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学校イチャラブ編 最終話 「あぁ、彼の恋人でストーカーになりました」

 確かにストーカーになるのは駄目なことだが、このくらいの激情を持たないと人を本気で好きだとは言えないのではないのか。

 教室のドアを見つめながら考え事をしていると、後ろからギュッと抱き締められた。

 程よく付いた筋肉に忘れられない甘い香り。私を後ろから抱き締めた人物なんて一人しかない。


「好きになった人の写真、着れなくなった服、使われたちり紙などを欲しいと思うのは駄目なことなの?」

「駄目なことじゃないよ」


 俺だって欲しいんだ。君をいろんな角度から撮った写真に、着れなくなった服にブラジャーやパンツだって欲しい。君が鼻をかんだティッシュも欲しい。君の全てを俺は美味しくいただける。それはもう、美味しく何度だってイケるよ。

 彼は甘く優しく私に囁きかける。その言葉が嬉しくて、体が熱くなる。息が苦しくて、もう駄目だ。


「私はあなたが好き、愛してる。ずっとあなたのストーカーでいたいの」

「俺も君が好きだよ、愛している」


 チュッと髪に唇が落とされる。彼から愛されている実感が私を幸せにさせる。

 好きで好きでどうしようもない彼。彼のストーカーになりたいと何度も思った。

 彼の後ろ姿の写真だけじゃ物足りなくて、彼の家を探し出して夜な夜な妄想にふけていた。何度も何度も彼の妄想で体を火照らせたことか。


「あぁ、あなたの甘い匂いは私の体を熱くさせる」

「そんなこと言ったら駄目だよ。今すぐここで君を襲ってしまいそうだからね」


 これで我慢して?と囁く彼の指はスッと私の唇に触れる。その指を口に含むと後ろからクスクスと笑い声が聞こえてきた。


「だから駄目だって。君は露出趣味があるの?」

「ないけど……」

「良かった。まぁ、露出趣味があっても君の全てを見ることが出来るのは俺だけだから、ね」


 その甘美的な言葉に頷くことしか私には出来なかった。


 クラスメイトが私達を見ている。そんなことは些細なことに過ぎない。なにせ、私達は愛し合っているんだ。恥ずかしさなんてない。

 彼に向き合って、もう一度抱き締め合う。彼は私のものだと、私は彼のものだと皆に分からせるように。



 長かったようで短かった一日が終わり、私と彼は一緒に帰宅をする。彼は私の家まで送ってくれた。

 玄関の前で人目を気にせずキスをして、家の中に入る。だが、部屋に戻って制服を脱いで私服に着替えるとすぐさま家を出て行った。

 私は彼のストーカーになりたいんだ。彼の恋人になったとはいえ、彼の後を付けないと気が済まない。


 彼の家に急ぎ足で向かっていると急に腕を引っ張られて後ろに倒れそうになった。

 だが、その腕を引っ張った人が私を抱き締めたので倒れずに済んだ。甘くて爽やかな匂いは彼しかいない。私が彼の匂いを間違うはずがない。


「俺を付けて来たの?」

「うん」

「可愛いね。だけど、そんなことしなくても俺はいつでも君の側にいるよ」


 あぁ、嬉しくて嬉しくてどうしようも出来ない。

 私の側にいつでもいるなんて嬉しすぎるんだ。彼はいつも私を嬉しくさせる。


「私もあなたの側にずっといるからね」

「好きだ、愛しているよ」


 深く何度もキスをして、私達は愛を確かめ合う。これ以上の幸せはないというほどに私達は愛し合うのだ。


「あなたの全てがほしい。どんなものでも全部ほしい。でも、次はあなたが触れたチョークをくれるのでしょう?」

「そう約束したからね。あぁ、そうだ。今からチョークを買いに行こうか」


 きっとこれは私が彼の恋人でストーカーになってからの初めてのデートだ。

 初めてのデートだと喜んでいると彼は意味深に微笑んだ。そしてそっと私の耳たぶを甘噛みしながら囁くのだった。


「君が知らない内に俺と君は何度もデートをしているよ」


 甘くて愛おしくて、それが嬉しくて私は彼の唇に自身の唇を押しやった。


 こんなにも私は彼を愛しているんだ。そして、彼も私を愛してくれているんだ。


 あぁ、私は彼の恋人でストーカーになりました。

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