学校イチャラブ編01 「あぁ、彼のことを考えるだけで爽やかな朝も甘い朝へと変わる」
私はついに好きで大好きで愛してる彼と両想いになり、付き合うことになった。
彼は学校で異性からモテる顔立ちをしている。整った甘い顔で数々の女子を落としてきた彼が今では私の恋人だ。
「うふふ、おはよう。今日も格好いいね」
一つしかない彼の後ろ姿の写真に朝の挨拶をする。この朝の挨拶は日課だ。これがないと一日が始まらない。
朝の挨拶用に焼き増しした彼の後ろ姿の写真を両手で大切に持ち、唇を寄せる。チュッと音を立ててキスをすると幸福感に満ちてくる。
今日も一日中ずっと彼を見つめられるなんて素晴らしい。今日が学校の日で本当によかった。
授業中の彼も素敵だから、それを眺められると思うだけで体が火照ってくる。
「はぁ……すきだよ。愛してるの」
幸せ過ぎて呼吸が乱れ、息が苦しい。それでも火照った体で彼を愛でることは忘れない。
彼の後ろ姿の写真を体に擦り付けながら、彼が壊したカメラを見つめる。そうすれば、彼と一緒にいると錯覚してしまう。
「ああっ、もっと!」
もっと強く体に触れてほしい。痛いくらい触れて傷跡を付けてほしい。
もっと強く私を求めてほしい。全身を満たすくらい求めてほしい。
私も彼を求めているのだ。いくらあっても足りない心を満たしてほしい。いつまででも側にいてほしい。
だけど同時に思うことがある。側にいるだけでは満足出来ないと。
人間というものは欲張りなんだ。最初は些細なことでも喜んでいたのに次はもっとと求める。私はそんな人間なんだ。
「あぁ、本物のあなたに触れたい。永遠に触って、もう私の垢が付いてないところはないというくらいあなたを私だけのものにしたい」
考えるだけでゾクゾクする。せっかく火照った体をどうにか抑え込むことが出来だというのに、それよりも体が熱くなる。
どうしようも出来ない熱を秘めたまま洗面所に行き、冷たい水で顔を洗う。少しだけ頭が冷え、落ち着いてくる。
落ち着いたらやることがあるのだ。それは彼の為にお弁当を作ること。
彼が私に頼んだのだ。作ってきてほしいと。
彼は優しくて甘いから、どんなに出来栄えが悪くても「美味しい」と言ってくれるに違いない。それでも私は彼には美味しいお弁当を食べてもらいたくて頑張る。その為に何時間も前から起きたのだから。
カーテンの隙間から覗く空は真っ暗だ。そのことに満足をして、台所でお弁当作りを開始した。
お弁当は凝り過ぎても雑過ぎても駄目なんだ。定番の唐揚げ、卵焼き、エビフライなどを作り、冷ましてからお弁当箱に詰める。
この日の為に買ってきたお弁当箱なんだ。シンプルなお弁当だが、彼に似合うので素晴らしいと思う。
このお弁当で、この箸で、彼がお弁当を食べるというだけで沸騰しそうなほど頭が茹で上がる。妄想でお腹一杯にまでなってしまう。
彼が全て食べ切ったお弁当箱と箸をどうしようかと考えるだけで幸せだ。幸せ過ぎて死んでもいいと思ってしまう。
「でも死なない。私はまだ愛し足りないの」
もっと彼を愛したい。彼を愛して、愛して、もっと彼のものがほしい。ずっと彼と一緒にいたい。
芽生える欲求は止まることを知らない。欲深いのは人間だから仕方がない。
「早くお弁当を食べてほしいなぁ」
あの美しい彼の口の中に私が作ったお弁当が入ると思うと身震いが起こる。この震えは歓喜を表している。素晴らしいことを考えた所為だ。
彼が唐揚げを食べたとすると、唐揚げの旨みである肉汁が口の中に広がり、ゆっくりと肉を噛む仕草を考えただけで息がヤバいくらい荒くなるのを感じた。
「私も食べたい」
彼がゆっくりと噛む唐揚げを食べたい。彼が食べている時に隙を見て、唇に自分の唇を押し当てたい。舌を彼の口内に入れ、荒らしながら食べていた唐揚げを奪ってしまいたい。
食べていた唐揚げを奪った後は、その唐揚げの味というより彼の味をじっくりと味わいながら食べるのもいい。腐らないように保存するのもいい。
想像するだけで楽しくて幸せで仕方がない。それだけ彼が好きなんだ。
「はぁ、ああっ……すきなの」
料理を作る時に側に置いとく用の彼の後ろ姿の写真を胸に抱き締める。少し油が彼に付いてしまっていたので、それを拭うのを忘れずに。
拭うといったら布とか紙で拭うのと勘違いされるが、私がそんなことをする時は滅多にない。私は彼に付いたものは全て大切にするのだ。
だから、彼の後ろ姿の写真に付いた油を丁寧に舌で舐めとる。私にしてみれば、彼に付いた油も立派な甘味であった。
「うふふっ、美味しい」
後ろ姿の写真だけでもこんなにも美味しいのだから、本当の彼だったらどんなに美味しいのだろうか。
夏になったこの季節で唐揚げを作ると汗をかく。その汗と混じった油だったら、どのくらい美味しいのだろうか。
想像しただけでゴクッと喉が鳴る。魅力的過ぎて妄想が止まらない。
「あぁ、早く彼に逢いたくてお弁当を食べてほしい」
少し早いが家を出て、彼の家の前で彼を待っとこう。
彼が家を出て来たら前に出て来て「一緒に行こう?」と言うのもいい。彼の後ろをそっと護衛するのもいい。
どちらにしても彼と一緒に学校に行くのだから。
私は幸せ過ぎて頬が緩むのを抑え切れるはずもなかった。