・告白されたと思ったら……のようです。
「好きです! 付き合ってください!」
豪華な宝飾が施された武器、その刃に夕焼けが反射し、茜色の光を放っている。彼女は日本刀よりも一回り大きい剣の柄を握り、まるで獲物を狩るような目つきで僕に向けて言った。
いや、普通にあり得ない。
夕焼け。剣を構えながら、屋上で告白。
シチュエーションとしては変でしかない。いや、異常だ。
この場合、僕が彼女からの告白を断ったら、すぐに剣で切り刻まれるだろう。そんなのを予測するのは極めて簡単だ。
僕は答える。
「それは――――」
「付き合うのが無理と言った場合。私はあなたに、コレを返すつもりはないわよ」
「だ、だけどなー。それは僕の所有物でしょ!?」
「所有物だろうがなんだろうが、首を縦に振るまでは、あなたにエクスカリバーを返すわけにはいかないの! だから、お願い」
「無理なものは無理だ!」
「……どうしても……ダメ?」
「当たり前だ! 僕が……あなたと付き合ったら、大問題だ。あなたの力が……」
「わかってるわ。覚悟はしている。いかなる力を失おうとも、私はあなたの事が好きなの」
震え始める両手。エクスカリバーを使用すれば、彼女の力がなくなってしまう。それは、あまりにも強大過ぎる力を使って生じるものなのだ。
デッドオアライブな告白に、緊張して渇ききった口を開いた。
「……わかった。なら、僕はあなたと付き合う」
返事をしっかりと出した。
だけど、答えを口にした時。僕の胸を何かが貫いた。
溢れる血液。剣や槍などといった近距離系武器の類ではない。背後には誰もいなかった事を考慮すると、僕を殺った道具は拳銃。
振り返りながら、床に落ちる僕の身体。背後には、何もいない。
僕の身体から、鮮血と一緒に金色の弾が零れ落ちる。この魔法科高校には、拳銃なんてなかった筈だ。
そんな事を考えていたら、僕の心臓は鼓動を刻むのを止めた。