7 戦冥土と戦場の美姫
時折本文が短かかったりすることもありますが、話のキリがいいところを目安に区切ってしまっている為です。
ごめんなさい。
これからも応援よろしくお願い致します。
結果的にいうと、圧巻の一言だった。
馬を狙うはずだった僕は、全く仕事をさせてもらえずに、カトレアさんの後ろを追従しながらその光景を眺めていた。
流れるように振るわれたハルバードは、綺麗な軌道を描き1人残らず叩き落としていく。
二手に分かれた僕たちを逃すまいと散開した敵も、羽虫の如く蹴散らされていったのだ。
・・・しかしそれでも喜ぶことは出来なかった。
僕たちと逆に分かれた、部隊長含め4名は突破出来なかった。
そしてこちらも1人失いこれで残り3名・・・。
(あっ、反対側からも1人抜けてきたっ!!)
かなりヨタってるけど彼は何とか僕たちに追いついて来てくれた。
「よく戻りました、部隊長殿はやはり・・・」
「報告しますっ!ぶ、部隊長は帰還不可能っ!これ以後カトレア殿に我が隊の指揮権を委譲する!と最期の言葉でした。倒れ様に一騎でも巻き込もうと馬ごと体当たりを・・・っ!!」
報告を終えた騎士の人は悔しそうに涙をみせている。
「もうそれ以上いう必要はありません。その言葉確かに承りました。」
カトレアさんが僕の方を振り返り、ジッと僕の状態を確認している。
「カトレアさん、僕はまだ大丈夫です!」
せめて心配させないように力強く答えると、カトレアさんも納得してくれたみたいだ。
「我が隊はこのままでは全滅してしまいます。・・ですが騎馬隊をやり過ごした今、逆に本陣は手薄。弔いもかねてこの機会に一当てしてから帰還しますっ!」
「「「おうっ!!!」」」
仲間をやられた悔しさに顔を歪ませ、力強く答えると僕たちは敵の大将を目指し疾走する。
本陣を視界に捉えて真っ直ぐに馬を走らせると、こちらに気づいた指揮官が歩兵を移動させて、妨害しようとしていた。
(思ったよりも早く気づかれた!)
この速度だとギリギリ間に合わないかもしれない。しかし、カトレアさんは全く気にした様子はない。
そんな自信に溢れた態度に、僕はカトレアさんを信じる事にした。
しかし、本陣までもう少しというところまで迫った時、突如として敵の本隊の後方から別の部隊が現れたのだ。
(増援!?)
敵と同じ装備をつけた部隊は、騎馬隊を先頭にこちらへ向かってくる。
その瞬間僕の脳裏には、蹂躙される町、家族、そしてカトレアさんの光景が浮かんでしまった。
だがしかし、それが実現することはなかった。
新しく現れた部隊は、まっすぐ敵の本陣へと突っ込んでいったのだ。
そして、その部隊に続けとばかりに遊撃隊も本陣に突撃。
敵は突然の挟撃にあっという間に瓦解し、敗走を始めた・・・。
状況がよく分からないまま敵の大将まで討ち取られ、残りの兵も降伏するものが出始めた。
(この様子ならもう大丈夫かな)
突然現れた所属不明の勢力は、これまた謎の勢力によって排除された。
そして今、僕たちの前にはその新しい勢力の騎馬隊がいる。
その部隊のリーダーであろう存在。
その姿を見て、僕は思わず息を飲む。
その人はとても神秘的な雰囲気を纏った女の人だったのです。