第36話:王立大英帝国ブリテンロイヤルの下克上会議
第36話:王立大英帝国ブリテンロイヤルの下克上会議
我々は地球を離れる時、圧倒的な屈辱を受けた。世界第3位の海軍力を誇っていた我々が、国土の狭さと人口の少なさ故に現在の航空宇宙海軍力は第5位。我々ロイヤルネイビーのプライドは傷つけられた。
「諜報長官、どうなされましたか?」
「いや、なんでもないよ。ブラッドフォードの黒き剣よ」
なんとも厨二病を拗らせた言い方に彼は恥ずかしそうにする。
「その呼び方はやめてくださいよ……あなただって、ロンドンの猟犬という肩書きで呼ばれるの嫌いじゃないですか……」
私は思わず、うぅ……と唸ってしまう。
ここの会議メンバーは全員何かしらの2つ名の肩書きを有する。それは女王陛下より与えられし、とても名誉なのだが、如何せん人前で呼ばれると恥ずかしいものがある。
「今回のメンバーは航空宇宙海軍と諜報部門か……そして……」
「我々マンチェスターの白い悪魔達を忘れられては困りますよ」
マンチェスターの白い悪魔。名前だけで不気味だが、地球を離れる際に何度も起きた暴動を隊員側の死傷者ゼロで鎮圧した事から、流血していない事から白い悪魔と呼ばれるようになった。特に人口の多いマンチェスターは暴動が酷く、当時の宰相も苦労したが白い悪魔達のおかげでなんとかなったと賛美を送っている。
今会議場にいるのは我々ロイヤルナイトのネイビー、スペシャルオペレーションオペレーター、インテリジェンスという非常に現時代的な部署のメンバーであり、黒き剣も黒色の主砲が特徴的な新型宇宙戦艦ロイヤル・ネウストの艦長でもある。ネウストの名前は王室直属の海軍特殊作戦コマンドの指揮官から取った名らしい。
そんな訳ありみたいな会議が始まる前まで雑談をしていると、扉が開くと同時に失礼します。と凛とした声の英国らしい金髪シングルテールとストレートロングを合わせたような美女がゆっくりと入ってくる。今回の会議の主役らしいが彼女こそ宇宙海軍をなんとか第5位まで立て直した海軍軍令部総長、サフォークの青薔薇艦隊司令官という我々かつての英国人からしたら馴染み深いサフォーク州の大型軍港の名を冠しているとても高位な方だ。
本名は確か……
「皆様、初めましての方もいるでしょう。サフォークの青薔薇艦隊司令官。名前はブレア・スローン海軍最高司令官です。覚えておいてもらえると嬉しいです」
彼女はニッコリと笑う。その笑みすら可愛らしいのだが、同時にこんな美女が、というより美少女寄りの子が偉大なるロイヤルネイビーを立て直したなど誰が信じれるものだろうか。
「それでは、欠席者はいないみたいですので会議を始めようと思います。本日の議題は先日の四大列強会議において我が国を5つ目に加えるかの提案がなされたという事で、それに見合う海軍の編成計画です。現状我が国の保有する空母は4隻全て500m級、戦艦は600m級2隻とその他7隻、駆逐艦や巡洋艦クラスは準主力艦のみで24隻。四大列強海軍最下位国にすら勝てません。そこで皆様からのお知恵をお借りしたいのです」
幹部達が言葉を交わし合い、付近に待機してるメイド達が忙しなく紅茶を淹れる。その香りこそ我らの遺伝子レベルに組み込まれた精神安定剤のような役割を果たす。
だが5分経っても意見はまとまらない。超重々戦艦派と1km級3段空母派と主力艦増強派の3つまでは理性的に絞り込めれた。
ブレア最高司令官がまだ幼い顔ながらも真剣に、意見をまとめる。
「皆さん、お静かにしてください。航空宇宙戦闘機と大艦巨砲主義的火力、そして主力艦並の数的優位性。4隻作るつもりで超重航空戦艦案でいかがでしょうか?」
何人かの幹部らは「中途半端になるのでは?」とか「4隻で数的優位性など……」と懸念の声も浮かび上がる。
一応この場ではブラッドフォードの黒き剣の名を持つ彼が次席だ。そんな彼が声を上げる。
「各幹部の皆さん、言いたい事は分かります。ただ今まで計画を立てて尽力をなさったのはブレア最高司令官である以上、今の彼女以上に我らロイヤルネイビーの海軍事情を知る者はいないと判断します。そんな最高司令官の意見に具申などできる人間がいるなら、艦隊計画を1から見直して作り直せるだけの過労死1回じゃ済まない業務量が待ってます。それに耐えられる方はいますか?」
会議の決定打を与えれたようだな。諜報長官としてもトドメを刺すか。
「彼……ヴィルヘルムの言う通り、ロイヤルネイビーを立て直したのはブレア最高司令官です。私自身彼女の為に諜報長官として各国の造船技術を集めるため努力する所存です」
ブレア最高司令官は強く頷き、会議の終止符を打つ。
「お二人ともありがとうございます。本件は先程の超重航空戦艦4隻で決定とします。異論はありますか?」
「「「異議なし!全ては女王陛下の為に!」」」
「全ては女王陛下の為に。私はこの件を女王陛下に伝えてきます。皆様は談笑するなり、紅茶を楽しんでごゆっくりしていってください。では、次の会議でお会いしましょう」
彼女は一礼し、退室する。
「マンチェスターの白い悪魔。諜報長官として貴官に頼みたい事がある」
「聞くだけ聞かせてもらおう」
「ブレア最高司令官の護衛と反抗勢力の排斥を願いたい」
白い悪魔は頷いた後に、応える。
「悪魔とは契約で動くものだ。報酬は?」
「貴官に情報アクセスレベルIVを与えよう」
「承知した。ブレア最高司令官はなんとしてもお守りしよう」
私はありがとう。と言い、紅茶を飲み終え、会議室を後にして、外にある迎えの黒色のセダンに着いた時は雪が降る真夜中になっていた。霧の街ロンドンをイメージしたガス灯が暖かな光を放つ。
この国を潰してはならない。我らにはロイヤルの全てが掛かっている。そう、自分に言い聞かせ車に乗り込む。
こんばんは!黒井冥斗です!いつもお手に取ってくださりありがとうございます!明日は祝日ですね、自分は調子を整える日にしようか、異世界作品の校閲と推敲をしようか悩んでおります。
皆様も色々な過ごし方があるかと思われますが、そこにこの星間国家覇権戦争の読書を追加していただけたら黒井としてはとても嬉しいです!
そしてお疲れ様でした!祝日に向けていい夜を!




