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恋するメイドさんが不治の病を発動しました。  作者: 染色
第三章 コンチェルト・グロッソ
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97 リッくん御一行様、到着です


一台の馬車がペルナンティアに到着した。

片道一週間の旅を終え、馬車は指定の停留所へと向かう。


「やっと着きました!」


ずっと外を眺めていたミュリエルさんが馬車から飛び降りた。


「はあ、生き返りました。やはり大地に足をついている方が落ち着きます。」


初めての旅行にはしゃいでいたミュリエルさんも3日目辺りから大人しくなってしまった。

理由は色々あるのだが、要は馬車に飽きてしまったのだ。


「うん、とてもいい天気です。最高の海日和ですね!」

「はい、エリオット様。たくさん予定を立ててきましたので、思いっきり楽しみましょう。」


すっかり機嫌を直したカトレアは1日の無駄もないように、ビッシリとスケジュールを組んで来ていた。もちろんその中には、僕の休憩日も込みである。


「ほんとですよー。馬車の中では散々な目に遭いましたからね。もうお腹一杯です。」

「ええ、全くです。私が知らない内にとんでもないのが現れたものです。」


この二人がボヤいてしまうのも仕方がない。

いつもの事といえばそうなのだが、ここに来る間だけでも色々なことがあった。

そう例えば・・・。




「リッくん。妾、少し退屈して来たのじゃ。」

「そうですね、じゃあオヤツでも食べますか?せ、セッちゃん・・・」

「おぉ、いいではないか!では食べさせておくれ、あ〜〜ん♡」


パクッ。


「むぐもぐ。・・うむ、美味い。」

「あはは・・・」


「「・・・・・」」


リッくんことエリオットくんが差し出した焼き菓子に、パクリと食いつくセッちゃんこと雪椿。


「何ですか、このムカムカが止まらないやり取りは?」

「ええ、何でしょうね?このリア充感いっぱいの甘い空気は。」


カトレアとミュリエルは今展開されている甘々空間の中において、それを止めることが出来ないでいた。


本来であればそのような暴挙をカトレアが許すはずもないのだが、旅の途中で一番最初に勝負事を持ちかけたのが彼女だったのだ。


勝負事の内容は様々で、基盤上で駒を動かすもの、カードを使ったもの、心理ゲームなどなど。


元はと言えば、カトレアがエリオットを独り占めしようとした珍しく(?)不純な動機から始まり、そしてその思惑通り作戦は順調だった。

そう、セツハが乱入するまでは・・・。


「今はあの時の自分を殴り飛ばしたい気分です」

「本当ですよ、何てことしてくれたんですか」

「そういう貴方もちゃっかり参加していましたよね?」

「・・今はあの時の自分を懲らしめてやりたい気持ちです」


セツハが参戦した途端に、負ける負ける。

美味しい所は全て持っていかれてしまったのだ。


「「・・・、はぁ〜〜〜〜」」


それ故に二人から深いため息が漏れるのも仕方のないことだろう。

不幸中の幸いか、1時間交代と時間を決めたおかげで、残り後半は実に平和に過ごすことが出来た。


因みにだが、雪椿が希望した雪ちゃん又はセッちゃん呼びは却下され、セツ様と呼ぶことで落ち着いくことになったそうな。


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