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恋するメイドさんが不治の病を発動しました。  作者: 染色
第二章 眠れる森の司書と師匠
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84 カトレア・ファミリー

〜カトレア視点〜



わたしはイゼットに戻ってきていました。


「すみません。私が付いていながら・・・」


今は執務室でアリーナ様とエドガー様のお二人に報告をしています。

ひたすら謝るだけのわたしに、アリーナ様は怒るでもなくただ黙って聞いているだけでした。


しかし、わたしにはその方が余程怖かったのです。

むしろ自分の失敗を責められた方が気持ち的には楽ですが、それは許されない事でしょう。それ程にアリーナ様のお怒りなのは容易に想像出来ました。


「そうか、それで今後どうするつもりかね?」

「は、つきましては直ぐに折り返し救出に向かいたいと思います。その為にもいくらか兵を出していただけませんでしょうか?」

「そうだろうな。しかしーー」

「・・・カトレアさん。」


その時アリーナ様から今日初めてのお声がかかりました。


「はい。」

「エリオットは無事だと思いますか?」

「は、今エリオット様の元にはツバキが同行しています。あの者と一緒であれば安全であると保証致します。」

「随分と信用しているのですね。」

「はい。ツバキはエリオット様の為であれば、身命を賭して守りきると信じておりますので。」


ツバキを信じると言い切ってしまったけれど、何と返事が返ってくるでしょうか?

エドガー様はわたしと奥方様のやり取りを、固唾を飲んで見守っていますが、若干ビクビクしているのはきっと気のせいではないと思います。


「・・いいでしょう。あなたの事情は聞いています。」


『事情』とはわたしの過去のことでしょうか。

ちらりと視線を向けると、エドガー様は顔を逸らしていました。


(はぁ、この方はまったくもう・・・)


いくら奥方様とはいえ内緒にしておいて欲しかったものです。

だって恥ずかしいじゃないですか、いつかはお義母様と呼ぶかもしれないんですよ?


「そんな貴方には、今回だけ特別に挽回の機会を与えます。」

「ご温情を感謝致します、奥方様。」


しかし、今回はその事が奥方様のプラスに働きましたので、一応は感謝しておきます。


「必ず連れて戻りますので、ご安心下さい。」

「頼みましたよ、カトレア。」


アリーナ様は、感じている筈の心労を僅かにも見せない、しっかりとした足取りで退室されました。


「あ〜、話が纏まった所で悪いが、実は今近隣の治安維持のために兵が出払っていてな。戻ってくるまでに時間が掛かりそうなのだ。」

「そうでしたか、わかりました。では私の方で都合出来次第出発致します。」

「誰か当てがあるのか?」

「はい、忠実そうなのが何人か。」


そして翌日、わたしは再びオリア村へと向かうのでした。

・・・・。




出発していくカトレア一行を、エドガーは屋敷の窓から見送っていた。


「最近イゼットの治安がやたら良いと思ったら、そういう事だったか。」


思った事がつい口に出てしまったのも、仕方のない事だろう。

何故なら、その一行にはマユズミを始めガラの悪い、どう見ても裏のお仕事の方々がズラリと並んで歩いているのだから。


エドガーはある一つの予測を立てていた。

それはここ最近で裏社会の勢力図、主にトップが変わったのではないか、というものであった。


「まさかその張本人が自分の膝元にいるとは思わなかったがな。」


一行が通りを歩いていく間、町の住人は何事かと怯え、母親が泣いている子供を抱えては家の中へと飛び込んでいく。

知らないものが見れば、きっとこれから大規模な抗争でもあるのかと思ってしまう事だろう。


「今度からはカトレアを、さん付で呼んだ方がいいかもしれんな。」


そんな馬鹿なことを考えながら、エドガーは自分の仕事へと戻る事にした。

もちろんそれが“聖典”繋がりである事を、エドガーは知る由もなかった。


あとこれは余談になるが、その集団の中にイセの隠密部隊がいるのを、見たものがいたとかいなかったとか・・・。



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