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恋するメイドさんが不治の病を発動しました。  作者: 染色
第二章 眠れる森の司書と師匠
71/163

71 恋する乙女が不治の病

〜ツバキ視点〜



「主様。い、痛いです。もう少し優しくお願いします。」


主様の手が脇の打撲した所に触れるが、本当は痛みなど感じていなかった。


(えっ?何ですかこれ?なんなのですかこれは〜〜!?)


満天の星空の下で好きな人と二人きり、あまつさえ自分は肌を晒してしまっているなんて、状況が出来すぎている。

今は手当てという大義名分があるが、その後はどうなるのだろう?


(これはいわゆる、Aとか、B、C遂にはDというあの流れだろうか!?)


もうドキドキを通り越して、ズキズキ、ムネムネだ。


「はい。終わりました。まだ、痛いところはありますか?」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」


そう、こんな遭難状態でさえなければ・・・。

私が身だしなみを整えると主様が再度火をおこしてくれた。


「主様は何でもできるのですね。」

「流石に何でもという事はないですけど、あれもこれも大体はカトレアに仕込まれました。」


こんな状況になるまで私は火のおこし方一つ知らない事に気づかなかった。最も野営経験豊富なお姫様というのも可笑しな話だが、主様に面倒を見て貰っていては私の立場がない。


「それに僕はまともに戦えないので、これくらいはさせてください。」


主様はすごく残念そうにそう言った。

年下とはいえ、一人の男の子として私の後ろに隠れているのが悔しいのだろう。


「私はお役に立てているので嬉しいのですが・・・。」


今の私に唯一できる事だ。それすらなくなってしまっては、完全にいらない子だ。

そんな私の不安を他所に、主様は続けて言った。


「だから、こういう時は助け合いです。出来ない事は協力していきましょう。こうして考えると、僕とツバキさんはとても相性がいいんですよ?」

「はうっ!?」



ずっきゅ〜〜〜ん



主様がニッコリと笑う。

ダメだ。これは反則だ。

優しい言葉に合わせて、下心のない無垢な笑顔で微笑みかけられては、私など一瞬で陥落してしまう。


「そもそもカトレアが完璧過ぎるんです。きっと僕なんか、手のかかる弟くらいに思っているに決まってます。」

「いや、それはないかと・・・。」


それはない。

何しろあの人は主様にぞっこんだ。普段はどれだけ完璧でも、主様の事となると途端に歯止めの効かぬ暴れ馬と化す。

私はまだ数ヶ月の付き合いでこれだ。

何年も一緒にいたのであれば、あの暴れっぷりも納得だった。


「そのカトレア殿もきっと心配しております。明日には何とか戻りましょう!」

「そうですね。二人一緒ならきっと大丈夫ですよね。」


なんと嬉しい事を言ってくれるのか。

私は愛おしさのあまり、ついつい距離を詰めて座り直し、そのまま主様にそっと寄りかかる。しかしこれは・・調子に乗って大胆なことをしてしまった。


「つ、ツバキさん?」

「えっと、あの・・・そう!こ、怖いので一緒にいて下さい。」


私は適当な理由をつけて誤魔化した。


「そうだったんですね。安心してください、ツバキさんを置いてどこかに行ったりしませんから。」


(あ、信じてしまった・・・)


もうこの場で組み伏せ、手篭めにしてしまってもいいだろうか?

こんな気持ちになるなんて、これが“恋する乙女が不治の病”というやつでしょうか。(※違います)


まぁ、今日の所はこのシチュエーションを作ってくれた神様に感謝して、思いっきり甘えて女の子しておこう。帰ったら仁王立ちするカトレア殿が待ちかまえていることだろうし。

結局、主様は私が眠りに落ちる振りをするまで、ずっと抱きしめていてくれた。

・・・・。

・・・。


こうして二人は急接近!?

カトレアさんはどうするのでしょうか?



後ツバキさん、思考回路がカトレア化してますよ?

新たなダメダメお姉ちゃんが製造されてしまう。


二人とも似たもの同士だったんですね。


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