第40話:グラン・ステイラルカートリッジ弾と多層偏向重力防御の開発
第40話:グラン・ステイラルカートリッジ弾と多層偏向重力防御の開発
先ほどの言葉の刃物で、心がボロボロの中で長官執務室に入ると、来賓用の広い2つのソファとガラステーブルがあり、ソファに向かい合うようにセルヴァート教授とお父様座って、ガラステーブルには山ほどの酒があった。
「来たか、息子よ。まぁ、座れ」
「はい、お父様」
「私はもう、お前のお父さん失格だ。剣示元帥と呼んでくれ。石崎希光長官」
一瞬寂しさが訪れたが、そのせいか言葉の刃物が抜けたような感じがした。僕はやはり、冷たくされるのが好きなのだろうか……その方が冷静に作戦指揮を行えるのだろうか……
僕は席に座ると、酔っ払い美少女お姉さんのセルヴァート教授は既にウィスキー瓶を3本平らげたようで、ソファで横になっている。
「元帥、セルヴァート教授は生きてますよね?」
「多分な」
するとパチリと目を覚まし、あくびをしながら、背伸びをして起き上がる。
「ん?私はバリバリ生きているよ。春川ちゃんに肝臓を大幅強化してもらったからね。スピリタスボトル6杯いけるよ」
もうこの人酔っ払ってるんじゃないかと思いながら、地獄の三者面談が始まる。
「早速だけど長官君、元帥君が伝えたい事があるそうだよ。その間私はまたお酒飲むから」
半分呆れつつ、かつて父親、今では部下の声に耳を傾ける。
「伝えたいことは2つ。まず、雪室艦長の父親がお前の妹に殺された。そして妹は空波家と手を組み、大日本聖国の属星国家を作ろうとしている」
月姫が……雪室の父さんを!?そして、属星作りまで!?
「正直な話、私も誰を信用すればいいか分からない。だが希光、お前に平和を説いたのは私だ。使い捨て任務でも喜んで参加しよう」
僕は首を横に振り、かつての父の手を握る。
「元帥閣下は有能です。使い捨てにはしません。僕からも1つ問いをいいですか?」
「なんでしょうか?」
僕は視線を、ソファに座りながらもう何本目か数えるのを諦めるほどの飲酒美少女に向ける。
「セルヴァート教授と何をお話になっていましたか?」
剣示元帥はグラスに入ったカクテルを軽く飲んでから答える。
「セルヴァート教授とは月乃三笠の改修案について相談してもらった。この世界にある未知のエネルギー、それは長官も知ってのことだと思います。それを機関化出来ないかの相談がメインですね」
セルヴァート教授が再びお酒を飲もうとしたが、僕の顔を見て、グラスを差し出す。
「先ほどの演説は実に心理学的にリーダーが自分の過ちを認め、部下を信頼し直す。ある意味では優秀な演説だ。そしてその涙を早く乾かせてくれるのがこのお酒。カミカゼピーチだ」
年齢によるアルコール制限が無いとはいえ、正直気が引けるが……
少し口に含んだ瞬間、桃の味と香りが広がり、一瞬美味しいと思い、飲み下すと喉が焼けるような感覚になる。
「ゲホッ!ゲホッ!これ度数何パーセントですか!?」
「40」
この教授はまだお酒に慣れてない人間に度数40%のお酒を飲ますほどバカなのか、イタズラ心が強い人のようだ。
「さてと、先ほど鷲川君に調査に行ってもらったよ。既に四大列強の一部は把握済みのようで……名前はグラン・ステイラル。旧フランス語と科学に詳しい人ならその脅威さが分かるだろう。この素粒子にはある特性があってね、電子と陽子などを少し変えるだけであらゆる素粒子へと変貌する。重力の素粒子、力を伝える素粒子、物質を構成する素粒子……いや〜面白いね。私くらい優秀な人間が持たないと危ないし、価値も分からないよ」
鷲川を殺す気か?あの白桜級でさえ、危うく、飲み込まれそうになったのに……!自分は席を立ち、セルヴァート教授を睨みつけ、拳銃を引き抜く準備をする。僕にとって鷲川は最も信頼できる後輩だ。そこの天才だけが取り柄の美少女学者とは話が違う。
「おいおい〜、この私が君の大切な部下を使い捨てにするわけないだろう?きちんと安全圏からの採集に向かわせた。まぁハズレかもしれないけどね」
「あなたの計算ミスで死んだらいくら恩人でもタダでは済ませませんよ」
セルヴァート教授は「私が計算ミスしたのは酒の量くらいだ」と言いながら再び、飲み始める。
僕は執務室の机に座り、鷲川の動きを確認するようにパソコンに入力する。
宇宙海図を見るとどうやら、もう帰還ルートに入っていた。
「セルヴァート教授、もう僕の仲間に無茶をさせないでください」
「うん、分かってるよ〜、剣示君ももっと飲め飲めよ〜」
「私はワインの方が好みだ。ちなみに長官は家ではチューハイしかほとんど飲まなかったぞ」
僕はため息をつきながらもこの扱いづらい元父親と天才科学者の扱いに悩む。
そんな悩みを抱いてる最中に僕が常に耳に付けている片耳の通信機に鷲川から機密連絡コールが鳴ると同時に、通話が始まる。
「石崎長官!素粒子サンプル獲得成功です!と言ってもセルヴァートさんが言う量2個分ですが……」
「いや、それで構わない。生きて帰ってこい。君は最強クラスのパイロットなんだから」
「長官っ!なんと嬉しいお言葉!この鷲川、なんとしても帰還して見せますよ!それでは、また後ほど!」
セルヴァート教授にも伝わっていたようでニヤニヤしながら、お酒を飲む。
「セルヴァート教授、2個分とは一体なんですか?」
セルヴァート教授はグラスを置いて、とんでもない事を口走る。
「グラン・ステイラルカートリッジ弾と多層偏向重力防御壁の研究さ」
これから先僕たちは四大列強並びに大規模な宇宙海賊や傭兵から死ぬほど狙われるだろう。そう思うと、疲れとイライラが同時に来て、隣の寝室に向かう。
「もう飲まないのかい?」
「悪いですけどそういう気分ではないので」
寝室のドアを開けた途端部屋の四隅に黒装束の人間が4人立っていた。
「黒神!?」
僕が拳銃を引き抜こうとしても彼らは動かず、元帥が説明に入る。
「長官、勝手なビジネス契約をして申し訳ないのですがこの星で黒神の育成拠点を作らせていただきました。元父親とはいえ、勝手な真似をお許しください。そしてその4名は長官の直衛です」
僕は手を下ろし、黒神達に頭を下げる。
「直衛任務よろしくお願いします!あと基本的に部屋の外に居てください」
するとリーダーと思われる黒神が前に立ち、膝まづいて、「命令、承知致しました」と言い、4人はドアのすぐ手前で待機する。
僕はベッドに横になりながら、今後の作戦計画を練る。これから四大列強や巨大な宇宙海賊などとの戦いは少ない犠牲で済みそうにないかもしれないな……
こんにちは!黒井冥斗です!休みのお昼からお手に取っていただきありがとうございます!
今日はバレンタインですね…学生時代は義理なら貰った事がありましたが、今は義理すらないですね…
そんな自分へのバレンタインは執筆という名のご褒美です。書くのは楽しいですが疲れますね…
さて、バレンタインですがここに来てくれた読者様に感謝します!これからもよろしくお願いいたします!それでは!良い休日を!




