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第49話:多くの死

第49話:多くの死

エースフレイム艦隊との戦闘で、艦艇10隻、航空宇宙戦闘機80機……計1080名を失った我々は沈黙の御殿を作り、全員で合掌していた。

偶然にも学生側に仏教に詳しい仲間がいた為彼が木魚を叩きながら、祈りを捧げ、黙祷をする。

その後の戦勝会は決して賑やかではなく、静かに勝利を噛み締めながら亡くなった学友を追悼する会だった。

そして僕、石崎希光が乾杯の音頭というより、献杯の言葉を述べる事となった。

「皆、まずはここに居ない者たちが最も努力し、旅立っていった事を理解して欲しい。三河級駆逐艦4隻400名、月神級軽空母2隻300名、神弓級対空戦艦4隻300名、航空宇宙戦闘機パイロット80名。彼らの生きた証をここに碌する。では、彼らの冥福を祝って……献杯」

「「「献杯」」」

泣いてる学生も少なくなかった。父さんの連れてきた部下も200名ほど亡くなっており、そんな歴戦の戦士ですら涙を零していた。

僕はそんな状況から逃げるようにテラスへと向かう。外はまだ開拓の余地が大幅にある赤い大地が広がっていた。お父さんが連れてきた学者によるとレアメタルや鉄分が豊富なため土を再利用する計画も進めている。

僕は赤ワインが入ったグラスを持っていると雪室と父さんが勝手につけた護衛の黒装束の黒神達4名が来ていた。

「雪室……僕は仲間を死なせすぎてしまったよ……」

「そうね……石君だけじゃなくて幹部全員の責任というのもあるよね。だから一人で悩まないで。貴方は立派に長官としての役目を果たした。今はそれでいいんだよ」

「ダメなんだ……仲間は死なせたくなかった……」

雪室が静かに抱きしめてくれる。

「それは平和でも戦略でも無くて、ただの理想論だよ。戦闘には必ず勝者と敗者が生まれる。そして勝者も完璧な勝利なんてほぼ有り得ない。だからこれから成長しながら仲間の死を少しでも減らしましょ?」

「あ、あぁ……ありがとう雪室」

雪室の頭を軽く撫でると喜んでくれた。

「実はね、エースフレイムの機動空母艦隊を襲撃していたジークファイター隊に敵の旗艦を狙うように指示したのは私なの。つまりは作戦は成功よ」

「首席の僕を超えているね。僕はあの戦場で雪室や仲間の意見しか聞けなかった。自分で戦略を立てれなかった……まだ司令長官として未熟だ」

雪室がため息を吐きながら、僕の瞳をじっと見つめる。

「私の人生の司令長官なんだから、ちゃんと気張って!ほら、赤ワイン量も少ないんだから覚悟の一気飲みして!」

「お、お、わかった」

ゴクッゴクッと飲むと、自然と心が落ち着き、先程までの不安や否定感が少し和らぐ。

「どう?元気出た?」

「あぁ、なんとかね」

そして雪室は背中を向けて寂しそうに語り出す。

「実はね、石崎君のお父さんから聞いたんだ……私のお父さん、月姫ちゃんに殺されちゃったって……でもね不思議と憎むよりも月姫ちゃんとしっかり話し合って石崎君と結婚できる方が幸せな気がするの……もちろん大好きなお父さんだったけど……気の迷いなのかな……」

月姫がそんな事を……僕はいずれ妹にも銃を向ける日が来るかもしれないと、考えてしまった。でも今だけは雪室の事を考えていたい……

「雪室艦長、これからも白桜級艦長と希望の星司令長官としてだけでなく……恋人としてもよろしく頼む」

「はい!石崎君!」

そのまま戦勝会に戻り、泣いてる仲間と話しながら悲しみを分かちあった。これも司令長官としての使命。部下は駒ではなく、生きている人間なのだから。

その頃聖卿家の一派空波家公邸では

「エースフレイムが私のお兄ちゃんを倒せるわけないじゃん。お兄ちゃんの人望と戦略を甘く見ちゃダメだよ〜」

私は誰もいない静かな、お姫様の自室のような天蓋付きベットなどが置いてる部屋でニュースを見ていた。

「あとそろそろ覇権戦争始まるかなぁ……そうなるとお兄ちゃん達に列強共は見向きもしなくなるはず。そして追い詰められた国家は戦力提供を要請する……と私は予想する。そうでしょ?ドアの外にいる嶺二様」

ドアがガチャと開くと結婚相手の空波嶺二がいた。真の結婚希望相手はお兄様だが空波家の力を存分に使わせてもらうつもりだ。

「いや〜まさか気が付かれるとは……まぁ、月姫ちゃんの予想通りに動くと思うよ」

「隠れんぼするなら、まずは鬼から離れる。鉄則ですよ」

「それもそうだねぇ。それでエースフレイム艦隊が壊滅したのは事実なのかい?」

「えぇ、まぁ。お兄様に勝てるわけないじゃない」

そこで嶺二は1つの違和感を覚える。

「月姫ちゃんってお兄ちゃんとお兄様で呼び方変わるよね。何か理由があるの?」

「ふふっ。私は二重人格ですもの、そのうち一人称や嶺二様呼び方も変わりますわ」

「まぁ、それでよければいいよ。そういえば聖卿家各家が忙しいみたいだけど心当たりはある?」

彼女は少し考えると、金庫からスマートフォンを取り出したかと思えば少し触ると答えが出たようだ。

「聖棺機関の招集みたいですよ、嶺二様」

「なるほど。天皇家も本気みたいだね。ところでそのスマホは?」

「乙女のひみつ道具ですよ」

全く、自分の嫁ながら恐ろしい相手だ。

「他には何が入ってるか聞いてもいいかい?」

「ふふっ、聖光殿の爆破スイッチとかですよ」

月姫嬢……君という人間は一体どこまでが本当なのか……聖光殿が爆破されたら大日本聖国の統制機能は失われる。君はお兄様にどこまで捧げる気なんだ……

「悪いけど聞かなかったことにしてもらうよ」

「私もその方が助かります。そうだ、せっかくですしかつてのご学友を呼んでお茶会を開いてもいいですか?嶺二様も友達に紹介したいですから」

話の変わり方がただの変わり方じゃないのは明々白々。彼女は……月姫は……深淵の腹を持った怪物だ……

こんにちは!黒井冥斗です!ご拝読頂きありがとうございます!宇宙戦艦ヤマトREBEL3199第5章とても面白かったです!REBEL3199シリーズは本編は見た事はありませんでしたが事前予告等で多少知識を補っただけでも大変見応えがある内容でした!

それでは、皆様も良い週末のお昼をお過ごしください!夕方にも投稿するのでお楽しみに!

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