第33話:月姫が兄を愛する理由
第33話:月姫が兄を愛する理由
私がお兄様を愛して、愛して、溺愛した理由。それはイケメンだからでも、優しいからでもない。理想と正義を貫き通す意志と行動に惹かれたのだ。
私が初等学校に入学する時にその事件は起きた。反聖卿派の人間が入学式の首席として校長先生から賞状を私が受け取った時に複数の発砲音が聞こえ、まだ幼い私達は大混乱になった。
「皆さん落ち着いてください!今警備部隊が!」
ダダダーーン!!
激しい銃声と共に校長先生は血を吐きながら絶命し、私は恐怖で動けなかった。そんな時本来なら士官候補生だったお兄様が練習用の戦闘機でほぼ不可能な精密機関砲射撃でテロリストに的確に当て、肉塊へと変えた。
無論お兄様は練習空域を超えた無茶な射撃をしたとして、停学処分を受けた。その時の石崎邸には多くのマスコミが駆けつける中で私は泣きながらお兄様に謝った。何度も何度も頭を下げて、お兄様に謝罪した。だけどお兄様は一言。
「あれは身勝手な理想を押し付けた、一般正義に対する正義だ。僕はそれが許せなかっただけ」
と。マスコミからは一部批判な声も出たが、その時のお兄様の背中には理想と正義を成す。その真の姿が映っていた。
そこから私はお兄様大好き妹になったが、停学処分を受けたお兄様に会えない間に愛は膨らみ、溺愛するようになった。だからお兄様と二人で国を治めるような生活を送りたい。お兄様の理想を形にしたい、そう思い、空波家との交流を図った。
空波家公邸月姫自室にて
「何でこんなこと思い出しちゃったんだろう。お兄様を愛してもいいのは、私だけだから気にする必要は無いのに……」
そんな考えに耽っていると、ドアが4回ノックされる。私専属の情報屋にして、私の執事という名目で雇ってる者だ。
「入りなさい」
「失礼します、月姫閣下」
「その言い方止めてちょうだい。月姫かご主人様でいいわよ」
情報屋は失礼しました。と言い、書類を持ってくる。この時代においてデジタルの機密情報などいくらでもやりようで入手可能だが、アナログの紙は燃やせば閲覧不可だし、ウイルスにも感染しない。
「これは?」
「ドイツ連邦星間帝国が何やら不穏な動きに動いた模様です」
「危機レベルとしては?」
「覇権大戦前夜かと」
全く、周りの国家は余計なことしかしない。呆れ返ると同時にお兄様と平和に暮らす理想さえも壊すつもりか。
その怒りを抑えながら、情報屋に報酬を渡す。
「……これは?」
「現宇宙で確認されてる最小埋蔵量金属で作った硬貨よ。5億スペースドルくらいの価値かしらね」
俺は疑問に思った。月姫嬢の腹黒さは情報屋界隈では知らぬ者はいない。信じてないわけではないが、ここは1つ情報屋として試してみよう。
「エースメタルでしょうか?月姫嬢」
無論そんな鉱石は存在しない。だが情報屋の中でもトップクラスの俺を信じるか、自らの知識を披露するか。どう出る腹黒お嬢様。
「試したわね。安心してゴールドムーンで出来ているわ。あなたなら知っているでしょう?」
流石と言うべきか、星間国家が機密にしているゴールドムーンを知っていて、なおかつその硬貨を渡す。凄い。だがまだこれが本物のゴールドムーンとは限らないのが事実。
「ゴールドムーンをどこで手に入れたのですか?」
「裏を見れば分かると思うわ」
コインを裏返すとそこにはドイツ連邦星間帝国の国家銀行の調印があった。これは偽造不可能な証にして、覆ることのない事実。
「ありがとうございます。では、また何かあれば」
「えぇ、頼りにしているわ。山本君」
お兄様の御学友にして、共に反乱を起こした山本参謀長の弟の山本理久は諜報学校を卒業し、その手腕は遺憾無く発揮されている。私の手駒の1人として新国家樹立の際には諜報長官を任せる予定でもある。
あとは剣示氏の部下の神矢エースパイロットが来てくれたら完璧なんだけどなぁ……
どう動くべきか……メモ帳に樹形図のようなパターンと対策を書き記す。
こんにちは!黒井冥斗です!いつもお手に取っていただきありがとうございます!
黒井の住んでる地域は稀に見る寒さでお腹を冷やして、痛めてしまいました…家族が御手洗を掃除したばっかりなのに申し訳ないです…
さて、いよいよ腹黒妹ちゃんの月姫がなぜ兄を愛するかが判明しましたね。これは執筆後に思った事なのですが愛に飢えてる人って、助けてもらったり、優しい言葉をかけられただけでより強い反応を示す事が多い気がします(当人比)
それではお疲れ様でした!夜にも投稿するのでよろしければぜひそちらもお願いいたします!




