23発動!」
魔導武装、それは、腕のみに付けられる付与で、効果として、幻の世界でいう複操術のように周りに武器を浮かべ、更には同じ武器でも装備している判定になるというものだ! ステータス補正は乗らないから強すぎるわけでもない。
俺は袋からあるだけ取り出した長杖23本を装備し、宙に浮かせる。
一「まずはいっぱーつ!」
とりあえず1本振り下ろす。それは、見事に……
一「いっ……」
俺の後頭部にぶち当たってしまった……視界が……
はい、もう家から出ない人です。犬の散歩くらいですよマジで……
そして、最終装備が完成しました。
このデータはしばらく見せられないってやつですね。
というかステータスデータはどのくらい見せていいのかわからない……
100話以上投稿してアレですけど最初期はステータス写しすぎでしたね。毎話見せるもんじゃねぇよ……
閑話休題
次回! 鈍痛のその先へ




