学校イチャラブ編04 「あぁ、彼の席に座っているだけで息が乱れて苦しくなる」
手を離さないようにギュッと掴んだまま、学校へと着いてしまった。まだこの手を離したくないのに着いてしまったんだ。
下駄箱でまだ手を離したくないと訴えるために自分より背が高い彼を上目で見つめる。
彼は私の手を握ってない方の手で甘く優しく撫でる。その手付きが気持ち良くて、もっと撫でてほしくて、手に頭を擦り付けた。
「クラスメイトが来る前に君の耳を乱させて?」
「……うん」
優しく頭を撫で、繋いでいた手を離す。
手を離すことは寂しかったが、彼は私の隣にいる。私の耳を早く乱したいと言っている。それだけで私の心は晴れていく。
一秒でも早く彼の側にいたくて、靴からシューズに履き替える。履き替えた私の手を握る彼に笑みを浮かべた。
「すき」
「うん、知ってる。俺も君のこと好きだよ」
好きだけじゃ足りない。私は彼のことを愛しているんだ。愛して、愛して、どうにも出来ないくらい愛しているんだ。
彼のものだったら何でも愛せる。彼だから愛せるんだ。
彼の整った顔立ちも好き。艶やかな黒髪も気だるそうに前髪の毛を掻き上げる仕草も好き。後ろ姿の彼も好き。ふいに視線を感じたのか、後ろを振り返る姿も好き。
時々だが授業中に眼鏡をかける姿も好き。面倒くさそうにシャーペンを唇にくっ付けて授業を受けている姿もグッとくる。
黒板に回答を書いている姿もチョークを指に挟んでいる姿も、みんな大好きなんだ。
「あなたが触ったチョークを頂戴?」
「いいよ、いくらでもあげる。だけど、そのチョークは俺が買ってくるから。学校の物とかは駄目。俺の物じゃないと嫉妬で狂いそうになる」
「ああっ、うれしい」
本当に彼が私を愛してくれていることが伝わってくる。学校のものということだけで嫉妬してくれる彼が愛おしい。
愛おし過ぎて彼の後ろ姿の写真を取り出す。その素晴らしい写真の彼に口付けた。これは私が興奮した時にいつもやる癖だ。
「俺のこと好きだというのは分かっているけど、本物がいるのに写真にキスする?」
「あっ、うっ」
「俺にキスして。君がしたい時にいつでもキスして?」
手に持っていた学校用の彼の後ろ姿の写真を取られる。少しだけ怒りを露わにした顔で彼は私の頬にキスをした。
柔らかい唇が頬に触れるだけで死にそうなくらい幸せになる。この柔らかい唇の感触をいつでも感じられるようにしたい。例えば、この感触に似たクッションを買うとか作るとかしたい。唇の形を模したものでもいい。
あぁ、私はこんなに彼のことが好きなんだ。
「すき……」
「君が俺のこと好きだって昔から知ってる。俺も君のことをずっと見つめていたから分かる」
彼は甘い。そして私のことを何でも知ってる。私のことを前から好きだと言ってくれる。
この以上の幸せなんてない。私も彼のことをずっと見つめていたんだ。ずっと、遠くから見つめていろいろしてみたいと考えていた。
「私はあなたにいろんなことをしたい」
「いいよ、君がしたいことしていいよ。でも、今は俺がしたいことをさてね?」
こくりと頷くと彼の机に導かれる。そのまま彼の椅子に座った。
感動で涙が頬を流れる。私は彼の椅子に座っているんだ。しかも彼の目の前でだ。
私は朝から早く学校に着いて彼の椅子に座って、彼を想う。彼を想うほど体が熱くなり、そのまま椅子の上で机の上で体を冷ます作業を何度もした。
机の上に彼の写真を置いたり、写真を直に使って体を冷ましたんだ。気持ち良くて、いけないことをしていることが気持ち良くて、やめれなかった。
そんな思い出のある彼の椅子に私は座っているんだ。どくんどくんと心臓が壊れそうなほど高鳴る。
「顔が赤いね。いつも朝からしていることを思い出して興奮したのかな?」
「あっ……んぅ」
耳の形をなぞる指に体が反応する。いいや、彼の指だけじゃない。彼の言葉にも私は興奮しているんだ。
彼は私の朝からしていることを知っている。それだけで興奮してしまう。
今までは自分一人で冷ましていた熱を一緒になって冷ましてくれるというのか。そうじゃなくても、ただ私が熱を冷ましている姿を見てくれるだけでも興奮してしまう。
想像しただけでこんなにも息が乱れて苦しい。この想像が現実になったら私はどうなってしまうのだろう。
「あぁ、可愛い。このまま美味しくいただきたいくらいだよ」
「……んっ」
「……だけど駄目だな。彼女を愛するにはこの朝の時間だけでは足りない。じっくりと溶かして、溺れさせて、美味しくいただきたい」
駄目だという言葉が聞こえて、私はこの熱を冷ましてくれないの?と呟いてしまった。その言葉に彼は笑みを深めるだけだった。
耳を弄っていた彼は私に顔を近付けてくる。柔らかくて甘い唇が私の唇に触れた。
口内を味わうかのようにじっくりと彼は舌で口内を荒らす。机に手を付いて椅子に座っている私の口内を荒らす彼は素敵だ。
キスしている最中なのに目を開けてぼーっと彼を見つめていた。私の視線に気付いた彼は片目だけを開けて微笑む。
「そんなに俺が見たかったの?」
その問いかけには答えられなかった。なにせ、深く口付けをする彼にうっとりしてしまったから。深く口付けをして言葉が出なかったから。
何度も深く甘い彼を味わってから唇が離れた。残念だと思うと同時に口の中に入った甘い彼の唾液を飲み込めることに気分が高揚する。
じっくりと一滴残さず唾液を飲み干すと彼は優しく私に笑いかけた。
「今から俺がしたいことをしてもいい?」
優しくて大きな手が私の耳に触れた。
今から彼が私の耳を犯してくれるというのか。それだけ考えると、もう体が熱い。熱くてどうにかなりそうだった。