第20話:聖皇からの判決と心強き部下
第20話:聖皇からの判決と心強き部下
列強会議後、私は各聖卿の人間から質疑応答を受けさせられていた。
「石崎剣示海軍軍令部総長、君の息子がクーデターを起こしたそうじゃないか。我々宇宙海軍聖卿は陛下から証人喚問の命を受けている。そして無論君にもだ」
「聖卿閣下のお手を煩わせた事にまずは、謝罪を」
私はこの1歩でも踏み違えば爆発する会話の地雷原を歩きながら聖卿閣下のご機嫌を窺う。
「まぁ、我々としても君にこれ以上の出世も処罰も下すつもりは無い。退職まであと150年といったところか……正直な話君ではなく、君の娘である月姫嬢に天皇家と聖卿家は興味を示している」
やはり、我が娘の噂は本当だったか。聖大日本女子軍令部高等学校の生徒会長にして、機動殲滅の女皇などと呼ばれていたらしいが……
「月姫は確かに優秀であると父親として、海軍軍令部総長として認識しております。1つお聞きしたいのですが月姫は聖卿閣下の一派閥、空波家への参謀元帥として人事案として承認されていると聞き及んでおります。事実でしょうか?」
航空宇宙空軍の最大聖卿派閥にして、今目の前にいる威厳を持つ男、零仙家の主は頷くだけだった。
「では、証人喚問へ向かうぞ。天皇家の現居城、聖皇殿へ」
「かしこまりました。聖卿閣下」
地獄のような重たい雰囲気の中で車に乗りこみ、聖皇殿へと向かう。
重たい空気の中で誰も一言も発する事なく、聖光殿に着き、綺麗な和風庭園や旧日本国の皇居を再現した江戸城の堀などが迎えてくれた。そのまま離れにある喚問室に連れていかれ、聖皇閣下による取り調べまで、脳内で質問内容を推測しながら、深呼吸で心を落ち着かせる。
聖皇殿での無骨な取り調べ室には、聖皇閣下は声だけを審判室で響かせる。その一言一言が単調で鋭い。全く、息子のクーデターに手を貸した事がバレたら、タダじゃ済まないな。なんとかそれは隠し通さねば。
クーデターの件について星間公安や軍政治部から物凄い量の、威圧的かつ同じ質問を繰り返されるが我は冷静に答えた。
「では、聖都軍事及び政策法廷の判決は……死ぬまで昇級無しとする。よって海軍元帥として、クーデター青年軍を撃滅せよ」
「はっ……情状酌量の余地に感謝を」
私は家に戻り、月姫に会う。可愛らしい娘だが中身は腹黒というより深淵だ。何も見えない。
「お父様おかえりなさい。その様子だと処刑は免れたみたいですね」
「まぁな。息子達はどこにいる?」
月姫は軽くパソコンのキーボードを叩くとやはりと言うべきかあの星にいた。
「フィシュテルにいるのか……戦力状況は?」
「お父様、私は神様ではないので断言はしませんが……まだ建造レベルの段階にはいってないはずですよ。それよりも……」
月姫はトンっと椅子から降り、我を睨みつける。
「お兄様を殺したら貴方も死にますよ。お父様」
下からギョロっと覗くように、私の瞳を見る娘には、もはや娘らしい面影はなかった。
そう言って月姫は部屋を後にする。
全く困った子供達だ……私は自室に戻り、ブランデーを軽く飲む。焼けるような感覚が僅かながら、この厳しい現実を逸らしてくれる。
その時だった。ドアがノックされ、入ってきたのは紛れもない。かつての戦友にして、宇宙大学の後輩の1人聖堂忠光聖元帥だった。
「お久しぶりです。先輩、処刑されなかったこと、心より嬉しく思います」
「やめてくれ、君の方が格は上なんだ。それに私がクーデターにも関与したのも君なら分かるだろ?」
忠光は片足を膝まづき、頷きながら答える。
「薄々ですが気になってはおりました」
「君にまでクーデター補助の容疑がかかれば大日本聖国建国以来最悪のスキャンダルになる」
だが彼は、引く気も見せずに覚悟を示す。
腰の刀の刀帯から刀を私に捧げるように見せて、忠義を述べる。
「この刀、私の持つこの刀は、まだ先輩が私の上司だった頃に戦果報酬で頂いたものです。閣下は仰いました。黒き刀何色にも染まらず、ただ冥界への送り人となると。私の色は閣下の色です。先輩、これからも私は閣下とも呼びますし、逮捕されても職務特権で抗弁裁判を実行します」
彼はとんでもない貧乏くじを引かされてるのに気がついているのか……?だが、忠光なら……娘のことも相談できるだろう。
「私は幸せな上司な後輩を持ったよ。月姫、私の娘の話は何か聞いているか?」
彼は黙る。まるでこれを言えば世界がひっくり返るようなそんな雰囲気だ。
「聞き及んで……おります……空波家と共謀し、大日本聖国の属国を作ろうと……」
あまりの厄介な野望に頭痛が脳を締め付けるが、対応を取らざるを得ない。
「月姫を空波家から外……」
ガチャと静かにドアを開けられて、空波家の家紋を持つ聖卿家の者たちと共に月姫がいた。
「お父様、今までお世話になりました。私はこれから空波家の養子になります。子供は間に合ってるそうなので大切にされるかは分かりませんが……」
ここまで不気味なくらい可愛い口調だったが突如トーンを落とす。
「あなたのように無能に付き合っていたら私の理想を叶えられません。最早父親ですらない」
「そこまでの覚悟があるなら行きなさい。お前の理想を実現しろ」
すると再び可愛い口調に戻る。
「それは良かったわ「剣示」様。では、プレゼントとしてこれを送りますわ」
ガチャンという金属音の塊で投げ捨てられたのは、血の跡が着いた懐かしき拳銃。雪室の国防参与の拳銃に違いなかった。
「……なんの真似だ……?」
我の怒りは限界に達した。大学で競い合い、制服組の宇宙海軍と背広組の国防省に分かれたが何度と飲みに行った仲間だ。その彼の拳銃に血がついてるなど、ただ事ではない。
「剣示様の元学友だと知らず、娘がクーデター共謀の容疑が掛かっていたので殺しちゃいました」
私の堪忍袋の緒が切れた。人生のスキルのうち剣道で言うなら八段、最高位のレベルの抜刀術を有する。そして身体能力も強化してある。自分の身を守れるのは最終的には自分だと父上が教えてくれたから。我の引き抜いた刀と身体は音速を超え、かつて娘だった人間を切り伏せようとした。
「石崎式神抜刀術!零の頂!!」
だか、娘には届かなかった。忠光が必死に鍔迫り合いで止めていた。
「どけぇ!忠光!この女を殺させろ!もはや悪人のコイツに生きる価値など!!」
「落ち着いてください!先輩!!今ここで切り伏せたらここに居る私もあなたも処刑されます!!どうかご冷静に!!」
その言葉で目が覚め、刀を下ろす。
「……月姫。今度会えば殺す」
「怖い元お父様なこと。それじゃあ忠光君も空波家に寝返る気になったら言ってね〜」
我は刀を落とし、忠光に背中を向けて答える。
ドアが閉まる音が聞こえてから涙声を抑え、一言呟く。
「……希望の星への志願者を集え」
「よろしいのですか!?」
「表向けは潜入だが、真の目的は……私自身が幼き息子に平和の理想を説いた贖罪だ」
忠光を数分、黙り、拝命致しました。と申してから部屋を出る。
これで我は、近いうちに生命エネルギー砲の材料にされるだろう。だが贖罪を果たさねば。死ぬことは許されない。
こんばんは!黒井冥斗です!いつもお手に取っていただきありがとうございます!
祖母がご友人から頂いた100%りんごジュースが予想以上に美味しく、りんごジュース依存病なりかけました笑
普段黒井が口にする飲み物は水道水かコーヒーか麦茶が大半を占めるのでりんごジュースは新鮮でいいですね。
皆様もたまには違った飲み物を飲んだら何か新しい発見などがあるかもしれません。そして今夜は試験的に午前零時にも投稿してみるので夜更かしが苦手な方は明日の朝とかでも読んで頂けたら幸いです。それでは、また後ほど!お疲れ様でした!




