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プロローグ

 

「君、君、聞いているのかね!?」

「えっ、アッ、ハイ」

「ちゃんと聞きたまえ、これからの君の人生のことだぞ」


 おっさんのような話し方で見た目は美少女のこの人物、何を隠そう我らが神、その人である。

 ……いやいや別に俺の頭が逝っちゃってるわけじゃないよ。この子がいきなりそう言い出したんだもん。

 でも状況的に信じるしかないんだよなあぁ。


「まったく、死ぬまで憐れな人生を送っていて可哀想だったからこうして転生させてやるというのに……。そんなんじゃ神様やる気でなーい!!」

「やだかみさまあざとーい」

「なにぃ!! アザートスだと!! 我はあんなグチャグチャではない!! 我は唯一にして無数、這い寄る混と……」

「はいはい、わかりましたからすこし静かにしていてください」


 まあでもこの子が言うとおり俺が死んだというのは本当だ、そのときの記憶はある。

 生前の俺は人体改造の実験動物モルモットの中で唯一生き残ったサンプルだった。まあ結局はその後の度重なる薬剤投与や戦闘実験のせいで死んでしまったわけだが。

 そんな俺を可哀想だと思った神様が転生させてくれると、ふむ……。


「生きているうちに助けてくれれば良かったじゃないですか」

「我は自分が楽しいと思ったことしかせぬよ。実際、君を転生させるのはその方が面白そうだと思ったからだ」


 おい可哀想だと思ったって言うのは嘘かよ、ちくしょう。


「よいではないか、君だってあんな人生では満足できぬだろう。死ぬまで恋人はおろか友達すらおらぬかったではないか」

「け、研究員の新井さんは友達だったもん!!」

「実は彼女は君と会話をした数分後に必ず嘔吐するほど恐怖していたぞ」

「止めて!! 聞きたくない!!」

「……よくそんな環境でそこまで明るい性格でいられたものだ」


 まあ多分常人なら発狂しているだろうね、ていうか俺も発狂してこうなったんじゃないだろうか。

 業界用語でSAN値0というやつだ。


「転生の話に戻すぞ。世界は我の方で君に合う世界を選んでおいた。ズバリ、ファンタジーな世界だ!!」

「ファンタジー?? ゲームとかにでてくる剣と魔法の世界みたいなやつですか??」

「そうだ!! ドラ○エにはまったときにノリで作って放置していたからどんな世界か詳しくはわからん!!」

「やだかみさまてきとーう」


 本当何でこんなんで神様が務まるのだろうか、俺が異世界にいくよりこいつに代わって神様になったほうがいいじゃないだろうか。


「次は素性だがこれはいたって平凡だ。多分その辺の村の普通の子供として生まれるだろう。ただし……」

「ただし??」

「君は元々からトラブルを呼ぶ体質らしくてな。まあ生前あんな生き方だったんだから持っていておかしくないな。そういうスキルを自動で持っている。ようは平凡な生まれだからといって平凡な生活をおくれるとは限らないということだ」


 うわ本当だ、目の前に表示されているステータスと書かれた画面に、【パッシブ:トラブル体質】と書かれている。

 転生しても世界は俺に休息をくれないのか……。


「これは我でも消せないから諦めることだな」

「本当は??」

「消せるけど面白そうだから残しておく」


 おーけーおーけー想定内だ。


「身体能力は下限を生前と同じ値にしておこう、無論小さな子供のうちは抑えられるがな」

「それって異世界だとどの程度なんだ??」

「ふむ……歴戦を潜り抜けてきた英雄くらいな感じだな。ズルのようだが生きている間そんな能力を持っていたのだから仕方ない」


 下限でそれなら世界最強は夢ではないみたいだ。どうせ転生するならそのくらい目指してみてもいいな。


「魔法や武器の扱いは自分で覚えたまえ、何もかも最初から持っていたのではつまらんからな。以上が君のステータスについてだ」

「えっ、終わり?? それだと俺は死ぬ前と何ら変わらず異世界に送られるってことになるじゃないですか!? 普通こういう時って何か特別なスキルとかくれるもんじゃ……」

「うるさいっ!! そんだけ能力値が高ければ十分だろう!! おまけに顔も良くしておいてやるからさっさとその穴から落ちて行け!!」

「ちょっ押さないで、わ~~~!!」


 こうして俺の異世界ライフは幕を開けたのだ。

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