128話 順当な超強化
ジョー「ねえ主、この鼎って漢字はどう読むの?」
主「それは鼎っていう字でな。単、双の次はその鼎って字らしいんだ。」
ジョー「なるほど、ちなみにその情報はいつ知ったの?」
主「書いた当日です……」
砦に戻ると、俺は改めてステータス画面を見る。
まずは進化で単純なステータスの強化。
STRは捨てているため増やしては無い。なんなら減らしているが、それ以外のステータスはべらぼうに伸びた。
特にAGI。素早く動く為に必要なステータスだが、これが最初の実数値が800から、なんと実数値2100まで伸ばした。
他にも、2、3倍まで増えた耐久方面とINTも中々だ。DEXこと器用さはいまいち実感が湧かないが、STRよりは必要と思ってとりあえず振ってみた。
一「これが吉とでるか凶とでるか……」
後はスキルだが、これはとりあえず欲しかった闇と火、そして細工だ。
一「……まあ、こっちは普通だな。」
強いていうと細工だが、これは付与に近いスキルだ。もっとも、付与も使った事は無いが、そろそろ使うつもりだ。
超が付く呪文とか謎の称号も気になるがそっちは後だ。呪文の名前を考えるのに割と時間がかかるしな。
一「本題のやべえやつはこっち。」
種族特性を見る。 まずは既存特性の強化版である、
【鼎属性化 ≪光闇菌≫】
【天魔吸蝕】
【天魔王の羽翼】
【経験豊富】
これら4つの特性だ。
まずは鼎属性化光闇菌。今までの攻撃に光、闇属性を追加していた特性に加え、さらに攻撃が当たった場所に菌糸を10秒間発生させる事ができる。
菌糸は生物非生物問わず付着し、さらにその菌糸に触れた物にも付着する。
この菌糸自体にはダメージは無いが、属性が乗る為後述する天魔吸蝕で追加効果を発生させる事ができる。
次に天魔吸蝕だが、これはいわゆる天界の裁きと魔界の導き、そして妖精の魔力喰らいと真菌の蝕む菌の効果を少し劣化させながらも使う事ができるという特性だ。
簡単に言うと、
天=光属性攻撃でINT依存の範囲ダメージ
魔=闇属性攻撃でステータス10%減+ほぼ確定デバフ付与
吸=直接相手に触れる事でMPを吸収
蝕=菌糸が付いている物に菌糸を固定化させ常に付着した状態にする
というものだ。
天魔王の羽翼は魔王の翼から与ダメ増加、熾天使の羽から被ダメ減少、そして新たに妖精の羽根の効果により、移動速度の増加と、一度だけ攻撃を無効化させる事ができる。
一「これを聞いた時はバレンタイン大会のマー君を思い出したな。」
うぽつの精密射撃を受けても変わらず飛んでいた理由はおそらくこれだろう。避けたのではなく、無効化されたと考えれば妥当だろう。
閑話休題
そして経験豊富だ。
この種族特性の効果は簡単。
経験下手の効果を無効化し、さらにスキルのレベル上昇効率の向上を行う。
シンプルな強化だが、これによって追加でスキルを付ける事ができたのだ。理由は後述する。
新しく追加された種族特性は
【天魔王の輪角命】
【寄生勅命】
【四属性弱化】
この3つ。
まずは天魔王の輪角命だが、これはいわゆる熾天使の光輪と魔王の角、妖精の命の複合特性なのだ。
しかし、効果はかなり変わってしまった。
というのも、元々は
光輪=攻撃を避け続ければ全ステ十倍
角=攻撃を待ち続ければダメージ十倍
命=HP0でも1分間自由に動ける。
と言う物だった。
しかし、この3つの特性は余りにも強すぎたのか、夢の世界では効果が変わっており、
光輪=発動中はHP自動回復 被ダメ20%減
角=発動中はMP自動回復 与ダメ20%増
命=発動中はHP最大値10%減、全ステ2%増
となっている。
元の効果とは違い常に発動する分、悪くはないとは思う。前の効果だといつでも使えるわけじゃなかったし。
そして問題児、寄生勅命だ。これがヤバい。
この特性は少し複雑だが、簡単に纏めると、
①好きな相手に寄生し、自分の好きなように行動できる。
②寄生相手は自分のステータス及び寄生勅命以外の種族特性を追加する。
③1時間に1回寄生相手の1つのステータスを1分間2倍にする
と言うものだ。
ちなみにこの寄生状態だが、妖精から話を聞く限りはその相手に憑依しているイメージらしい。そのため寄生中は俺の体は一旦消えるらしい。……もし消えなかったらそのままやられるし、ありがたい仕様だ。
それはともかく、
この特性のヤバい所は敵味方問わず寄生できる事だ。
例えば敵に寄生して自分に攻撃からの菌糸拡散。
例えば味方に寄生してステータス超強化。
簡単な所でもここら辺が思い浮かぶ。
単純に強いと言うのがこの寄生勅命だ。
最後に四属性弱化は……うん。
一「この寄生勅命を追加するに当たって弱化の方にいくつか追加しないとステータスが恐ろしく低くなってしまうからな。仕方ない。」
経験下手3つも同じ理由で付いている。
さて、四属性弱化は単純。火水風土、これら4つの属性攻撃に対して受けるダメージがなんと2倍になり、4つの属性攻撃を自分が与えるダメージは半分になる、と言うものだ。
中々なデメリットではあるが、これがないとこのステータスで寄生勅命が付けられなかったと考えるとまあ必要だったと考える他ない。ありがとう大樹についていた四属性弱化。
一「さて、超が付くスキルを見るかな。」
謎の超回復、そして超短剣術。
一「まずは超回復からだな。」
超回復について色々確認していく。
超回復の特徴として、まず回復、強回復と進化する際に選択する呪文が全て使用可能になるというものがある。
これによって、回復呪文から、持続中回復、即時小回復、軽微部位修復が使えるように。
また、強回復魔法より、持続大回復、即時中回復、部位修復、状態異常回復が使えるようになる。
更に、超回復に進化した事で新たにいくつかの呪文から選べるのだが……
一「俺回復王だから全部使えるのか。」
なんと、称号の回復王の効果で超回復の、即時大回復、超持続大回復、MP消費無し持続小回復、HP余剰回復、そして、
一「蘇生ができるのか……」
死亡したキャラクターの蘇生が可能になった。まあ俺の死亡時には使えないだろうが。
一「というかこっちの称号はしっかりと効果あるんだな。」
あっちの世界にもわけてほしいくらいだ。
さて、回復王にはもう2つ効果があり、
1つは回復呪文使用時消費するMPの減少。地味にありがたい。
一「もう1つは……自分で自由に回復呪文を作っていい?」
マジか! ……でも時間かかりそうだし、後でいいや。
次は超短剣術だ。今までまともに武器スキルを上げてこなかったが、どうなることやら。
一「とりあえずスキルの説明を……?」
超短剣術についての説明を見る。
するとそこには
【短剣王の効果により、全て常在の効果になりました】
と、書いてあった。
一「どういう事だ?」
短剣王の効果も見ると、そこにはほとんど同じ内容の事が書かれてあった。
一「うーむ……とりあえず短剣持ってみたらわかるか?」
俺は、今まで使っていた短剣を手に持つ。
一「うーん、これこれ。この手にフィットする感じ、まるで長年歴戦の中で共に戦ってきた相棒のような感覚だ。ほぼ使った事は無いけど。」
とりあえず振ったり突いたりしてみる。すると、体がそれに応えるように、攻撃に最適な動きをする。
一「今……俺はどうやったんだ?」
どうやら自動的に技に変換されている気がする。……面倒な様な良いような。
そして、せっかくなので常在の効果も見ていくが、これも強く、
ダメージをDEXかSTRのどちらか高い方で計算。
装備時DEX50%増、AGI20%増、
後ろから攻撃した際相手のDEF80%減。
などなど、ここら辺が特に強い印象を受けた。
これ短剣術でこれだけ強いんだから杖術とかもっと強そうだ。そっちでも今度スキル上げを行っておこう。
そんな事をしていると、不意に誰かが歩いてくる音がする。
一「誰だ?」
外からその方向を見ると、前ここでボロボロになっていた少年と少女の姿がそこにはあった。今回は怪我とかは無さそうだ。
「果たして今日はいるのでしょうか。」
「さあ? でもここ以外に住む場所なんてそうそう無さそうだし、いるでしょ。」
それはそう。前は土の砦だったし、あそこは色々な。
そんな事を考えていると、不意に2人が悲鳴を上げる。
びっくりした俺は急いで2人の所へ飛んで向かう。
一「どうした! 何かあったか!」
2人は血相を変えてとある方向へ指を指す。
「あ、あそこに血が!」
そこには、前回のスキルレベル上げの痕跡である血溜まりがそこにはあった。
一「……ごめん、それ俺の。」
はい、寄生されてない後書きです。
みなさんは強化の為の弱体化は仕方ない派ですか?
一君は強化の為にあえて弱体化させました。それが幸か不幸かはわかりませんがね。へへへ。
次回はお見舞い(元気)編です。




