プロローグ
これは絶対に踏み込んではいけない領域に踏み込んでしまったダメ男の物語である…
20××年
『決まったーーーー!また決めました!ルンバ大阪期待のルーキー熊沢祐二選手ー!どうですか!?実況の村木さん!!』
「いやー、彼はすごいですよ!ルンバ大阪に所属してわずか1ヶ月でスタメン入りですよ!彼のいいところはやはり……』ピッ
もう3対0でルンバ大阪の勝ちは決まったようなものなので俺はテレビを消した。
「今思うとすごいよなぁ…こんなすごい人とサッカーしてたなんて。」
この俺、大友慎吾は小学1年から中学3年までサッカーをしてた、ごく普通の人間である。
「懐かしいな…」
200×年春
朝日小学校1年の春のある日、俺は友達の祐二と下校をしていた。
「なぁ〜、しんご〜!サッカーやろうぜ〜!」
この時はいつものように公園で遊びのサッカーをするだけだと思っていた。
「いいよ!」
「やった!じゃあ母さんに紙もらうからね!じゃあ明日あげるね!バイバイー!」
すると祐二はダッシュで家に帰っていった
「え?」
次の日、俺はいつものように祐二と登校していた。
「しんご!はいこれ!」
祐二が渡してきたのは入団申し込みと書かれた紙だった、しかし意味はわからなかった。
「何これ?」
「だからー、サッカーやるんでしょ?だから母さんに紙もらってきた!」
「サッカーやるのに紙がいるの?」
「そうだよ!おばさんに渡せばいいっていってたよ!」
「わかったー」
学校が終わり、親にその紙を渡した。すると
「え?サッカーやりたいの?」
「ゆうじがお母さんに渡せって言ってた」
「じゃあやるのね。わかったわ!祐二君のお母さんに渡しておくね!」
「うん」
その何日間か後に突然親が
「今日の4時から朝日小学校のグラウンドでサッカーやるっていうから、祐二君と一緒に行ってねー」
「わかったー」
なんでサッカーやるのに時間が決まってるのか本当にわからなかった。
ピンポーン
家のチャイムが鳴った、そして玄関が見えるカメラから声が聞こえた
「しんごー!行こー!」
「わかったー」
そして祐二と一緒に朝日小学校のグラウンドに向かった
「すごい楽しみだね!」
「サッカー?」
「うん!幼稚園の時はあぶないからダメって言われたんだけど、もう大人だからって言われてね!」
祐二は今まで見たことない笑顔で話していた
そして、朝日小学校のグラウンドに着き目に飛び込んできたのは、自分より背の高い人たちが一生懸命走っていた姿だった。
「ほら見てしんご!あそこに大人がいるよ、あれがコーチだよきっと!」
コーチってなんだろう、そのことだけを考えていた。
祐二に手を引っ張られその大人のところに行った。すると大人が
「お!君達2人が新しい未来のサッカー選手か!名前は…」
「はい!くまざわゆうじ1年3組です!サッカー大好きです!」
「元気いっぱいだな!それでもう一人は…」
祐二が
「ほら、しんごも!」
「は…はい…おおともしんご1年2組です…」
「祐二に慎吾だな!覚えたぞ!今日は見るだけってなってるからしっかり見て行ってくれよ!」
「はい!」
祐二が大きく返事をした
「ねぇゆうじ、サッカーやらないの?」
「え?にゅうだんもうしこみしょに最初は見るだけって書いてあったでしょ?」
「にゅうだん…」
「そう朝日FCもうしこみしょ!」
「朝日FC…」
頭の悪い自分はやっと理解した。
サッカーチームに入り祐二とサッカーをするということを。