第39話司令長官としての重み
第39話司令長官としての重み
白桜級が味方になって、希望の星へと着き始めた頃に蒼空代理司令から通信が入った。
「こちら石崎長官だ」
「貴方の父上が味方になりたいと……どうされますか?」
僕は一瞬耳を疑いもう一度問うが答えは変わらず。
「父さんの土産は?」
「今リストを送ります」
届いたのは月乃三笠を旗艦とした、聖国の主力艦隊の1つだった。68隻の主力艦と超重々戦艦は圧倒的な心の強さと艦隊の強さだった。
すると山本参謀長が、声をかけてくる。
「長官、希望の星の西部大陸周辺に例の大日本聖国の艦隊が停泊しております……」
「報告感謝する。ところで情報通の蒼空代理に聞きたい。この惑星の近くの恒星で謎のエネルギーがあると聞いた。何か知らないか?」
数分の沈黙の後に彼女は答える。
「……実は私の姉上もドイツ連邦星間帝国からこっちに来て、当初の目的がその未知のエネルギーの調査だったとのこと。それと……大アメリカ星間連邦国家の大手メディアセントラルニュースによるとアメリカは第2次戦備体制を敷き、各国も追従しているとのこと……」
僕はその避けたかったニュースを聞き、ため息を漏らす。
「ありがとう、報告してくれて。少し休むといい」
彼女は感謝します。と言って通信を切る。
「山本……首席」
「その呼び方はもう古いですよ。ですがそれでも呼ぶということは……何かお頼みですか?」
僕は静かに頷きながら答える。
「白桜級改装案も検討しよう。今でも十分に各国の超重々戦艦と引けを取らないが大アメリカが動いたということはさらに巨大な艦が出来てもおかしくない。現在の対空兵装の要の100cm六連装防空機関砲左右一基では足りなくなるかもしれない……」
「承知致しました。首席としてのコネも使いながら白桜級の改装計画を立てます」
僕は、ありがとう。とだけ返すと突然警報が鳴り響く。
統合作戦司令室に何事かと尋ねると恐ろしい返事が帰ってきた。
「近くの恒星に強力な重力反応あり!ブラックホールほどではありませんが艦隊が進路を逸れています!」
僕はすぐに考えた。ブラックホールほどでは無いが強い重力。エネルギーの塊なら一旦壊してやって、力を分散させようと。
「砲術長へ通達!目標恒星に向かって白桜級による全砲門攻撃!弾種対消滅弾!」
「了解!各砲術要員!1分以内に済ませろ!」
その頃、砲術室では……
「ターゲット、宇宙距離でおよそ4.6!宇宙共通方位90°!全砲門の装填を確認!」
私は初めての宇宙戦艦の砲術任務を説明書を確認しながら、素早く行う。推定破壊距離や対消滅による宇宙線の被害想定など。
「最終確認!発射、用意良し!」
砲術長の俺が叫ぶ。これは白桜級に与えられた最初の試練だと考え、乗り越えなければ四大列強との戦いなんて夢のまた夢だ。
「発射!」
ドンッ!ドンッ!と鈍い砲撃音が鳴り響き、砲弾管制室のモニターに目を移すと、重力によって近づく度に指数関数的に砲弾の速度が上がり、恒星に命中すると同時に、眩い光と衝撃波が襲い、コーヒーカップが床に落ちる。
「こちら統合作戦司令室!重力反応3割まで低減!脱出できます!」
艦内全員が喜び、船が再び元の方向へ動き出す。
これは僕も船員達に感謝しないとな……
「総員よくやった!だが、帰るまでが遠足だ。気を抜くなよ!」
無線越しでは無いが、船内各所から「了解っ!」と頼もしい返事が聞こえる。
その後は無事にフィシュテルに着き、白桜級に驚かれていたが、僕はまず、新しく入ったお父さんや全学生達に謝ればならない。
全員をモニター前に座ってもらい、僕は深呼吸してから罪を唱える。
「僕、石崎希光は部下の言う合理的な発言より、欲望を優先してしまった。その結果70名の尊い同志の命が失われた。僕が……僕が欲望に負けてなければ……」
思わず泣いてしまい、亡くなった数々の部下の顔が過ぎる。その時だった。
放送室がドアが開けられ、現れたのは……ゴースト隊隊長の鷲川だった。
カメラの前に彼が映ると彼は机を叩く。
「皆ぁ!よく聞け!我らが長官は確かに欲に負けて、多くの仲間を死なせてしまった。だけどよぉ、それは俺達の事を思ってのことだろ?ならば、俺達が今度は長官に非合理的な判断をさせないように頑張る時じゃねぇのか?長官のクーデター時の発言を忘れたとは言わせねぇ。総員の覚悟と努力を長官に示せ!これ以上仲間が死なないようにな!ご清聴ありがとう!」
鷲川には助けられてばっかりだな……彼がここまで土台を作ってくれた、あとは僕がそこに金字塔と言うにはあまりにも穢れてはいるが磨けば金色になる塔を建てるだけだ。
「鷲川隊長、感謝する。皆がクーデターに乗ってくれた時に僕は嬉しかった、同時に強い責任と恐怖を感じた。だからこそ、だからこそ、そんな気持ちに負けない……いや、跳ね返すくらい仲間を信じ、宇宙の平和を実現する!総員、70名の犠牲に敬礼!」
1分間の敬礼の後に、僕は最後の締めくくりを行う。
「総員、よく聞いてくれた。今は整備班は忙しいと思うがそれが以外の者はゆっくりと英気を養って欲しい。以上だ」
放送室から出ると山本参謀長と雪室が立っていた。
「恐れ入ります。司令長官。鷲川君の介入無しでいけたら100点満点でしたけどね」
「石崎君の覚悟が伝わったよ。もう一度言わせて、もう二度と石崎君に失敗の選択肢は与えない」
「ありがとう2人とも。ところで鷲川を見なかったか?」
すると2人は顔を合わせてから答える。
「それが、突然戦闘機に乗って、先ほどの重力恒星方面の調査に向かいました」
「そうそう、私もびっくりしたよ。危ないから止めなさいと言ったけど聞かなくて……」
「彼の事だ。きっと無事に帰ってくるだろう。僕はお父様に会ってくるよ」
「「はっ!」」
静かな廊下を歩き、窓から見える開拓地を眺めながら歩くと、時折「長官お見事な演説です!」や「長官お疲れ様です!」など激励の言葉が聞こえるが、正直刃物に思えた。僕は無能なんだ……無能なのに責任の無い平和を掲げて、クーデターを起こした。
これはある意味罰かもしれない。
こんばんは!黒井冥斗です!皆様の応援のおかげで、完成してるとはいえ明日から40話目に到達できたことを心より感謝を申し上げます!本当にありがとうございます!
最近黒井家では体調不良者が日替わり状態なので皆さんもお身体は十分に労わってください。ちなみに黒井の出番はまだ来てませんね。でも油断せずにスマホから水筒まで消毒は欠かしません。もし体調が気になる方がいらっしゃいましたら、土日を体を暖かくして、ゆっくりと過ごすのもアリだと思います。その際はぜひ時間潰しに黒井の作品を読んでくださると嬉しいです!
それでは、皆様明日から始まる週末を楽しみましょう!いい夜を!




