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学校イチャラブ編03 「あぁ、彼が興奮するだけで体が熱くて甘い刺激を求めたくなる」

 思う存分お互いに求め合うと自然に離れる体。本音を言うとまだ抱き合っていたいが、学校が始まるのでそうは言ってられない。

 二人だけでいる彼も愛しているが、学校にいる彼も愛しているのだ。授業中にシャーペンを弄る彼を見つめるのが好きなのだ。

 時には授業中にシャーペンの先の方を唇に当てる姿なんて素敵だ。何度も彼が使っている四百五十円のシャーペンになりたいと思った。


「早く学校にいるあなたを見つめたい」


 学校にいる彼も格好いい。授業中に時々だが掛ける眼鏡姿の普段とは違う色気がある。

 眼鏡を取るあの瞬間や目頭を押さえる時や、眼鏡を眼鏡拭きで拭く姿など全てが格好いい。いつまで見ても飽きない。永遠に見つめていたい。

 時折、先生に当てられて黒板に問題の解答を書きに行く時などチョークが羨ましかった。彼の綺麗な手に、指に挟まれるチョークを憎たらしい目で見ていた。

 だけど、彼が触れたチョークというだけで興奮もした。彼がチョークを置いた瞬間にそのチョークを取りにも行きたかった。

 彼が使った後のチョークを誰かが使う度に殺気が芽生える。私が使いたかったのに、私がチョークを保存しときたかったのにと。


「あなたが使ったチョークを今度は頂戴?」

「いいよ。その代わりに君は俺に何をくれる?」


 チョークをもらう代わりに何をあげれば彼は喜ぶのか。首を傾げて彼を見つめると、爽やかな朝には見合わない怪しげな笑みを浮かべた。

 そっと私の頬を指でスッと撫で、その指で耳を触る。耳の形を確かめるように触る感覚にゾクゾクと体が感じてしまった。


「学校に着いたら俺に耳掃除をさせてね?」


 彼が直々に私の耳掃除をしてくれるのだろうか。耳の穴に彼が触った綿棒か耳かきが入るというのか。

 優しく耳の中のゴミを彼は取るのか。いや、優しくではないかもしれない。傷付けない程度の痛さをくれるのかもしれない。

 彼にだったら傷を付けられてもいいが、声が聞こえなくなるのは困る。彼の声が聞こえないなんて想像も付かないからだ。


「優しくしてくれる?」

「君が望むなら何でもするって言ったでしょ?」

「うん」

「激しくも優しくも酷くも、君を傷付けることも何でもしてあげる。それが俺の好きことだから」


 優しく微笑みながら、彼は私の耳をカプッと甘噛みする。甘い痺れが耳から全身を駆け巡った。

 彼からの何度目かになる愛の告白も私の体をあつくさせる。せっかく彼自身が私の熱を冷ましてくれたというのに、彼の所為でまた熱がぶり返してきた。


「わたしも、あなたにされることなら何でも好き。あなたのものなら何でも好きで美味しくいただけるの」

「可愛いね。そんなこと言って、俺を誘ってるのかな?」


 熱にうなされたまま、彼の唇に自分の唇を押し当てる。軽く触れるだけのキスをするつもりだったのに、彼は軽いキスでは離してはくれない。

 深く味わうように口内を荒らす彼が愛おしい。それに口に入ってくる彼の唾液が甘くて美味しいのだ。

 深く味わったら唇が離れる。飲み込み切れなかった自分の唾液と彼の唾液が混じり合ったものが口の端から零れた。


「あぁ、可愛いよ。潤んだ瞳から流れる生理的な涙に、薄い赤色の唇から零れる唾液。美味しそうで可愛いよ」


 零れた唾液一滴も残さないように舐めとった。

 口の端を舐めていたのに、それだけでは足りないのか。零した涙も飲み干し、鼻先を舐める。ペロペロと甘味を舐める感覚で鼻を舐める彼に胸が苦しくなった。

 胸の鼓動が速まり過ぎて、もう駄目だ。苦しくて苦しくて、仕方がない。


「鼻の穴にも指を入れてかき乱したい。口と同じで鼻の中も荒らして、君を喘がせたい。だけど今日は耳の穴で満足してあげる」

「……んぅ」

「可愛いよ。あぁ、早く学校に行こうか。早く君の耳の中をかき乱したいよ。考えただけで興奮してくる」


 カブッと鼻を噛むのでビクッと体が跳ねる。それに彼は息を乱した。

 彼が息を乱してくれるなんて嬉しい。私で興奮してくれるだけで嬉しいんだ。私も彼で興奮しているのだから、同じだと嬉しくなる。

 好きで好きで、もう何度も彼を美味しくいただいた。それと同じで彼も私を美味しくいただいてくれる。それだけで息が荒くなってくる。


「すき……」

「俺も好きだよ。だけどそんなに煽らないで、学校まで我慢が出来なくなる。本当は今すぐここで押し倒してもいいんだよ?」


 これでも我慢してるんだ。そう囁く彼の声はいつもより余裕がない。

 余裕がない彼も素敵だ。余裕がなくなるまで私のことを考えてくれたというだけで興奮する。

 押し倒されたいけど、学校にいる彼も見たい。学校にいる彼の写真を何枚も撮って何枚も焼き増ししたい。

 恋人になって初めての学校なんだ。行きたいに決まってる。記念日なんだ、写真を撮ってもいいだろう。


「早く学校に行こうか。まだこの時間だとクラスメイトは来てないだろうし、静かに君の耳の穴をかき乱すことが出来そうだ」


 私の手を離さないというように強くギュッと握り、彼は余裕がない顔でそれでいて嬉しそうに微笑んだ。

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