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第8話:最強の学生パイロット

第8話:最強の学生パイロット

俺の名は鷲川冬馬(わしかわ とうま)学生航空大佐だ。この大学のこの学部で俺の名を知らない奴はいない。いたらぶん殴ってやる。

そして今指揮官候補生棟に来ている。無論あの人に会う為に。

「石崎閣下!」

「あ、鷲川大佐。お疲れ様です。閣下呼びは僕には似合わないよ」

そう、俺が尊敬するのはこの方、石崎希光大佐ただお一人!

「そんなご謙遜を。閣下のご命令とあらば恒星風の中でも飛んでみせます!」

「まぁ敬称はいいか。あと君は本当にそれが出来るから冗談じゃ済まないんだよね」

そう、俺の最強の戦法はかつては太陽風と呼ばれた、恒星風を電子機器が壊滅的被害受ける現象を味方に付けた事だ。この環境下では電子機器は破損する。同時に恒星風に居る間は全く捕捉されない。これはレーダー波等が電磁波に打ち消されるからだ。

そして俺の率いる学生最高峰航空小隊、通称ゴースト隊はヒューマンチェンジャー技術を用いてほぼ電子機器を使わずに見える星と恒星の位置のみで目標の敵位置に接敵し、奇襲を仕掛ける。もちろん電子機器は恒星風から出れば使えるようになってはいるが、それでも命懸けの奇襲攻撃なのは変わりない。

ゴースト隊のクラスアップ志願者の内三分の一の確率で死亡するまたは適性検査で落ちる。その後の連携訓練や審査で合格者は1割にも満たない。

「石崎閣下!今度演習願えませんか!?」

「君はもう首席でAOA(エースオブエース)なんだろう?演習は必要ないよね?」

「小官は将来、石崎閣下の弾丸と呼ばれるほどの技能と信頼を持ちたいのです!」

「……前から気になってたんだけどなんでそんなに僕が気になるの?」

俺の……いや、小官の思いを伝える時がついに来た!石崎閣下との出会いと奇跡を!!

「それはもちろん、閣下がゴースト隊志願者リストに小官を加えていただき、小官の一滴も無かった自己肯定感を底上げしてくれた事です!」

「僕はただ、君の実力がゴースト隊で通用すると判断したから教授官と教授長に掛け合っただけだよ」

「それだけでも……当時の小官には身に余るご厚意!それ以降この命は貴方に捧げると決めました!」

すると石崎閣下の前にいる雪室中佐が痺れを切らしたようだ。

「石くん、この人なんか変だよ」

「雪室……彼は色々な意味で変かもしれないけど歴代ゴースト隊最強と呼ばれる部隊を率いてるからある程度尊敬しておいた方がいいよ」

「ふーん……鷲川大佐殿、石くんに命を捧げたいなら先に捧げると誓った私にも敬意を向けるべきだと思うのだけれど」

何だこの中佐……だが石崎閣下の彼女さんであるなら……やむを得ない。

「雪室殿、閣下の伴侶として命を捧げる覚悟でお付き合いください」

「いいでしょう。鷲川大佐殿も卒業後も石くんに仕えなさい」

「無論です」

石崎閣下の顔が険しく、僕は困惑の表情を浮かべざるを得なかった。

「あの……2人とも……頑張ってくれるのはいいけど僕を崇拝したりするのはあまり嬉しくないかなぁ……」

「申し訳ございません!石崎閣下!」

するとチャイムが鳴る。素早く鷲川は腕時計を確認して、一言述べてから、駆け足で教育棟に向かう。

「閣下、雪室殿。小官はこれから超重力圏内での機動模擬訓練があるので失礼します!」

「ま、待ってくれ!超重力圏内というと……ブラックホール周辺か?」

「その通りでございます!それではご無礼を!」

俺はダッシュでシミュレータールームに向かい、ゴースト隊専用のカードキーで入る。俺の乗る機体はSuS-35CFスペースフランカーだ。スホーイ社の機体を宇宙戦用に改造した物で、指揮と戦闘に特化したまさに小隊指揮官向けの機体だ。

ゴースト隊メンバーの6名が揃うと教授官が点呼を取り、内容確認を行う。

「今回はブラックホールという超重力圏内での機動作戦及び影響に巻き込まれた際の脱出機動だ。これは本来なら作戦前に回避するのが通例だが、海戦エリアによってはリスクを承知してする可能性がある。そして何よりも恒星風より厄介かつ致死的だ。今回のシミュレーションは実際に乗ってると思え。私からは以上だ、貴官らの実力に期待する」

俺たちは敬礼し、すぐにシミュレーターに乗り込み、イグニッションシーケンスから行い、発艦後十数分で超重力圏内に到達する。機体が大きく、かつ強引に引っ張られ、制御するだけで精一杯だが、それではいずれ飲み込まれる。

ギギギ……機体が軋む音や重力の差による耳鳴りや頭痛までもがこのシミュレーターでは再現されており、それらが冷静な指揮を妨害してくる。

俺はゴースト隊リーダーとして最前列にいるため仲間に機体の動きと光信号を点滅させ、アンチグラビティディフェンスシステム(対重力防御装置)を全員が同時に起動させて、小隊を包み込むように対重力防御圏を作り、素早く、離脱する準備を整える。ここまで来れば逃げやすいが100%ではない。何故ならここから対重力防御圏を均等にかつ、最高効率で維持するには数cm単位での小隊配置が重要だからだ。

今だ、今なら通信が使える。

「各員、30秒以内に超重力圏内から離脱するぞ。オーバーブースト起動!!陣形そのまま!!」

「「「了解!!」」」

統制の取れた小隊のおかげで俺達は宇宙の底と呼ばれた超重力圏内宙域から離脱する。安堵のため息を吐き、ゆっくりと操縦桿から手を離し、小隊員に告げる。

「よくやった。俺達の勝ちだ」

そのままA評価を貰い、俺は昼食後に、午後は休暇という事で戦闘機のゲームで敵機を多数撃ち落とした後に、日誌を書きながら、机の上に置かれた手紙を見る。

「大日本聖国航空宇宙海軍アグレッサー部隊(仮想敵部隊)招集令状……か……石崎閣下がもし、クーデターでもなんでも起こしてくれたら私は貴方に付き添うのに……」

俺の乙女地味た独り言に、気持ち悪さというより恐怖を覚え、ベッドにダイブする。さて、夢の中でも演習するか……そういえば明日は……敬意と弔いの日だったな。俺の脳内に1人の女性が過ぎる。もう、彼女はいない。

こんばんは!お疲れ様です!第8話もお手に取って頂きありがとうございます!

今日も一日お疲れ様でした。自分は仕事が終わるとお風呂に入りたがる癖があります。そして時間が余ればさらに執筆という…こういう生活スタイルをするとたまに2日で4万文字とか1週間で7万文字など書いちゃう時があります。もちろん反動が凄いですが…それでは皆さん、いい夜を

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