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第37話:ホワイトキャッスルに漂う黒い影

第37話:ホワイトキャッスルに漂う黒い影

暖かな色が深夜のホワイトキャッスル最高顧問会議室を照らし出す。

航空宇宙海軍最高司令官、航空宇宙艦隊作戦最高司令官、星間国家中央情報局長、大統領安全保障担当官、四大列強安全保障担当官、そして私シリウス艦隊司令官と……この人物がいるということはと察せざるを得ない人物がいた。国家侵略軍事作戦参謀総長……表向きには国家安全保障担当官副補佐官だが実の所は、大アメリカ星間連邦国家が惑星の侵略と言うと独占的・好戦的と思われるかもしれないが、全くもってその通りなのである。

「大統領閣下ご到着まであと20分ほどです」

大統領安全保障担当官がその事を告げる。

静かな時間が胃をキリキリと締め上げる。このメンバーが揃ったということはほぼ間違いなく戦争が始まる。学生艦隊や反乱勢力の排除だけならこれほどの大物軍政部の人間はいらない。覇権戦争というのは間違いないらしいな。

私は眠気覚ましにコーヒーを飲みながら、静かに配られた会議資料に目を通す。

会議室に起きた静かな雷はほぼ同時だった。王立大英帝国ブリテンロイヤルと同盟を結び、ドイツ連邦星間国家帝国を仮想敵国として半年後に攻撃するというものだった。

攻撃理由は単純明快、軍事バランス崩壊の技術獲得が見込まれ、半年間の交渉に失敗したらというものだ。上の人間……と言うよりは大統領は余程ドイツ連邦星間国家帝国を恐れているらしい。

ただこの会議室には1人実情を絶対に把握している人物がいる。星間国家中央情報局長だ。彼ならデジタルからアナログまで様々な軍事機密から政治機密、そして他国の機密も盗み出したり、閲覧できる。それが彼の持つエージェント達のおかげであるが、彼がお礼の言葉を述べたことは見た事がない。

そのまま書類を読んでいると、国内のブラックリストに春川芽依三大賢者の名があった。星の未来を託したこの雰囲気はとても筆舌に尽くし難いほど絶望的だった。敗北ではなく、開戦への絶望に担当官や局長達も思わず顔を歪める。

その時、扉がノックされ、最先任最上級航空宇宙士官が「大統領が参られました!」と言い放つと我々はすぐに立ち上がり、軍人らしい敬礼を見せる。

だが大統領は敬礼どころが頭すら下げずに席に座り、我々も座る。

「諸君らのことだ。この会議のおおよその事は知っているだろう」

我々は静かに頷く。

「春川教授についてだがこれは非公式かつ極秘案件という事を重々承知して欲しい。アルバート教授を複数人コピーした事実が発覚した。その資料にすら載せられない非常に危険かつ極秘情報だ」

会議室がざわつく。春川教授が人間のコピーを作れる所まではある程度の軍層や科学好きなら知っているが、過去の四大列強人権会議にて人間コピーは条約違反の中でも特に重たいものとして可決された。それですら頭を抱えたくなるのにコピーしたのがアルバート教授なのは最早救いようがない。

「しかし何故よりにもよってアルバート教授なのでしょうか?確かに三大賢者の中ではずば抜けていますがリスクがあまりにも大きいかと」

航空宇宙海軍最高司令官の質問はしっかりと的を得ていた。アルバート教授の性格は1人仕事を好む。なのにコピーなんてしたら戦争が起きかねない

大統領は顎差しで星間国家中央情報局長に解説を促せる。

「まだ詳しい目的は不明ですが、アルバート研究団を作ったのを確認されました。分野レベルでの特定は終えており、並行世界線技術で我が国の脅威になる事をするのは間違いないかと」

並行世界線技術は非常に難解な学問だが、それゆえなのか無限の可能性を秘めている。しかも研究者が複数人のアルバートとなると何をするか想像すらつかない。それに何より……

「三大賢者の国有化は四大列強条約に違反しているのでは?」

シリウス艦隊司令官として艦隊を守るために質問する。

そして答えるのは条約面で詳しい大統領安全保障担当官だった。

「はい。かなりの制裁の対象と同時に列強裁判における平等に対する罪でもある」

大統領は静かに聞いていたが、軽くしびれを切らしたのか、本題を切り出し始める。

「国家侵略軍事作戦参謀総長、はっきりと問いたい。我々に勝ち目はあるか?」

「現時点での艦隊総数は我々の方が上です。そこに王立大英帝国も加われば破壊できるでしょう。ですが……アルバート教授の目的が不明な以上断定はできません」

大統領閣下は葉巻に火をつけ、ため息6割くらいの煙を吐き出す。

「私が知っている限りだとアルバート教授の協力要請は数兆スペースドル規模での交渉が必要なはず……ドイツ連邦星間帝国は何をした?」

会議室が重たく、静かになる。誰も意見や答えを持ち合わせてない質問を上からされるのが1番困る。

「情報局もそこまで掴めておりません……」

会議がまるで振り出しに戻ったがごとく、大統領閣下は天井を見上げる。

「覇権戦争プラン005を起動せよ……」

一瞬ただのボヤキかと思った。むしろそうあって欲しかった。だが、ボヤキとは言え、大統領閣下の発言だ。確認する必要がある。

航空宇宙海軍最高司令官が問い直す。

「閣下、プラン005の発動でよろしいでしょうか……?」

「……あぁ、もうこれしか道はない」

プラン005、元々四大列強各国への作戦プランは決まっており、それぞれに番号付けされている。プラン005は国内のドイツ連邦星間帝国人の警戒リスト入りとドイツ連邦星間帝国と我が国の平和協定ラインギリギリに艦隊を集結させるというものだ。

内容を思い出すだけで頭が痛くなる。

「シリウス艦隊司令」

突然自分が呼ばれ、返事を返す。

「は、はい?なんでしょうか?」

「戦闘攻撃機は何機ある?」

「総数自体は600機ほど……」

「帝国へのダイレクトアタックを仕掛ける必要性が出るかもしれん。常に爆装しておけ」

「かしこまりました、大統領閣下」

地獄の会議がようやく終わりを迎え、私は、シリウス艦隊司令部へと戻る。

秘書司令官が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、卿に伝える。

「プラン005が発動された。各艦長に伝えてくれ」

「……承知いたしました……」

彼の顔には戦争への恐怖がある。無論私にもある。帝国がこんな暴走じみた事をしなければ平和に居られたのだ。それを……それを……やつらは……

発散できない怒りを覚えながら、眠らずに作戦パターンの見直しをその夜はしていた。日の出はあと何回見れるのだろうか。そんな疑問が頭の中に湧いた。

こんばんは!黒井冥斗です!いつもお手に取っていただきありがとうございます!そして貴重な祝日にお時間を取って頂いた事に特別な感謝を申し上げます!

さて、最近ちょこちょこお話してる異世界系統の作品推敲に入りました。よく質問されるのですがハードSFと異世界物書いててごっちゃにならないんですか?と聞かれます。黒井の場合ですと意図的にごっちゃにも出来ますし、完全に分けて書き分ける事も出来ます。意図的にごっちゃにすることで新しい不思議な展開やキャラクター名や設定にスパイスを追加するような感覚になるので、定期的にごっちゃにしてます。

さて、祝日の夜を楽しみたい方も多いと思われますので、これくらいにしておきます。それでは皆様、いい夜を!

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