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第34話:ザ・ゴースト・ビルド計画

第34話:ザ・ゴースト・ビルド計画

恒星は沈み、暗闇が窓の外を染める中で、昔ながらのガスランプがクラシカルな会議室を照らす。

今回の会議は覇権戦争を想定した時の軍事作戦の協議だ。無論総統元帥閣下も私宇宙海軍総長シリウス・ミーナも参加していた。ドアの外には6名のAランク級黒神も待機させてある。私が言うのも変な話だが不気味な感覚は拭えない。

古時計が午前零時を告げる音をボーーンという音で知らせてくれる。地獄の会議の始まりだ。少なくとも胃が破壊される事で有名な国民指導部の会議よりはマシだと信じたい。

「それでは、覇権戦争を想定した会議を始める。現在我が国の航空宇宙海軍力は第3位。なかなか直視し難い現実だ」

総統元帥の苦言から会議が始まる。今日は私の胃が持たないかもしれない。

「総統元帥閣下、現在我が国の航空宇宙海軍ドクトリンでは艦隊レベルでの運用を想定してきました。機動航空宇宙艦隊、遠征機動艦隊。各艦隊の主力艦を護衛できる事と任務性の観点から艦種の配置を行ってきましたが、四大列強は複合艦種または艦数で圧殺する艦隊を保有しております。そこから見直して行くことを愚申致します」

総統元帥閣下は書類を見ながら、現時点での集まっている情報に目を通す。その時間は5分にも及び、時間が経つにつれて、各参謀や私の胃が悲鳴をあげる。

「現行の海軍ドクトリンを維持しながら対抗するには連合艦隊しかあるまいか……」

想定より遥かに現実性のある戦略で一安心する。

「ミーナ総長、アルバート教授が提唱している並行世界型大量建造計画は上手くいっているか?」

「はっ、ザ・ゴースト・ビルド計画は順調です。ですが……理論論文は私には理解し難い物でした」

やはり天才の考えることは常人には理解できない。少なくとも私は常人以上の知識と教養を持っていると考えていたが呆気なく覆された。

「軍令部総長、ザ・ゴースト・ビルド計画が覇権戦争前に完成したらどうなる?」

軍令部総長は隣にいた部下から書類を貰い、読み上げる。気のせいかもしれないがそれはまるで手にし難い大金を手に入れて、その喜びを抑えようとするにも思えた。

「ザ・ゴースト・ビルド計画が成功した場合、現行主力艦のシュヴァルツ・シュロース級は予備艦に移籍し、フォンテイル級弩級主力戦艦が主力艦になり、覇権戦争期間を5年と仮定した場合通算で7000隻以上を生産し、2段空母も2000隻ほど、さらに予備枠で現時点では大日本聖国にしかない超重々戦艦の建造も年間20隻ベースで生産可能と見積もられてます」

会議室は感嘆の声を満たされた。それは私も同じで、ゆっくりとブレンドコーヒーを楽しむ。私がザ・ゴースト・ビルド計画の理論論文で理解できた数少ないところの1つに造船の為の資源を必要としないという信じ難く、そしておぞましい内容が書かれていた。もし、先程軍令部総長の言葉通りに造船しようと思ったら金属資源などいくらあっても足りやしない。今や鉱物産業や造船産業が風前の灯なのも事実。

「まるで我々は神とでも戦うみたいだな」

総統元帥の言葉に何名もの幹部が静かに頷く。

その時だった参謀総長が挙手する。

「我が国も早めに超重々戦艦の建造内案を策定する必要があるのも事実です。手放しに喜んで計画が遅れれば四大列強の我が国を除く全てを敵に回した場合艦隊総数は足りなくなる可能性もあります。特に超重々戦艦は決戦戦艦かつ単独艦隊という異名も持ちます。その事を重々ご理解していただきたいのです」

参謀総長の場の喜びを壊す発言に、厳しい叱責が飛び交うが総統元帥も私も顔色一つ変えずに静かになるのを待つ。それは参謀総長も同じなようでこの3名しか知らない計画があるのを自ら曝け出す愚かな幹部達に落胆の意もあった。

「何か言ったらどうなのかね参謀総長!」

「この1万隻近い艦隊が負けるはずが無いであろう!計画を急がせればいいだけだ!」

叱責は留まる勢いを知らず強くなるばかりで、参謀総長が総統元帥と私を見る。そして同時に頷く。

「シュヴァルツ・ライヒ級。極秘戦艦です。各幹部達の皆様には我々がライヒという言葉をお使いになる際はとても重要であると認識しております」

叱責からざわつきに切り替わり、ガスランプの火も揺れ始める。

総統元帥と私のコーヒーを啜る音が鳴った後に参謀総長が長テーブルにあるモニターに設計図を見せる。

「仮の内案です。大日本聖国の超重々戦艦が非常に優れた完成形である以上、我々も模倣し、我々なりに改装します。147cm三連装多次元超重力砲6基と極秘素粒子による新型機関を搭載予定です」

従来の我が国のドクトリンにあまりにも合わない計画に幹部達は何も言わず、と言うより何を言えば分からない様子を見せている。

「あ、あの……この件は小官は承知して、異論もありません……でしたが今まで我々が目をつけなかったセリデウス銀河に多連動艦隊望遠鏡を使い始めたご事由をお聞かせ願えないでしょうか?私の指揮する第3機動航空宇宙艦隊が動いているので……」

「ミーナ、説明してやれ。貴官の表現を試したい」

総統元帥閣下からの無茶ぶりに、ため息など出すわけにはいかず、私なりに機密情報のぼやし公開をする。

「かつて人類が地球にいた頃に他星の生物発見に熱中していたそうです。それでお察しください」

この言葉の意味は地球にいた頃の人類はすぐに理解できるだろう。だが、宇宙の複数の銀河を動き回る今の我々にはイマイチピンと来ないかもしれない。だが、彼は違った。

「概意は理解できました。これ以上聞くのもやめておきます」

「それが正しい艦隊司令官の思考だ」

総統元帥の締めくくりの言葉で再び、私達は覇権戦争に向けた会議を始める。

それからは一度もザ・ゴースト・ビルドもシュヴァルツ・ライヒの話も出ずにただ今ある戦力の運用を検討しあっていた。

こんばんは!黒井冥斗です!いつも読んでいただき感謝します!異世界種目で応募しようと思ってる作品の荒文が完成したのであと推敲と校閲をするだけです!長かった…そして昨日からずっと疲れかけてます…

短い後書きですがいつも本当にお手に取ってくださり、ありがとうございます!ブックマークや感想もお待ちしておりますので、ぜひお気軽にどうぞ!それでは、いい夜を!

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