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魔法少女は僕のエクスカリバーを求めない。  作者: 大岸 みのる
第一章:僕の股間は聖剣のようです。
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・僕は男に戻る事ができたようです。が……

 真っ暗な寝室。美花と先刻から眠っていた昴会長に、幻魔術とやらをかけて二人を更に濃い睡眠状態にさせた桜子。

 今、ここには僕と桜子の二人きりである。

 妹の桜子が寝室に入ってきたのはついさっきで、服装はワンピースからバスローブ姿に変わっていた。


「……なんでバスローブなのかな?」

「これも儀式なのです。古来では聖剣を戻すのを儀式と呼んでいるのですよ。お兄さんは眉唾の嘘っぱちを学ばされていたので知らなくても当然かと思いますが」

「……まぁ、教えにくい事も先生にはあるだろうしね」

「そういう事です」


 とりあえず、説明してほしいのは、なんで装飾品が全部ピンクなのかという事。ついでに言うのなら、妹の部屋には色々アームストロング砲な形をした代物ばかりである。いや、あえてツッコミは入れないでおいている。

 それよりも気になるのは、濡れた桜子の髪の毛だ。先ほど着替えるとは言ってたけど、ついでに風呂に入るとは一体何事なのだろうかと考えてしまう。


「……桜子、風呂に入ったのには理由があるのかな?」

「ええ、汗ばんできたので、少しお風呂に入ってきました。時間を取らせてしまって申し訳ありません」

「いや、もうフェリーの時間もないだろうから仕方ないけどさ……」

「深い意味はありませんので気にしないでください。……それともお兄さんが気にしてしまいますか? いくら妹とはいえ、私も年頃の女子。さすがに緊張してしまいますかね?」


 悪戯っぽく微笑みながら言う桜子。いつも思うんだけど、なんでこの子はこんなに残念なのだろうか。いや、僕も実の妹に手を出そうとか考えてないから、安心してください。


「大丈夫。僕は桜子の事を単なる()としてしか見てないから。興奮なんて微塵もしないから」

「……そうですか。ま、やせ我慢もほどほどにしてくださいね」

「ああ、断言するよ。僕は妹になんか――――」


 そこで、僕はベットに転がされた。

 特別強い力は感じなかったけど、体は簡単にベットへと倒れ込んだ。これが魔法の力なのか? 桜子の姿を確認すると、片手で僕の事を倒したらしい。いや、僕も魔法便利だなとか思い始めていた。

 仰向けに倒された僕に、何故か馬乗りになる桜子。


「……妹になんか? 続きをどうぞ?」

「発情なんてしないっての。僕は健全な男子なんだから」

「そうですか。では、今、寝ているそのベットは誰が毎晩何をしているベットでしょうか?」


 妖しく笑う桜子。

 これだけ変態な桜子さんだ。当然夜は……。そこまで考えて僕は考えるのを途中でやめさせてもらった。この女は誘導尋問が上手いらしい。

 

「……ふふ、お兄さんのエクスカリバー。大きくなってますよ? ヤラシイ事でも考えてたんじゃないですか?」

「……勘弁してくれよ? 冗談だろ?」

「なら触ってみますか? 魔力が今にも爆発しそうですよ?」

「……とりあえず、前置きはいいからサクッと元に戻してくれ」

「釣れませんね……」


 釣られてたまるか! 内心で叫んだ。


「それよりも、私も真実は知りません。最初は痛くて、後はキモチ良いって事くらいしか分からないのです。もし、何か変わった症状があれば、お兄さんから教えてください」

「分かった。なんか変わったらすぐに言うよ。もっとも痛さに耐えれればね」

「はい。では、始めます」


 そう告げると、桜子は馬乗りをやめ、すぐさまベットの縁へと移動した。

 僕の両太ももを開くと、そこに聖剣エクスカリバーをセットする。


「目は閉じていた方が楽かもしれませんよ」

「わかった」


 と、言われて目を閉じてみるが、やはり刃物が自分の股間部分に入るとなると怖いものがある。いや、実際股間は現在女子状態だから、蹴られてもいたくはないのだろう。予想的痛みを考えるのなら、出産的な感じだろうか。

 ……ああ、怖い。っていうか、その予想だと僕死ぬんじゃないだろうか? だってよく男は出産の痛みには耐えられないって……。

 でも、ここは兄として男として、痛みから逃げちゃダメな気がした。

 僕は息を止めて、桜子によって聖剣を突き刺されるのを待つしかないと決意した。


「……では心の準備はいいですか?」

「ああ、任せるよ」

「わかりました。シンドクリアー。小石川 桜子。行きまァ―――――っす!」

「そこでネタを引っ張ってくるなッ! アムロさんに謝れ!」


 と、桜子に思わずツッコミを入れてしまった自分に後悔。股間に思いっきり太い刃物がブスリと刺さっている。経験はしたことないけど、確かに全身を切り裂かれるような痛みはない。

 だが、熱がこみ上げてくるというか、妙に視界がぼやけてくるこれは何なのだろう。

 誰かを求めるような。激しいナニかをしたくなるこの衝動は……一体。

 そこまで考えると、聖剣は光り、徐々に僕の股間へとおさまっていく。

 一応緊張していたのか。桜子も「ふぅ」と一息吐いて安堵しているようだった。

 突き刺された後は、自然と元の勲章に形を変えていく。そして、それはすぐに終わった。だが。


「どうですか? お兄さん?」

「さ、さ……く……らっこ……」


 ダメだ。なんでだろう。桜子がとても魅力的な女性に見えて仕方なかった。いや、実際魅力的だ。サラサラとした桜色のロングヘアーも、ぬいぐるみのように可愛い小顔も、平均的だが形の良さそうな胸も、陶器のような美しい貼艶をした四肢も、健康的な美白も、全てが美しい。

 

 ――――いや、待て! その前に桜子は妹だ! 桜子相手に発情しないと言ったのは僕だぞ!? くそ! 静まれ!


 内心でもう一人の僕と戦い続けてる中、桜子は再び馬乗りになってやってくる。


「……お兄さん?」

「く、来るなっ!」

「え?」

「いいから、桜子はここから出てってくれ! 頼む!」

「そ、そんなぁ……私、そんなに下手でしたか?」

「そ、そういうわけじゃなくて、だな……ッ! なんか、もうヤバいんだ、よっ!」

 

 涙目になる桜子。いいや、これだけキツイ言葉になってるのは原因がある。とりあえず一人になりたい。じゃなければ、今すぐにでも桜子を襲ってしまいそうな危うさがある。

 これは本当にマズイ。理性だけでどうにかできるレベルじゃない。今も、取り戻した僕の聖剣エクスカリバーは、誰かを突き破りたいと叫んでいる。

 僕は拳を握りしめ、桜子の掛布団だと認識しているのだが、それを噛まずにはいられなかった。

 

「……分かりました。痛かったんですね。ごめんなさい。私……、こういう経験なくて……」


 いや、それは誰もないだろう。

 冷静な僕がどこかでツッコんだ。

 けれど、今の僕に、普段の冷静さは残り一割程度。ライフで例えるのなら、あと一撃でも喰らったら死ぬパターンだ。

 そうとは知らずに桜子は、ベットによじ登り、僕の事を抱きしめる。


「や、やめてくれ……」

「怯えないでください。私はあなたの妹ですよ?」


 その顔がトドメの一撃だった。

 ゲームで例えるのなら、必殺技を連続で十回は放たれたかの如く、強烈な攻撃である。

 僕の冷静さは一気に宙に融解し、残ったのは性欲の塊だけとなった。冷静さが吹き飛んで初めて知った。聖剣エクスカリバーの真なる力は、僕が今まで溜め込んできたエロエネルギーなのだ。つまり、僕はずっと悩まされていたわけだけど『立たない』わけではないようだ。

 軽く笑ってしまった。


「お兄さん……?」

 

 気づけば、僕は桜子の華奢な肩を掴んでいた。

 そのまま、マットレスの柔らかさを利用して桜子を押し倒しす。跳ね返る僕と桜子の身体。

 その勢いによって、桜子が羽織っていたバスローブがハラリとはだける。ギリギリ危ない所は見えていない。だが、僕の性欲のコントロールはもう壊れていた。

 桜子の小さな手首を握りしめながら、首筋へと唇を走らせた。


「はんっ……、お、お兄さん……? も、もしかして……」

「……悪い。もう抑えきれない……」

「…………」


 桜子は僕の両手を振りほどいて、僕の両頬に小さな手を添えた。


「いい、ですよ。お兄さん」

「え」

「だって、言ったじゃないですか。私たち、血の繋がりがないんですよ? 紅葉姉さんと私と雪那は血が繋がった正真正銘の姉妹ですけど、お兄さんだけは違います。だから――――私とえっちな事しても、問題はないんですよ」

「桜子……」


 こんな時に言うなんて、ズル過ぎる。

 溢れる野生に僕は、もう身体を任せた。


「……ありがとう桜子。僕は……」

「謝らないでください。お兄さん、私を堪能してくだ……さいっ」


 桜子が瞳を閉じるのを見て、僕も瞳を閉じた。

 お互いの唇を徐々に近づけていく。

 

「何してるのかな? 海君。桜子ちゃん」

「「へ?」」


 突然明るくなった部屋内。

 電気や照明の類は点灯していない。そこで現れたのは、扉を開けた美花の姿である。寝ていたからか、美花の頭には寝癖がついていた。

 僕は背筋に悪寒が走った。さっきの悪い予感ってコレだったんだろうな。

 その時、ちょうど沸いてきた何かが消えていた。僕は理性を取り戻し、野生に任せようとしていた自分を強く恥じた。


「ぼ、僕は、そ、そのー……、なんか変になっちゃって……」

「わ、私はべ、別に正常ですよ?」

「二人とも……。一回説教をしなきゃいけないようね? ねぇええ!?」

「「ひぃ!?」」


 笑った顔をする美花の瞳は笑っていない。

 僕と桜子は、二時間にも及ぶ説教を受けさせられた。


 そんなわけで、時刻は完全に夜中。

 美花に説教をされていたら、時間があっという間に過ぎ……はしなかったな。長い二時間であった。桜子は説教が終了してから、晩御飯の支度をするとか言ってコンビニに逃げた。本当は今日見たい番組とかあったけど、録画しておいたから問題はない。

 どちらかというと、今問題なのは、この状況である。


「ねぇ、海君。さっきまで桜子ちゃんと本当に何してたの?」

「いや、本当に僕の気が動転してただけです」

「そう? じゃあさ、また動転したりとか……しないの?」


 恥じらって言ってくる美花。いや、あれは聖剣を戻したから発生した症状であって、普段は動転したりはしない筈だ。

 僕は首を横に振った。


「ああ、しないな」

「あっそ。つまらないわ」

「悪かったな」

「それで、今夜どうするの?」


 そういえば、夕方に出るフェリーには乗り遅れたわけだし、僕は泊まる所がない。桜子の部屋に泊めてもらうのは……。うん、美花が怖いからできなさそうだ。


「……最悪、野宿。かなぁ」

「それはダメよ! 海君知らないの!?」

「え?」


 美花は僕の手を握って、上目使いで口を開いた。


「ここら辺じゃ、猛女がでるんだよ?」

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