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学校イチャラブ編02 「あぁ、彼からの朝の挨拶だけで体が熱くなる」

 高揚した気持ちでいつもより早い時間に家を出る。

 夏だから少し早い時間でも明るくて歩きやすい。それは彼を護衛しやすいと同時に他の人に見つかりやすいという危険性があるんだ。

 彼の貞操は私が守る!そんな決意をした私は急ぎ足で彼の家へと目指した。


 息を切らしながら辿り着いた彼の家の前で大きく深呼吸をする。息を整えるための行動だ。

 はぁはぁと乱れた呼吸を整える作業は見ようによっては、私は危ない人に見えるだろう。なにせ、家の前でそんなことをしているのだから。

 実際は呼吸が乱れた理由は全力で走った所為だけではない。彼の家を朝から見て興奮しているのだ。

 彼の家は夜にしか見たことがなかったから朝の彼の家は違った雰囲気がある。夜は妖艶な危ない雰囲気なのに、朝は朝に見合った爽やかな雰囲気だ。

 うっとりと彼の家を、彼の部屋であろうところを見つめる。彼が家から出て来るまで思う存分眺められるなんて素晴らしい。


「うふふっ、朝から彼の家を見つめられるって素敵」


 家が分からなかった時は、他のクラスメイトより先に学校に行き、彼の机を眺めたり、椅子に座ってみたり、机を撫でてみたりしたものだ。

 彼が座った椅子や彼が触れた机というだけで体が熱くなり、何度も朝から熱を冷まそうとした。

 机や椅子に体を擦り付けたり、机の上に彼の後ろ姿の写真を置いて楽しんでみたり。様々なやり方で熱を冷ましたものだ。

 学校の机も椅子も魅力的だが家も魅力的だ。想像の範囲が広がるというものは素晴らしい。私の栄養補給にも繋がることも嬉しい。


「彼は何をしているのかな?」


 まだ六時くらいだから丁度起きたくらいだろうか。それとも寝ているのだろうか。

 ベッドの上で寝ている彼はどんな恰好なんだろうか。夏だから涼しい恰好なのは当たり前だ。

 半袖半ズボンなのか、それともパンツだけ履いてるのか。前にも考えたことは今でもずっと考えられる。

 想像だけすると部屋を覗きたくなってくる。ここからは二階にある彼の部屋の中は見れないと分かっているのに、頑張って背伸びをした。

 見れないこの距離がもどかしい。家の外壁を登ってやろうかとか考えてしまう。私にはそんな運動神経はないのに、やろうと思えば出来そうで気持ちが高ぶってくる。


「ああっ、もう我慢出来ない」


 そっと家の表札を撫でる。この名字が書かれた表札さえも愛しさが込み上がってくる。

 表札に体を擦り付けたら、どんな快楽が得られるのだろうか。彼の部屋を覗きたい気持ちを取り除けることが出来るだろうか。この熱を冷ませるか。

 彼の後ろ姿の写真を取り出して、表札を見つめながら写真を体に擦り付けた。何度も彼の名前を呼びながら熱を冷ます行為をする。


「はっ、ん……すき、好きなの」


 流石にこの家の前では駄目だろうと理性を働かせ、名残惜しくも表札の前から離れる。それでも写真を体に擦り付ける手は止めない。

 一目が付かない家の陰で火照った体を冷ます作業に集中する。集中し過ぎて、私は周りのことを見ていなかった。

 急に後ろから抱きすくめられ、耳をぺろっと舐められた。

 知らない人からだと憎悪しか抱かない行為をされたのに不思議と憎悪は感じなかった。それは舐め方が彼にそっくりだったからかもしれない。

 それに、この筋肉の付き方や爽やかで甘い匂いは彼のものだ。

 硬直した体が彼だと分かった瞬間に解れる。そのままゆっくりと背中を彼に預けた。


「おはよう。今日も可愛いね」


 耳元で囁く甘い声は紛れもない彼の声。彼から「おはよう」と言われ、胸が激しく高鳴る。朝から彼に逢えるなんて朝の挨拶をもらえるなんて、こんな素晴らしい日は他にもない。


「おはよう。今日も格好いいね」


 抱き締められたまま、顔だけ振り返って朝の挨拶を呟く。いつもは、彼の恋人になる前は彼の後ろ姿の写真にしか言ったことがなかった朝の挨拶を本当の彼に言う。そんな今日はなんて素晴らしいのだろう。

 ギュッと彼から抱き締められる私は贅沢だ。もう、この時間が永遠に止ればいいと願うほど素敵な時間だ。


「挨拶を言うのを遅れてしまったね。君が可愛くて、ついずっと見つめてしまったよ」


 流石にもう我慢出来なかったから。嬉しそうだけど何かを我慢した顔で彼は囁いた。

 そんな彼に私は更に嬉しくなる。彼も私と同じ気持ちだったんだと。私も彼が格好良すぎてずっと見つめているからだ。

 嬉しくて微笑むと、彼は私の体ごと自分の方に向かせる。


「可愛いよ。やっぱり遠目で見るより近くの方がずっといい。想像もいいけど、本物の触り心地の方が俺の心を奪っていく。好きだよ、もう君なしでは生きていけないくらい」


 その言葉に魂が持って行かれるのを感じた。朝の挨拶だけでも贅沢だった私の心に愛の言葉は直撃する。

 私も彼なしでは生きていけない。彼のものがもっとほしい。彼がほしい。


「すき、すきなの。もっと激しく触って……」

「いいよ。君が望むなら、激しくも優しくも酷くもしてあげる」


 お互いに求める口付けは深く絡み合う。口内を荒らしながら、彼は私の全身を撫で回す。

 決して優しくなんか撫でていない。強い力で私の体を触り尽くした。

 気持ちいいと伝えるために、更に体を擦り付ける。それに嬉しそうに彼は笑みを深めるだけだった。

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