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恋するメイドさんが不治の病を発動しました。  作者: 染色
第三章 コンチェルト・グロッソ
138/163

138 トレビアーン!!!

更新遅くなりました。

次章の構成を考えているので、しばらくは不定期更新になります。

すみませんが、よろしくお願いします。

〜カトレア視点〜



さて、目の前には醜悪な豚に囚われた女性がいるわけですが、どうした事でしょうか。


あの時とは状況は違います。

ぜんぜんまったく一つとして同じところなんかありません。


ないのはずなのに、精一杯の抵抗すら笑いながら踏みつぶそうとしている男を、そしてその理不尽に対し、自分から諦めてしまおうとしている彼女をみていると、あの時の記憶を思い出してしまうのです。


「悔しいですか?」


そんな言葉を、知らず知らずのうちに口にしていました。


私がいる事にやっと気がついた二人が、こちらへと振り返りました。


感情が抜け落ちていくような錯覚。

心の奥底からジワリと湧くように、溢れ始めた怒り。


「理不尽に全てを踏み躙られ、奪われる事を許容し、諦めてしまうのですか?」


キョトンと惚けている彼女に改めて問いかけます。


しかし、これはきっと目の前の彼女に問いかけているのではありません。

この状況に重ねて見てしまっている、過去の弱虫な自分に対してのものでした。


「メイド風情がなんの用だ!俺は読んだ覚えはないぞ?」


突然現れたクレアにブルトンは不快そうに吐き捨てた。


理由はわからない。

いつものブルトンであれば、クレアほど極上の素材(獲物)を見逃すはずがない。

だが彼はそうはしなかった。

本能が、彼の悪代官としての勘がクレアを危険と判断したのだ。


「わ、私はい・・いいんですっ!に、逃げて下さい!」


先ほどまで助けを求めていた癖に、いざとなったらその逆の選択肢を選んでしまう。

そもそも声が震えているではないですか。


(はぁ、素直でない所はそっくりなのですね)


わたしはその様子を見ながら、自分も同じような事を言った覚えがありました。

心にもないくせに強がっていたわたしに、あの人はどうしただろうか?


答えは簡単。


あの方は、わたしの言葉なんかまったく聞きもしないで、自分の意思を押し通したのです。


「嫌です。」

「え?」

「だから、嫌だといったのです。」


彼女は何を言っているのかわからない、という顔をしています。

ふふ、あの間抜けな顔を見れただけでも、助ける価値があるというものです。


「貴様図に乗るなよっ!儂を無視しおって、今に直ぐにジェームズたちが来る。そうしたらミサキの前で嬲りものにしてやるわ!」


完全無視を決められたブルトンは、真っ赤になってブチ切れていた。

高々メイド一人に、随分と感情的に怒鳴りつけている。


その言葉に彼女、ミサキさんというのですか、が青ざめてしまっています。


「そんなもの来ませんよ?むしろなぜ貴方が逃げないのか、私は不思議でなりません。」

「は?」


今度はブルトンが間抜け面を晒していますが、先程と違ってグッとくるものがありません。

寧ろ引っ叩きたくなりました。



バシィィィィインッ!!!


「へぶぅっ!?」


だから引っ叩きました。


「えぇっ!?」


ミサキさんもびっくりです。


(この子なかなか面白いですね)


いい反応を返してくれるミサキさんに、気を良くしたわたしは、彼女の笑顔もみてみたくなりました。


「ふぐ、貴様よくもっ!後悔するぞ!?」

「そういえば、あなたは今まで理不尽にたくさんの人を苦しめて来たのでしたね。」

「それがどうしたっ?ここは儂の町だ、どうしようと儂の勝手だ!」


ぜんぜんお話にならないブルトンに、わたしはマトモに相手をするのをやめました。


「ではそんな貴方には、とことん理不尽を堪能して頂きましょう。遠慮する事はありません、私からのプレゼントです。」


その後はご想像にお任せしますが、思いつく限りの理不尽をプレゼントしました。


早い話がリンチ、拷問、言葉責め。

どれも素敵なレベルで実行したとだけ言っておきましょう。


「あ、あの・・・、もうその辺で・・・。」


最後はミサキさんの温情によりお終いにしましたが、裸にして鉄扉の中に放り込んでおきました。

後はあの姫様が適当にやるでしょう。


しかし腑に落ちません。

ミサキさんの笑顔を見るはずが、気づいたら青ざめてドン引きしていました。


(なぜ青ざめて・・いえ顔が、赤い?)


気づけばミサキさんは息を荒げてへたり込んでいます。


「大丈夫ですか?いったいどうしたと・・・」

「あふ、あぁぁっん!?」


身体を支えるとかなり熱を持ち、艶やかな声を漏らしました。


「これはまさか」


彼女はおそらく媚薬の類いを摂取させられています。

しかもこの様子からすると、強力なのをかなりの量飲まされていると推測されました。

これは危険な状態です。


(遅効性の毒でないのは救いでしたが、この豚最後に余計な置き土産を)


こういう時はどうしたら良いでしょうか。


いえ、分かりきった事ですよね?


しかし、わたしには心に決めた方がいるのです、例え同性であろうと・・・。

いやいやしかし、このままでは。


「とはいえ、流石にその辺で適当な男を拾ってくるわけにもいきませんし・・・」


ミサキさんも弱々しく、イヤイヤしています。


ええいっ、仕方ありません!

これは貸しです。


「この貸しは、命を救った事よりも、ずっと高くつくと心得なさいっ!!」


わたしはミサキをお姫様抱っこでヒョイと抱えると、隣の寝室へと向かうのでした。


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