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92話 生首と黒

ジョー「丁度いい!」

アイ「寒いです!」

一「何があったんだ?」

昇「ああ、なんか、室温が丁度いい派と寒い派で暖房をつけるか否か決めている所だ。」

一「ちなみに今は何℃だ?」

昇「15℃。」

一「うわ微妙。」


 【この○○○○○は現在鑑定できません】


 一「……」

 モブA「……」


 生首発見後、とりあえずうpとうぽつの2人にはどこかに行ってもらった。2人、それもうぽつには見せる訳にはいかないからだ。

 そして、生首を鑑定してみたものの、謎のメッセージが届くだけだった。


 一「……鑑定でもわからないな。」

 モブA「……そうなんだ。」


 モブAは多少落ち着いたようで、今はじっと生首の様子を観察している。


 生首は完全に肉が付いている状態で、今から体に付けたら動き出しそうなほど新鮮だった。なんなら下に体がついていてもおかしく無いほどには。


 一「……もしかしたら、体があるかもな。」

 モブA「あ、そ、そうだよね。まだ下掘ってないし……」


 2人で掘っていく。……しかし、現実とは非常なもので、どうやら生首はしっかりと生首だった。


 モブA「うわぁ……」

 一「完全に生首だったな。」


 掘っている間、それなりの時が経っていたこともあり、いっそ見慣れた俺達は、その生首に対して、どうするかを考えた。


 一「で、これどうする。」

 モブA「あ、あの……」


 そう言うとモブAがこっちを振り向く。


 一「ん?」

 モブA「は、一が持っててくれない?」


 ……前言を撤回しよう。どうやら慣れていたのは俺だけだった様だ。モブAは今もちょっと手が震えていて、俺のローブの裾部分を掴んでいる。


 一「ああ、任せろ。」


 俺はとりあえずこの生首を触って【この○○○○○は触れる事ができません】……え?


 一「モブA、触れることができない。」


 モブA「そ、そうなんだ……」


 モブAがどんどん落ち込んでゆくのがわかる。そりゃそうだ。自分の工房の下にこんな意味のわからない生首があるなんて考えたくもないからな……

 触らないとインベントリに入れる事すら叶わない。何か良い手がないものか……


 一「……あ!良い事思いついた。」


 何か無いかと必死に考える刹那、俺は妙案を思いつく!


 一「なあ、いっそこの生首を無くせば良いか?」

 モブA「無くす?これを?どうやって?」


 モブAが生首に指を差しながら質問をする。一体この生首をどうやって消すのか、と。


 一「ああ、結構すごい魔法でな。生き物じゃなかったら消せるぞ。」

 モブA「……消す?」


 モブAが俺の発言に困惑をする。


 一「ああ、文字通り消すぞ。跡形も無く、完全に。」

 モブA「……なら、お願い。」



 俺はその、凄い魔法を生首に放つ。

 「ラーブ、デストロイ、ブラック。」



 その魔法は黒を司る魔法である。

 その魔法は前作、Calla Dimensionにて魔王が1人、黒崩王(こくほう)が使用した魔法である。


 その魔法の名は「破壊シ強奪スル黒色」


 魔法を放つと腕から黒い球体が現れ、ゆっくりと対象の生首に向かって行く。その際に通った道から光が消え、空中に影が生まれる。


 モブA「ラ、ラーブデストロイブラック!?」


 一「消え去れ!」


 光すら飲み込み消滅させる黒球は直進し、目的である生首を完全に消滅させる事に成功する。



 この魔法はMPを1000+α消費(俺は武器の効果で消費MPは400+α)。効果は触れた物を全てを消滅させるorインベントリに入れる黒い球体を放ち、更に消費した分だけ大きさや持続時間が増える……とまあ、消費MPが重い代わりに相当強い効果を誇る……だったらいいんだが。


 まず、遅い。球体の速度は人の歩行速度程度しかない。

 次に大きさ。通常時はバスケットボール程度の大きさしか無い。

 そして、持続時間。これも通常時間は10秒程度しか持たず、いつでも消せるが戦い中に消す意味があんまり無い。

 最後に、威力。全てを消滅させる。と言えば強そうに聞こえるし、間違いはないが、実はダメージの判定はない。なんとただ消しているだけなのである。……まあ、当たった部位が頭とかの急所だったら死ぬんだけどな。


 とまあ、こんな感じで遅さと大きさのせいで当たらない。当たってもその部位が消えるだけでダメージが無いので下手すれば闇玉の方が強かったりする。


 モブA「ら、ラーブ……デストロイ……ブラック……」

 一「ああ、便利だろ?」


 しかし、勝負事以外だと結構使い勝手がよかったりする。

 なにせ全てを消滅させるのである。私生活で言うと燃えないゴミとか危険で再利用できなさそうなゴミなんかを消せるのである。


 モブA「黒……色魔法……良い思い出が無いな。」

 一「ん?モブAは色魔法を知っているのか?」


 モブA「うん。昔、カラーディメンションをちょっとだけ齧ってた時があったから……」


 あ〜、そりゃ知っててもおかしくは無いな。これらの魔法は前作から使われていたし。前に見たRTAの動画の中でも戦闘中に文字が出現したと思ったら急に譜面が激しくなったりしたし、結構有名なんだろう。……いや、でも黒崩王ヴァルツって表ボス倒した後じゃなかったっけ?


 モブA「と、とにかく、ありがとう。」

 一「あ、ああ。まあ、正直あれは意味がわからないしな。……もしかしたら大事な物だったのかもしれないけど。」

 モブA「仮にあれが大事な物でも生首はちょっと嫌かな……」


 まあ、そりゃそうだな。



 モブA「じゃあ、うpとうぽつを呼んで作業を再開しよう。」

 一「そうだな。」


 俺達はそれぞれ連絡をするやいなや、全速力で走ってくる。


 うp「ふぅ〜、やっと作業が終わったか。」

 うぽつ「お疲れ様です。」


 一「いや、終わってないぞ。」

 モブA「今から作業を再開するよ。」


 うぽつ「そ、そうでしたか……」

 うp「……何か違和感?」


 そしてまた穴掘りの作業を再開する。


 うp「いや、しかし、生首か……」

 うぽつ「私達はああ言った物は見れないですからね。」


 一「まあ、仕方ないな」

 モブA「やっぱり2人ともなんだ……」


 ちなみに2人が生首を見れない理由は単純。視力と記憶力がいいからである。


 うp……もとい昇は視力が()()9.5〜9.8だ。……冗談では無い。本当にそこら辺だ。


 どれくらい見えるか?……まあ、俺は体験した事が無いからわからないが、本人曰く、100m離れた人の顔の小皺の数を数える位は余裕らしい。


 そして記憶力だが、これは短期記憶力、長期記憶力ともに高く、昔の大学生の時に、暗記した何かの資格の参考書を当日にさっと暗記してその資格を取り、今でもその資格についての説明書の説明を覚えている。と言ったら凄さが伝わるだろうか。


 そして、うぽつもとい華ちゃんだが、彼女も同じ様な体質で、更に言うと昇より若い分より視力も高く、おそらく昇の視力の一番高い時期である14.5とかそこら辺だと思うし、記憶力も昇と同じなので、より繊細に、その情報が入ってしまう。


 これが、2人に生首を見せられなかった理由だ。後単純に2人がホラーに弱いって言うのもあるけど……


 閑話休題



 数時間後、ついに穴を掘り終わり、一旦、4人で休憩をする事にした。


 うぽつ「ふう、やっぱり兄さんの作る料理は美味しいです。」

 うp「お、ありがとう。」


 一「あんな状況があったからちょっと食べる気にはなんないわ。」

 モブA「同じく……」


 2人はお茶とちょっとしたおにぎりで休憩。俺達はそれを横目にさっきの光景をどうにか記憶から消そうと奮闘していた。


 一「……ちなみに、他の奴らは?」

 うp「え?あっちで支柱立ててるぞ?」


 うpが指を差した方向を見るとモブEが指揮を取って作業をしている所が目に入る。


 うp「参加するか?」

 一「……遠慮しようかな。今は心も体も意味わからないくらい疲れた。」


 俺達は穴を掘った疲れを癒すため、ゆっくりと休憩をとった。

はい、まさかまさか、第2の色魔法、黒色の魔法の登場でございます。

え?生首は一体何だったんだって?……秘密で。

そして、うp達山田家の視力もとい記憶力です。いや〜、初期からの設定でしたが、ここでやっと説明できた……できた?まあできたとしましょう。

次回、工房作りラスト(予定)!

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