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第6話:月姫の二重人格

第6話:月姫の二重人格

お父さんが手配したリムジンに乗り、街中で強い視線を浴びながら、街を一望できる山にある石崎邸に着く。その間も雪室は物珍しそうにリムジンの色々な箇所を眺めたり、僕の昔話を聞いてきた。自分が彼氏として最も彼女を自慢できるポイントの1つが人を飽きさせない所だと脳内メモ帳に書いておいた。

邸宅に着くと宇宙海軍軍令部標準護衛要員の方々が出迎えてくれて、我先にと敬礼し、こちらも返す。雪室も緊張しながらだが敬礼を返し、父の執務室に向かう。

広いロビーに入ると真ん中には地球の頃に作られたと言われる騎士の形をした、宝石と黒色岩で造られた像があり、いくつもの扉と階段がある。

「石くんと結婚したら……働かなくていいのかな……」

「家事と僕の相手はしてね」

二人で顔を見合せ、笑ってしまい、そのまま父の執務室まで何故か結婚してからどうするの話がメインになり、まだ先の話なのに……と思いながらも楽しい思いをした。

「失礼します」

ノックもせずに扉を開ける。父さんのことだ、カメラでどうせ確認済みだろう。

「来たか……久しいな息子よ。そして雪室南」

まだ250歳、旧年齢時期で換算するなら30代の父は仕事のストレスや責任感で白髪に染まっており、少し生えている髭も威厳のあるように整えてある。

「お久しぶりです。お父様」

「いつまで彼女を立たせてるつもりだ。座らせるくらいしたらどうだ?」

僕はすぐに客席に雪室を座らせ、会話という名の鋭い読み合いへと突入する。

「さて、お前が大学の演習で勝利したことは承知済みだ。宇宙海軍軍令部でも話題になっていた。相手側への4門斉射への誘導と砲術長による荷電粒子砲のミリ秒単位のアクティブ防御。恐らくはヒューマン・チェンジャーによる改変者だろう」

「恐れ入ります。お父様」

「雪室君、君には私の息子がどう写ってるかね?」

「え……」

唐突な質問に雪室は困惑しながらも自分なりに答えを見つけだす。その答えを見つけ出すのにさほど時間はかからなかった。

「とても優秀で大切な人とも本気になれる素晴らしい方です」

少し静かな時間が流れ、お父様はコーヒーを飲み出す。

「まさか……あの雪室の娘が私の息子に恋をするとはな……いささか信じ難い気持ちと非科学的ながら運命というものを感じる。よかろう、冬季休暇の間は当邸宅を好きに使うといい」

「ありがとうございますお父様」

「ありがとうございます石崎元帥閣下」

僕達は部屋を後にすると1番会いたくない相手と出会ってしまう。家族なのに1番会いたくないのも変な話ではあるが……

「お兄様!?帰ってきたの!?」

「月姫……今はお兄ちゃんちょっと忙しいから後にしてくれる?」

石崎月姫、僕の妹にして僕と父を超える戦術眼を持つ、軍人としては最高気質で、プラチナゴールドのツインテールにブルーサファイアのような瞳の美しさもあり、お嬢様高校と呼ばれる聖大日本女子軍令部高等学校に通っており、卒業後は聖柩機関の聖卿と言われている国家派閥の一部門に召集がかかっている。

「月姫さん、今回の冬季休暇よろしくお願いいたします!」

「雪室さんですね、こちらこそよろしくお願いいたします。そしてメス猫にお兄様は譲りませんから」

突然のメス猫発言に雪室は戸惑う。それもそうだ、驚くのも無理はない。キチンとしている月姫なら、わざと薬を飲み忘れたのだろう

「雪室すまん。月姫は半分二重人格障害なんだ……許して欲しい」

雪室の眼には明らかな困惑を思わせる表情を見せていたがなんとか理解したようで……

「わ、わかったわ……月姫さん、お兄さんが大好きなんですね」

「は、はい!……また私ったら……すみません、雪室さん……ちょっとお薬飲んできます……」

月姫さんは駆け足で自室へと戻る。そのまま静かに二人で長い廊下を進むと指紋認証とパスコードで扉が開く。

ガチャという静かな音だが石くんの用心深さが伺える。

彼にはなにか計画か、それとも隠したいものがあるのだろうか。私はそんな邪推をしながら、彼の部屋に入る。

「ようこそ僕の部屋へ。割と広い部屋だと思うからゆっくりしてね。パソコンとかは触らないで貰えると助かる」

床はダークブラウンやホワイトブラウンの石材でできており、プレジデントデスクを超えるエンペラーデスクの上には6枚のモニターと1台のサーバークラスのデスクトップパソコン、反対側にはライフルが何丁も飾っており、観葉植物とお酒のラックとの相性もバツグン。とても部屋のデザインにこだわっているのが分かる。

「デスクトップのパソコンの奥の部屋にキングサイズのベッドが2つあるから後で好きな方使って」

「あ、ありがとう……本当に大金持ちだね……」

「まぁ、僕の良いところってそれくらいしかないから……」

すると雪室は自分の頭をポンと叩き、抱きついてくる。

「そんな事ない!石崎君は優しくて、平和を愛する軍人として本来の鑑でもあるし、私の大切な恋人だから……だからそんな風に自分を蔑まないで!」

雪室の強い発言に僕は固まりながらも「お、おう……」と言うしか無かった。でもこんなに本気な告白は僕の心に雷が落ちたような衝撃でもあった。そして僕の宇宙統一平和艦隊、ピースオブフリートの話をしようか悩む。雪室を信用してないわけではないがやってる事は宇宙規模のクーデターだ。……それに彼女を失うのが辛い。

初めて予約投稿での投稿です!何か不備とかあったらすみません!そしてお手に取っていただきありがとうございます!妹の名前を考えていた時に今後のストーリーの発展性を考えて月姫と名付けました。型月作品の月姫とはなんの関係もございません。

月曜日という週初め、これから仕事かぁ……という方も多いと思いますが少しでもこの作品で日々が彩られてくれたら嬉しいです

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