エピローグ 黒き罪と聖柩機関
エピローグ 黒き罪と聖柩機関
ドイツ連邦星間帝国 エルセリード国家保安警察長官官邸にて
綺麗な欧州庭園を持ち、5000坪6階建て地下3階建ての桁外れの大豪邸の廊下に7名の黒い軍服にプラチナブルーの翼と黒い逆十字架を合わせた勲章を持つ男女が、この国の10億殺しと呼ばれた殺戮長官のあだ名の執務室へと向かっていた。
コンコンコン
「入ってもらって構わない」
「失礼します。お呼びでしょうか、エルセリード閣下」
エルセリードはパソコンの電源を落とし、メイドにコーヒーを淹れさせる。
「まあまあ座りたまえ。他の6名も楽にしてもらって結構」
不気味なほど落ち着いてるエルセリード長官の傍付きメイドは正直手が震えるのを抑えるのに必死だった。怖い。エルセリードという人間も怖いがこの7名の男女も明らかに雰囲気が普通の人間と違う。まるで……神話を体現したかのように……
「さて、君達を招集したのは他でもない。我々ドイツ連邦星間帝国と大アメリカ星間連邦の国境線で軍事衝突寸前なのは知ってるね?」
7名の中で最も身長の高い男が答える。
「はい、存じ上げております」
「そこでだ、君達には反乱勢力を潰してもらいたい」
「例の希望の星の勢力でしょうか?」
エルセリード長官は首を横に振ると同時に人差し指を口の前で横に振る。
「君達みたいな人間とは呼べないくらい強い人間にそんな雑魚は任せないよ。君たちに任せるのは大アメリカ星間連邦のホワイトキャッスル周辺の防空施設の破壊と秩序の混乱。つまりサボタージュ(破壊工作)と浸透強襲だ。出来るだろ?」
7名の男女は顔を見合せ、頷く。
「作戦開始は問題ありません。しかし、ホワイトキャッスルの首都星は簡単には侵攻できないのも事実。何しろ多層の艦隊防御と宇宙機雷があります。我々の二足歩行兵器ノブレス・レーヴェンでも近付けるかどうか……」
エルセリードはクスクスと笑いながら、書類を置く。
リーダー格の男性は拝見します。と言い見るとそこには物理学がねじ曲がってしまう様な内容が書かれていた。
「超光速物資突撃輸送機……」
「光速の100倍まで速力が出せる。しかも物理的なダメージは原子断縮によってシールド化される。多分荷電粒子砲も通さないだろう」
すると黒い軍服の女性が声をかける。
「長官、つまり我々に新兵器の実験台になれと?」
「いや、もう30回試して、ほぼ100%成功する見込みまできた。その間に20回ほど人間と機械がプラズマ化したがね」
恐ろしい発言をしているのに彼は笑っていた。だが我々も同じく殺戮の執行者とも呼ばれる事もあるらしい。これでも私は乙女なのだぞ。
「それでは命令を下そう。総統元帥には許可は貰っている。『シュヴァルツ・オブ・ギルティ(黒き罪)』よ。人類最初の基礎寿命2000年の奇跡と罪の者たちよ。資本主義の愚かさを教えてやれ」
その発言を聞いたメイドさんは、思わずコーヒーカップを落としてしまった。
「も、申し訳ございません!」
「あーあお気に入りだったのに……まぁいいよ。君はよく働いてくれてる」
エルセリード長官がこんなに優しいなんてやはり不気味だ。もはや心拍が止まっているとすら感じる。
「承知しました。我々シュヴァルツ・オブ・ギルティは作戦準備に入ります。システムの調整等で2週間ください」
エルセリード長官は「いいよー早めにやっておいてねー」とだけ言う。そして我々男女7名は頭を下げて、退室する。
「サーゼルク准将、本気で挑むのですか?」
別の軍服の女性が声をかける。
「無論だ。我々軍人ではなく、帝国の執行官だ。軍の命令ではなく、国家保安警察の命令なら話は別だ。我々は7騎で戦う以上共闘を忘れるな」
「「「はっ」」」
黒い軍服のマントをなびかせながら、彼らは最先端の軍事施設行きの秘密車両団に乗った。これが覇権戦争の泥沼化を引き寄せるとも知らずに。
その頃大日本聖国 聖光殿国防内閣議長室では
太平凄乃皇国防内閣議長はある恐ろしい知らせを諜報部から受けていた。
「黒き罪が動いた……だと……?」
電話の相手は長年信頼し、ドイツ連邦星間帝国の政府中枢まで潜り込めるエリートスパイにして、親友だ。
「わかった、こちらも聖棺機関を動かす。既に聖卿達には集まってもらっている。彼らの連携こそ聖棺機関の持つ大日本聖国を守る護国艦の力となる」
周りからの聖卿達の視線が熱い。彼らは本気で覇権戦争に挑むのだと覚悟したようだ。
「国防内閣議長より下命する。聖棺機関に納められし、エストワールメタル砲弾の使用を許可する。これで全ての装甲を貫けるはずだ……」
そう言って、受話器を下ろす。
「聖卿諸君、ルビコンは超えた。荷電粒子砲ですら溶けないエストワールメタル砲弾を存分に使い、覇権を獲得せよ」
もはや、我の心に平和などという言葉は無かった。学生反乱艦隊のピースオブフリートや希望の星などどうでもいい。今は四大列強との覇権戦争に勝つか負けるかだ。
エピローグ終
エピローグご拝読ありがとうございます!第1巻出し切りました!皆様の熱い応援のおかげです!本当にありがとうございます!元々宇宙戦艦ヤマトの影響を受けて、見切り発車で書いた作品でしたがいかがでしょうか?現代艦や現代戦闘機が宇宙を飛び回る…そんなロマンから書いた作品でもあります。今後は異世界作品の睡眠勇者を応募し続けるので、黒井の作品に興味を持った方はよろしければそちらも覗いてくれたら嬉しいです。そしてここまで呼んでくださった方々に格別な感謝を申し上げます。本当にありがとうございました!




