106話 復讐用生態系崩壊きのーこ決勝戦
主「いて!」
一「どうしたんだ?」
主「昨日買った靴が合わなくて四箇所豆ができてさ……」
一「あ〜……まあ、買いたてなら仕方ないか。」
主「くそう、折角安くてちょっと足に合わないやつだったからかな〜?」
一「それだろ。原因は間違いなく。」
オーレ「これより! 決勝戦を始めます!」
「「「いえええああああああ!!!!!」」」
オークション会場中央にて、オーレが叫ぶと同時に、歓声? が轟く。
モブF「ゴゴゴゴゴ……」
モブC「ヒュルルルルー……」
モブD「遂に……来た……」
その横ではモブFとモブCが効果音を担当し、モブDがローブをはためかせカッコつけていた。
一「いや何してんだお前ら……」
うぽつ「楽しそうで何よりですね。」
モブB「貴方達……」
モブE「まあまあwwwとりあえず緊張感は無くなったでしょ?www」
モブB「まあ……それはそうですけど。」
大会決勝戦。俺達は全員一度は経験しているが、それでも多少は緊張をしてしまう。
その緊張を多少なりほぐせるのは悪くない……いや完全に無くなるのもどうかと思うけど。
「へっへっへ! 今からお前達を徹底的に甚振ってやるぜ!」
一「うわ出た。」
そんな事を考えていると、横からリーダーの賊が話しかけてくる。
「おい観客ども!」
「え?」「なんだ?」「何をする気だ?」
一「いきなりなんだ?」
賊は観客を煽る。
「これが最後の戦いなんだ! 互いになんでもありだ! 派手にやっちまってもいいよなぁ!」
「え?」「いいぞー! やっちまえー!」
ザワ……ザワ……
「おい、誰かアレをよこせ!」
「えっ、やめたほうが 「いいんだよ! オラ! 早く出せ!」」
そう言うと敵の誰かがなにか黒い水筒の様なものを投げつける。
一「なんだ? 飲み物か?」
アイ「まあ最近暑くなりましたし、水分補給は必要ですよね。」
いやでも、この状況でなにか飲むか?
グビッグビッグビッ
ポーー「……! おいおいおい!」
「くぅ〜! お前らも飲んじまえ!」
「「「うおおおおぉぉぉぉぉ!!!」」」
……??? 何飲んでるんだ?
一「ポーー、あいつらは何を飲んでるんだ?」
「なんだ? 欲しいならやるぜ?」
賊が渡してやれ! と叫ぶと誰かが俺に水筒をやまなりで投げつける。
一「危なっ。」
とりあえず受け取って蓋を取る。
一「中身は……うわっ。」
モブB「なんでしたの?」
一「これ酒じゃねーか!」
危ねえ! 飲んだら潰れる所だった! なんという罠! 恐ろしい……
一「危ねえ!」
「え? 何がだ?」
ポーー「あー……一さんは酒ダメなんですよね?」
一「ああ。なんなら俺の家族揃って無理だぞ。」
アイ「そうなんですか?」
一「ああ。俺も親父もお袋も、それと姉も弟も酒はダメだぞ。」
うぽつ「えっ!? 御兄弟がいらっしゃるのですか!?」
うわビックリした! え、何?
一「え? うぽつちゃんには言ってなかったっけ?」
うぽつ「初めて聞きました……一さんも兄さんもそういう話をしないですから……」
一「いや、てっきり知ってるもんかと……」
まあ、そんな事はどうだっていい。
一「まあ、そんな訳でこれは返すよ。」
さっき投げてきたやつに投げ返す。
「うわっ、おい! 酒を投げるな!」
一「お前がいうなお前が!」
全く……危なかった。
一「あやうく飲んでいたらどうなっていた事か……」
「……なるほどな? おい、一本よこせ。」
さっきの酒を賊に渡す。……何か嫌な予感が?
一「……ん? まだ飲むのか?」
「いや、……お前に飲ませるんだよ!」
オラァ! という叫びと共に思いっきり酒をかけられる。
一「うわっ!」
アイ「一さん!?」
オーレ「貴方達……今から戦うのよ?」
オーレも呆れた声……で……
一「あれ……? からだが……動か……」
モブD「あっ。」
うぽつ「あっ。」
「えっ。」
他の奴らが困惑する中、俺は意識を失った……
一「はっ! ……ここは?」
周りを見る。どうやら待機室の様だ。
それと周りには
アイ「一さん! ……大丈夫ですか?」
一「あー……うん。まあ、なんとか。」
そう答えるとアイがとてもほっとした様子で俺に近づいてくる。
アイ「心配しました……」
一「まあ、その時に酔っ払うだけで後は意外となんとかなるから……」
まあ、単に摂取量が少ないとも言えるが……
一「ちなみに決勝戦はどうなったんだ?」
アイ「決勝戦ですか? 相手パーティが戦闘前に妨害する行為によってペナルティを……え、決勝戦、出場するんですか!? 病み上がりですよ?」
アイが不安そうな顔で俺を見る。
一「まあ、心配するな。……それに、」
こっちもやられっぱなしは嫌なんでな。
アイ「それに……どうしました?」
一「いや、気にしないでくれ。」
アイ「そうですか……なら、ちょっと待ってください。」
そう言ってどこかへ転移するアイ。
一「……一人か。」
思えば完全に一人なんてほとんど無かったな。大体うpかアイが隣には居たわけで アイ「今から行われるそうです!」……まあ、こういう事だな。
アイ「? どうかしましたか?」
一「いや、なんでもない。」
と、言うわけでステージに戻ってきたわけだが……
「ぐえっ、がはっ、うげっ」
モブF「飲めん人もおるっちゅうのに何さらしとんじゃ! ワシらを舐めとるんかオラァ!」
「前が見えねぇ……」
ポーー「当然だ屑。未成年飲酒は万死に値するからな。俺の拳で助かったと思え。」
「あばばばば……」
モブE「なあ、俺のモブBに何してんの? 俺のモブBに何をしようとした? 答えてくれよ。答えてくれなきゃ増えていくだけだよ?」
「あがっ、あががっ……」
うぽつ「うるさいですよ。静かにしないと右手が暴発しますよ?」
……モブFが馬乗りになって賊を殴り続け、ポーーのしゃがんでいる前で地面に賊ごと巨大な剣が突き刺さり、モブEが屈んで四肢が無い状態の賊に小さなナイフを一つ一つ刺し、四肢が逆に曲がった賊に対しうぽつが銃口を口に押し当てている。
一「いや、ちょっと……ええ……モブC、何があったの?」
モブC「え? ああ、さっき……」
事の本末はこうだ。
①俺が酔っ払って待機室に転移
②いま殴られている賊達が俺を煽る
③ついでに無理矢理酒を飲まそうとする
④軽いセクハラ
⑤四人+オーレブチ切れ
⑥オーレの特殊な魔法? で賊達が死なない状態になり四人が総攻撃
そして今って訳だ。うん。こいつらが悪い。
一「ちなみにペナルティってなんだ?」
オーレ「え? 単純にあの四人以外参戦禁止よ?」
ふーん……ん?
オーレ「あら、不満?」
一「いや、普通あの四人を参戦禁止にするんじゃないのか?」
オーレ「そうよ? ただあの四人以外が全員、俺達を参戦禁止にしてください! そうすればこの罪と釣り合います! って……まあ、せっかくだし四人にストレスでもぶつけるのがいいわよ。今なら私の過剰回復でHPは0にならないし。」
あー……そう言う事か。というか過剰回復とか言うやつ強いな。俺も欲しい。
一「まあ、ストレスは戦いで発散するよ。とりあえず転移して戦闘を始めてくれ。」
オーレ「ええ。わかったわ。」
そうして浮島砦へ転移する俺達。
準備時間。やる事を済ませる。
「うぽつ、ちょっと屋上にモブF呼んで。」
「わかりました……けど、どうしました?」
「いやちょっとね……」
モブFが到着する。
「どうしました?」
「いや、適当な場所から相手の屋上辺りにコレを投げて貰えるかなって。」
俺はそう言って今回持ってきたとあるビンを二つ、手渡す。
「これは? 明らかにやばそうな粉が入ってますけど。」
「まあ、見てからのお楽しみって所で。後で欲しかったらいくつか渡すぞ。」
「えーっと……いったん見てからで。」
そうか……
戦闘開始、ついに決勝戦が始まる。
「まあ、決勝戦だけど緊張感ないけどな。」
「まあ、ほとんど勝ちが確定していますし。」
「さっき強さはなんとなくわかりましたけど、なんで決勝にこれたのでしょうか……」
アイ、うぽつ談笑しながら敵の砦を見る。
こっちは比較的少数精鋭で戦っている。その為個々の力を重視している面もある。
一方あっちはいわゆる物量でなんとかする系のパーティらしく、相性もありおそらく勝てるであろう。
更に言うと相手の砦の色は青色のバランス型。赤の侵攻型じゃ無い限り、バリスタ等でポーー達が事故死する心配も無いため、余裕で勝利できる。
「ところで、先程のビンってまさか……」
「ああ、アレ? ……あ、そうだ思い出した。そろそろだ。屋上ら辺見てろよ?」
俺は屋上辺りを指さす。すると、その瞬間に何かキラキラするものが砦の側面に当たる。
「あ、ミスった? ……いやまあ、大丈夫か。」
「いや、そう言う問題じゃ無いと思いますよアレ……後でモブDに怒られそうです。」
え? モブDって……ああ、被害者だったな。悪い事をした。今度何か素材でも持ってってやろう。
砦にビンが当たった部分から、とある白い、大量の胞子が撒かれる。
そこから繁殖する、一つの茸。
名前を超越茸(ダンジョン産)という。
超越茸が一瞬で成長し、胞子をばら撒く。その胞子が砦に当たり、さらに繁殖する。
「さあ、超越茸のバイオハザードだ! 逃げれるもんなら逃げてみやがれ! ハッハッハ!」
まさかダンジョン産の胞子があんなにドンドンと繁殖するとは思っていなかった。しかし、それでも!
「ヒャッハー! これが酒の恨みだー! 思い知ったかコラー! ハッハッハー!」
「美味しそうです……」
「食べれるんですかアレ……」
超越茸は砦を一瞬で覆い包み、見事に殲滅するのであった。
ちなみに、
モブD「アレ! ダメ!」
一「はい。」
転移した後モブDに無茶苦茶怒られた。
はい。足の豆が爆破した男です。みんなも靴はちゃんとしたやつを履こうね!
一に兄弟が!? まあ、今後家族が出るので、その為にということで。
次回、そして……




