第4話:冬季休暇前演習後編
第4話:冬季休暇前演習後編
天正の中では混乱の声が響く中で、重巡洋艦の水牙級が天正の盾になるように布陣する。
「こちら美山だ。水牙艦長、盾になるなど許可していないぞ!」
「長官、これが最善策かと。敵は既に当艦に46cm荷電粒子砲を照準し直しております。今ならカウンターが可能かと」
冷静に艦長と長官のやり取りを見ていた私は天正艦長として、そして雪室中佐として、意見を申し上げる。
「長官、既に我々は危機的状況です。もはや誰かが犠牲にならなければいけない領域です」
「……わかった。水牙艦長及び艦員に敬礼!」
ビシっ!と天正の艦橋内の全員がホログラムモニターに敬礼する。
そして10数秒後モニター上で水牙の撃破判定が下され、即座にワープで戦域を離脱する。
私はこの間にも作戦を考えていた。敵艦隊御影との宇宙距離は30程度。今なら……!!私は長官に作戦を伝える。
「それしかないわね……全艦最大速力で天正を中心に左方向に全速航行!!主砲は御影のみを狙って!!」
駆逐艦4隻と戦闘機隊20機、天正による大規模反攻作戦が下命された。駆逐艦がミサイルとECMを仕掛けてる間に戦闘機隊が囮になり、当艦は御影に特別攻撃を仕掛ける。
敵の主力艦隊は未だに重巡洋艦が2隻あるため、それらを撃破するには駆逐艦仲間を信じる他ない。
これが私の考えた作戦だ。
「戦闘機隊!敵軽空母に空爆を開始!短距離ワープで戻ってきても補給は不可能と思われます!」
「こちらレーダー要員!敵もECMを仕掛けてきました!」
艦橋内のCIC(戦闘指揮所)は次々と報告が上がってきて、4年生成績3位の学生が素早くレポートでまとめる。
「今しかない……!!天正の全主砲を御影の艦橋に照準!!」
「砲術長了解!!」
その頃御影内では……
「我々の作戦が裏目に出たようですね」
僕のその発言に長官は怒りや混乱は見えず、ただ冷静に淡々と答える。
「だな。確か佐藤大尉と言ったか。君の砲術長としての腕を見せてくれ」
「長官の頼みなら喜んで!」
御影は艦橋の下の階層に操縦室とCICを合わせた統合作戦室と呼ばれる部屋があり、そこに僕達がおり、佐藤大尉が46cm荷電粒子砲を2基、天正に向けるが……
「向こうは我が鑑に対して水平、そして前後2基の計4基による連続砲撃が可能か……」
互いの荷電粒子砲のエネルギーチャージ音が響く中で統合作戦室に重砲警戒アラートが鳴り響く。
「佐藤!構うな!!とにかく撃て!!」
「……照準よし。撃ち方用意!即座に撃て!!」
4基の荷電粒子砲の砲撃と我が艦の2基の荷電粒子砲の砲撃がぶつかり合い、激しい爆発音と揺れが起こり、再装填まで時間がかかる。だがそれこそ我らが艦の狙いだった。
「御影、全速回頭!!後方2基でとどめだ!!」
「撃ち方用意!!……艦長指示を」
普段の佐藤からは想像できないくらい落ち着いた冷静な指示の仰ぎが来る。
「撃て」
再び艦艇が揺れるほどの砲撃が行われる。もはや、天正では防ぐ手段がない。
その頃天正のCICでは……
「くっ……ここまでか……流石だわ。山本首席……絶対に恋の戦争では勝ってやるわ……」
「長官……申し訳ございません……私の判断ミスです……2基に留めておけば……」
私の謝罪に長官は笑顔で答える。
「これで実戦のための勉強になったでしょ?さぁ、帰ったら久しぶりに温泉惑星にでも行こうかしらね」
そして窓が真っ白になり、警報も止まり、撃破判定が下りる。あぁ、私石くんに負けちゃったなぁ……
その後の各陣営の最優勝賞に雪室南中佐と石崎希光大佐がそれぞれの長官に表彰され、優秀賞は佐藤が受けた。
そして待ちに待った冬季休暇に僕は長年夢見てた、全ての星間国家の平和化の為のクーデター作戦……宇宙平和統一作戦の準備に入った。
第4話もお手にとって頂きありがとうございます!
先程から緊張しており、胃がキリキリしておりますがなんとか投稿完了出来そうです笑
さて、そんな緊張しやすく、胃が弱い黒井冥斗ですがSF作品はこれが初めてです!宇宙戦艦ヤマトにハマった時に唐突に書き出した作品なんですよね。前回の後書きでもお話した御影のプラモデルも実は最初は宇宙戦艦ヤマトのプラモデルを買いに行こうとしたら売り切れで史実艦を買った結果、史実艦をベースに宇宙戦闘するの面白いんじゃない?と思ったきっかけもあったりします。さて、次で一旦お昼の投稿が終わるので、お仕事やご学業などご自愛しながらやり遂げてください!




